スマートロック
今年(2015年)に入って、スマートロックの新製品の発表が急に増えてきました。いわゆるスマートフォンで開け閉めできる鍵です。企業が発表しているスマートロックは、今ある鍵を取り替え必要はなく、価格は安いものだと1万円台から出ています。解錠・施錠はスマートフォンでしますので、離れたところからネットで操作したり、他の人とシェアすることも可能です。メーカーよって多少違いはありますが、概ね次のようなことが共通したものとして挙げることができそうです。
① 閉め忘れ防止機能
例えば、10分後に自動で鍵が閉まるというようなオートロック機能によって、閉め忘れを防止することができます。
② 鍵をシェア
家族や友だちなど来てほしい人に、来てほしい時間だけ鍵をシェアするということができます。鍵の権限を得るためのURLをやり取りするだけなので、メールでもLINEでもFacebookのメッセージでも鍵のやり取りが可能です。鍵には有効期限を設定することができますので、指定の日時を過ぎれば「鍵」は使えなくなります。
③ 自動解錠
Bluetoothの電波をスマートロックが受信することで、ポケットからスマホを出さなくても、ドアに近づけば自動で鍵が開きます。
④ 「鍵」をなくしても大丈夫
スマホを無くしてしまったら、別のスマホに専用アプリをインストールし、IDとパスワードでログインすることで解錠することができます。
では、どんな製品が出ているのでしょうか?いくつか紹介したいと思います。
スマートロックの事例
(1)Qrio SmartLock(Qrio株式会社)
WiL(World Innovation Lab)とソニーのコラボレーションで実現したQrio株式会社のスマートロックです。発売は2015年の9月中旬になりそうです。
特徴の1つは鍵を「シェア」できることです。とは言っても、ずっと使えるわけではなく、指定した人・時間のみに限られます。また、もとの鍵はそのままで、「Qrio Smart Lock」はドアの内側に取り付けます。既存の鍵の上に被せる形で使用します。電池2個で500日使用可能で、本体には4本の電池を入れ、そのうち2本ずつ使うことになり、電池切れても残りの2個に自動的に切り替わります。電池の交換時期にについては、アプリからの通知やインジケーターの光でそのタイミングを知らせます。
仕様は次の通りです。
サイズ | 長さ111mm 幅55mm 高さ63.5mm |
重さ | 332g(電池を含む) |
素材 | アルミ、ABS樹脂等 |
対応OS | iOS 7以上、Android 4.4以上 |
通信 | Bluetooth 4.0 Low Energy (BLE) |
付属品等 | 本体、電池(CR123A)x4、粘着シート、取り付け位置決めガイド、取扱説明書 |
(http://qrio.me/smartlock/ より)
(2)Akerun(株式会社フォトシンス( Photosynth Inc.)
「Akerun」は2015年4月から価格3万6000円で発売されています。サムターンに取り付け、スマホとBluetooth通信による認証を行ってモーターによる制御で既存ロックを開閉します。お出かけを自動検知してロックするオートロック機能や、内側からスマホを使わずにAkerunに指でタッチするだけでサムターンを回して開ける機能などもあります。さらに、ネットワーク上での鍵のシェアも可能で、友人や家族と鍵をシェアするということができます。OSはiOS7以上、Android4.4以上でBLE4.0に対応し、バッテリは2年間持つようです。
「Akerun Remote」は2015年7月に発表されたもので、SIMを搭載した端末です。これによりAkerunは電話回線につながり、常時インターネットに接続されるようになります。Akerun単体でインターネットへの接続を可能にすることで、Webにアクセスできる端末であれば鍵の開け閉めをWeb上で可能になり、遠隔地から操作や鍵の開け閉めに必要なURLを発行することで、パソコンなどからの操作が可能になりました。
(https://akerun.com/より)
(3)August Smart Lock (August社)
August社のスマートロックは、サムターンを一部外して取り付けます。ドアの外側は今までと変わりません。スマホとBluetoothでペアリングさせることにより、鍵の解錠・施錠や第三者への鍵のシェアができます。シェアしたユーザーの出入り時間はアプリ上に記録されます。August Connectを使うと、遠隔操作で鍵の開閉状態の確認やゲストのために解錠・施錠をすることができます。また、他のスマートホーム関連製品と連動することも可能になります。
(http://august.com より)
(4)Kevo (Kwikset社)
見た目は普通の鍵のようですが、ロックに指でタッチすれば、鍵穴の回りの光が緑に点滅し、ドアが解除されます。バッグからiPhoneを取り出さなくてもBluetoothで認証され、解錠される仕組みです。iPhoneを持っている人であれば、キーのシェアもできます。また、「Kevo Puls」を使えば、離れた場所からも鍵の操作が可能になります。
(http://www.kwikset.com/kevo/default.aspx#.VbXcQukcTIU より)
(5)NinjyaLock(ライナフ社)
不動産管理会社のライナイフが開発したスマートロックです。ブラック&シルバーのカラーリングがスタイリッシュで、どんなインテリアにもマッチしそう。ドアの室内側についている、サムターンにかぶせて操作する仕組みで、3Dプリンターでアタッチメントを製作するので、既存の鍵に工事なしで取り付けることが可能とのことです。
スマホ、パソコン、携帯電話で操作ができ、ユーザーも複数、期限付きなど自由に設定できます。その他、オートロック機能、入退室の記録、スマホを近づけるだけの自動解除、高セキュリティの暗号化通信などの特徴を備えています。価格は19,800円となっています。
仕様は次のようになっています。
サイズ | 長さ151mm 幅71mm 高さ40.5mm(サムターン部分53.5mm) |
重さ | 約350g(電池を含む) |
素材 | ポリカーボネート、POM、等 |
対応OS | iOS 7以上、Android 4.3以上 |
通信 | Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)、Bluetooth 4.0 Low Energy (BLE) |
付属品等 | 本体、取扱説明書 (別途単3電池4本が必要です。) |
(https://www.ninjalock.me/ より)
(6)danalock(Poly Control社)
Poly Control社はデンマークの会社で、日本では株式会社M2モビリティーが販売を行います。
BLEでスマホと接続して鍵の解錠・施錠を行います。嘉義のシェアもでき、暗号化されたデジタルキーを発行することで、第三者へ一時的にカギを提供するといったことも可能です。また、事前に設定しておけばドアに近づくだけで鍵を解除も可能です。
ドアへの取り付けはサムターン部分の交換が必要とのことです。電池は約1年間稼働し、電池切れになった場合は、本体の側面を手動で操作して開閉できます。対応するOSはiOS 7以降、Android 4.5以降となっています。別売りの小型のリモコン「キーフォブ」を使えばスマホがなくてもdanalockが利用でき、同じく別売りの「キーパッド」を使えば、暗証番号を入力してdanalockを解除することができます。
価格は、「danalock 125 BLEバージョン」が1万9800円(税抜)「danalock Jacob Jansenモデル」が2万5800(税抜)です。
(http://www.danalock.com/ より)
(7)246 Padlock (株式会社電通ブルー)
「株式会社電通ブルー」は、電通グループのテクノロジー・ブティック子会社として設立された会社です。鍵穴のない南京錠の形態や機能を模したスマートロックです。スマートフォンにインストールした専用アプリを用いてカギの操作を行います。アイボリーホワイト・ストーングレー・ランプブラック・ナイトブルー・ボルドーレッドの5色が用意されており、スタイリッシュさにもこだわった鍵です。リチウム電池1本で、半年ほど作動します。今後は、種用途向けのスマートロックプロダクトの企画開発や、アプリ保有者同士での合鍵(鍵の開閉権限)の共有、開閉履歴の確認など、アプリへの様々な機能追加を行っていくそうです。
サイズ | H129 × W60 × D25 mm |
重さ | 約100g(電池含まず) |
対応OS | iOS7以上、Android4.4以上 |
付属品等 | 246 Padlock本体、取扱説明書、リチウム電池 CR2(1個) |
(http://24-lock.com より)
(8)Bolt(Lockitron社)
Bolt本体の通信はBluetooth LEを使用します。アプリはiOSとAndroidに対応となっています。本体は単三電池4本使用で約半年動作可能です。また。「ユーザーが近づいただけで自動的にドアを解錠」か、「ユーザーが近づくと届く通知からスワイプで解錠」のどちらかを選択でき、「Key Match」機能によって、既存の物理キーでも解錠可能となっています。別売りの「BRIDGE」を使えば、Wi-Fi通信による遠隔操作が可能になります。
Bolt単体の価格は99ドルで、Bridge付きセットが178ドルとなっています。アメリカ国外への発送には別途50.75ドルが必要とのことです。
(http://lockitron.com より)
(9)Genie Smart Lock
オーストラリアのスタートアップが開発したスマートロックです。指定した人とBluetoothキーを共有することができ、アクセスログをたどれば、誰が最後にカギを開けたかも分かるようになっています。バッテリーは最大12か月使用可能だそうです。万が一バッテリーが切れた時やスマートフォンを紛失した場合に備えて、通常の鍵やウェブサイト経由で開錠することができます。価格は249ドルとなっています。
(http://www.keynie.com/より)
(10)Goji Smart Lock(Bielet社)
LEDディスプレイがついており、メッセージと共に利用者の名前が表示されます。さらに解錠・施錠の状態、出入り時間も表示されます。また、内蔵カメラが搭載されており、家を訪れた人の写真を撮影し、使用者の携帯電話にリアルタイム画像を送ることができます。スマートフォンアプリとテキストメッセージの両方で、Goji Smart Lockの動作通知を受け取るように設定することができます。さらに、メールなどで電子キーを送ることができ、電子キーはある期間のみ使用可能といった指定もできます。
Goji Smart Lockには予備用の錠前が付いていますのでスマホを持っていない子ども用として使用することもできます。本体価格は278ドルです。
(http://www.gojiaccess.com より)
(11)OKIDOKEYS
OKIDOKEYS はOpenWays Groupの子会社です。iPhoneのほか、携帯電話、ブレスレット型やネックレス型と、さまざまなタイプの鍵が使えるという特徴があります。バッテリーが切れてもカードタイプや従来型の鍵も使えます。ドアの開閉のたびにアプリが知らせてくれます。電子キーの管理も簡単で、時間限定の電子キーの発行もできます。もちろん遠隔地からのドアの開閉もできます。本体価格は199ドルとなっています。
(http://www.okidokeys.com より)