IoTと知能住宅

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知能住宅

2005年9月11日付け日経新聞Sunday NIKKEIαに、「知能住宅が暮らしを手助け~人の行動察知し適切な情報発信~」とのタイトルで、実験住宅の「ユビキタスホーム」での未来生活の一コマが紹介されています。

例えば、冷蔵庫の中に何があるのかセンサーが感知し、そうした情報から調理台の前のディスプレイにメニューやレシピを提示していくれ、さらに料理の手順が分からなくなったり食材の場所が分からなくなったりするとロボットが指示を出してくれるといったキッチンや、床や壁の見やすい位置にその日のスケジュールを映し出したり、毎日の行動パターンから住人の異常を察知したり、お年寄りに見守りをしたりといったものです。

ここでの「知能住宅」は現在の「スマートホーム」に近いものかもしれません。「スマートホーム」が空調・照明・家電・省エネなどをテーマとしたIoTとするなら、建物そのものをテーマとしたIoT、特に、損傷、老朽化などの安全・安心に焦点を当てたものが最近注目されている「知能住宅」のようです。

具体的には、老朽化や地震などの災害による破損状況を住人に知らせたり、地域の災害状況の速やかな把握に生かしたりするものです。建物自身がまるで生き物のように自分のケガや病気の程度、損傷の場所を訴えるわけです。人が調べる前に建物が訴えるわけですから、災害時の建物の被災度判定が大幅に短縮され、復旧も早く進むという効果が期待されています。

東京理科大学、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、大分県国東市の地元建築業者は今年から2年間、国東市内で「知能住宅」実地研究を始まるそうです。計画では春に建物の建築をはじめ、夏から研究を始める予定にしています。住宅はホステルなどとして利用してもらうそうです。そして、建物の骨組躯体や内外装材にセンサーを複数取り付け、人工的に揺れを起こして建物の状態のデータをインターネットで大学へ送り、人工知能で解析するということになるようです。

intelligent_housing2017_003_r(建築 IoT を利用した安全・安心な知能住宅の実現に向けた産学官連携プロジェクトを開始 ~環境発電、計測・解析、人工知能、広域通信を統合化し実用化を目指す~ (産学官連携プロジェクト:東京理科大学、大分県国東市、国立研究開発法人情報通信研究機構、民間企業) 東京理科大学 http://www.tus.ac.jp/today/20160728000.pdf より)

開発に当たっては、センサーの電源として、地震が起きたとき停電になる可能性が高く、また電池では数年に一度は交換する必要があるため、電源がないところでもセンシングできる「環境発電」を採用します。また、小電力無線通信ネットワークの構築ではWi-SUNが有力と考えられているようですが、プロトコルの改善などの課題があるそうです。被災状況を正確に把握するためのAIによる解析技術の確立も課題として挙げられるようです。

GAINET

ミサワホームは、KDDIとともにLTEネットワークを利用した戸建住宅用の地震被災度判定計「GAINET」(ガイネット)を共同開発し、すでに提供をしています。地震による住宅の揺れの大きさや損傷具合を計測・判定し、宅内のパネルに表示するというシステムです。判定した震度・被災度はKDDIのLTEネットワークを通じてクラウドサーバーに転送され、ミサワホームが状況を把握してオーナーサポートに役立てることになります。5年間の通信料とサービス料で基本価格は、13万3000円(税抜、設置工事費別)となっています。

intelligent_housing2017_002(KDDIニュースリリースhttp://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2015/04/22/besshi1092.html より)

揺れモニ

地震直後のビルの安全度を高精度に解析し、最短1分程度で見える化するというシステムです。NTTファシリティーズが開発しています。東日本大震災後の建物継続使用に関する管理者や利用者からの不安の声から、2013年に中高層建物の安全度を判定する「揺れモニ」を開発し、2016年7月に低層建物の安全度を判定するシステムを開発しています。
「揺れモニ」は現地にいなくてもスマートフォンなどで確認することもできます。さらに、構造躯体に加え、外壁、天井など非構造部材の被害予測も見える化されています。こうした見える化によって安全性の確認や適切な避難対応をサポートするとともに、付加価値サービスとして風や雨のリアルタイム情報を表示する機能を追加することで、暴風やゲリラ豪雨対策にも活用できるシステムとなっています。

intelligent_housing2017_001_r(NTTファシリティーズhttp://www.ntt-f.co.jp/news/2016/160728.html より)

高機能感震ブレーカー実証実験プロジェクト

日東工業を含む「高機能感震ブレーカー実証実験プロジェクト委員会」が、IoT技術を使って地震や雷に関するデータを住宅から集め、クラウドで蓄積、分析することで、居住者に被害状況をメールで通知したり、被害の把握や防災活動へ役立てるための仕組み作りを進めています。
地震データは国が普及を進めている大規模地震後の出火防止策の「感震ブレーカー」の地震センサにIoT技術を付け加えて開発されています。雷データは、「避雷器(SPD)」にセンサとIoT技術をプラスしています。これらのデータはぷらっとホーム株式会社のIoTゲートウェイ製品「OpenBlocks(R) IoT BX1」によってクラウドに送信されますが、計測された加速度データから震度を割り出すなどの処理もOpenBlocks(R) IoT BX1上で行っており、IoTエッジコンピューティングを実現しているとのことです。

intelligent_housing2017_004_r(日東工業ニュースリリース平成28年9月27日http://www.nito.co.jp/IR/pdf/z1609-3.pdf より)

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