学校・公園に無線LAN

597457_r

学校・公園に無線LAN

2016年の12月末に、総務省が2020年までに、災害時の避難場所となっている全国の公立学校や公園、博物館など約3万か所に2017年からの3年間で100億円をかけて公衆無線LAN「Wi―Fi」を整備する方針を固めたとの報道がありました。

この報道は、総務省が12月26日に公表した「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」や12月24日に公表した「総務省所管予算(案)の概要」などを受けたものです。

平成29年度の予算(案)の概要を見ると、地域のICT 基盤整備(ブロードバンド・モバイル・Wi-Fi 等)に145.1億円が計上され、うち「事業採算上等の問題により整備が困難な公共的な防災拠点等において、地方公共団体等がWi-Fi 環境の整備を行う場合に、その事業費の一部を補助」するとして、「公衆無線LAN 環境整備支援事業」が31.9億円計上されています。

公衆無線LAN 環境整備支援事業

整備する3万箇所はすでに整備済みも含めた数です。総務省の調査では2016年10月現在で1.4万箇所、率で47%が整備済みとなっていまし。ですから、あと3年で残りの1.6万箇所の整備ということになります。

その内訳は、避難場所となっている学校や公民館、市民センター、官公署が約1.5万箇所、博物館や文化財、公園などが0.1万箇所となっています。

freewifi2017_001(「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画 平成28年12月 総務省」よりキビテク作成

しかし、この1.6万箇所すべてが「公衆無線LAN 環境整備支援事業」で整備されるわけではありません。平成29年度には6千箇所、平成30年度には5千箇所、平成31年度も5千箇所の整備を進め、合わせて1.6万箇所の整備が計画されていますが、このうち3分の1程度が本事業を活用して整備されるだけです。ですので、平成29年度の6千箇所のうち本事業で整備されるのは約2千箇所です。残りは地方財政措置を活用した整備や民間事業者等と協調した自主的な整備等にゆだねられています。

全国的なWi-Fi環境の整備に向けた方策

こうしたWi-Fiの整備については、今回の公表の前に総務省の「地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fi等の活用に関する研究会」の「Wi-Fi整備推進WG」が平成27年に出した「全国的なWi-Fi環境の整備に向けた方策(案) (Wi-Fi整備推進ワーキンググループ 最終取りまとめ)」の中で、Wi-Fi環境整備の基本的な考え方として、次のようなことを示し、その一つに防災拠点のWi-Fi環境の整備を挙げています。

〇 訪日外国人の動線等も考慮し、地域における①交通・商業施設、②(公共的な)観光拠点、③防災拠点について、官民が連携して計画的にWi-Fi環境を整備していくことが必要。
〇 ①交通・商業施設については、民間の施設所有者に対してWi-Fi環境整備の働きかけを行い(「無料公衆無線LAN整備促進協議会」の整備促進PTと連携して実施)、②観光拠点及び③防災拠点については、投資インセンティブが低いことを踏まえ、自治体等が主導的にWi-Fi環境を整備することが必要(国が支援を実施)。
〇 地域におけるWi-Fi環境の整備に当たっては、整備目的を明確にし、単なるインフラ整備にとどまらず、Wi-Fi環境の利活用促進のための取組を継続的に実施することが重要。

freewifi2017_002_r

(全国的なWi-Fi環境の整備に向けた方策(案) (Wi-Fi整備推進ワーキンググループ 最終取りまとめ)http://www.soumu.go.jp/main_content/000353044.pdf より)

今回の「防災等に資するWi-Fi環境の整備計画」は、その流れに沿ったものと言えそうです。また、この「最終とりまとめ」では、Wi-Fi整備は防災の観点だけではなく、訪日外国人観光客を念頭に、その動線を踏まえた整備や利活用を促進するための継続的な取り組みを提言しています。具体的にWi-Fi環境の利活用促進のあり方では、多言語対応や観光・行政・防災等のコンテンツの鮮度などを挙げています。

外国人旅行者のWi-Fi環境満足度

こうした訪日外国人の動線を念頭においたWi-Fi整備を提唱する根拠は、日本のWi-Fi環境への訪日外国人の不満があるように思います。

少々古いのですが、観光庁観光戦略課調査室が平成26年6月に公表した「訪日外国人消費動向調査」よると、日本滞在中にあると便利な情報の一番に「無料Wi-Fi」をあげています。その割合は47%となっており、観光・レジャー目的の外国人衣限れば53.3%とさらに高くなっています。特に東アジアからの訪日外国人の「無料Wi-Fi」への要望が高くなっています。

freewifi2017_00%ef%bc%93_rhttp://www.mlit.go.jp/common/001046320.pdf より)

また、2016年1月に総務省と観光庁が発表した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査」では、旅行中困ったことの一番は「無料公衆無線LAN環境」で、その割合は46.6%と約半数にもなっています。ちなみに、2位以下は次のような結果となっている。

第2位「施設等のスタッフとコミュニケーションがとれない(英語が通じない等)」(35.7%)
第3位「多言語表示(観光案内板等)」(20.2%)
第4位「多言語地図、パンフレットの入手場所が少ない」(18.8%)
第5位「割引チケット、企画乗車券の情報の入手」(14.9%)
第6位「公共交通の利用方法(乗換方法を含む)」(14.8%)
(「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に 関する現状調査」結果 平成28年1月12日(火) 総務省・観光庁 http://www.mlit.go.jp/common/001115689.pdf より)

 

訪日外国人旅行者向けの無料公衆無線LANスポットの共通シンボルマーク(Japan.Free Wi-Fi)

freewifi2017_004_r(国土交通省観光庁 http://www.mlit.go.jp/kankocho/news03_000127.html より)

博物館、文化財、自然・都市公園、案内所などを被災場所として想定され、災害対応の強化が望まれる公的な拠点位置づけて整備の対象にしたのも、通常時の訪日外国人旅行者の利用の便宜を図ることなども念頭においてのことと考えられます。

また、学校等では図書室や視聴覚室、技術・家庭室、多目的室等の特別教室、余裕教室、体育館等へのWi-Fi整備等が補助対象となっており、平時は教育活動に生かすことが念頭におかれています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です