TOP500とNSCI(国家戦略コンピューティングイニシアチブ)

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TOP500

世界のスーパーコンピュータの性能(最速)を評価するプロジェクトであるTOP500は毎年2回、上位500位までを発表しています。2015年7月の発表によるとトップは中国の“Milky Way-2”こと「Tianhe-2(天河二号)」でした。5期連続になります。評価はLINPACKと呼ばれるベンチマークによりものですが、33.86ペタフロップス(1ペタフロップスは毎秒1000兆回の浮動小数点演算を実行できる性能)を達成したとのことです。2位は、米エネルギー省(DOE)のオークリッジ国立研究所にあるCray XK5システム「Titan」で、17.59ペタフロップス、3位は米ローレンス・リバモア国立研究所の「Sequoia」で17.1732ペタフロップス、4位は日本の理化学研究所の「京」で10.51ペタフロップスでした。

TOP500にランクインしているスーパーコンピュータの国別では、233でアメリカが46.6%を占めています。次は日本の39で7.8%、3位は中国で前回の61から37に減って7.4%、同じく3位にはドイツも37の7.4%でランクインしています。アメリカは圧倒的な数なのですが、Top500によると米国のシステム数はこれでも以前に比べると史上最低レベルにあるそうです。 nsci_001

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(http://www.top500.org/ より)

Graph500

TOP500は連立方程式をひたすら解き続ける単純計算の速度を競う数値計算性能ランキングです。しかし近年はスーパーコンピュータの用途や課題が広がり、性能も多様化しています。そこで、ビッグデータ解析に必要な性能を競うものとして、大規模グラフ解析に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキング「Graph500」が2010年から始まりました。Graph500ではネットワークやメモリーの性能、ソフトウエアのアルゴリズム最適化が演算性能に大きくかかわってきます。演算性能の単位はTEPS(1秒間に探索したグラフの枝数)で表されます。2015年7月にドイツで発表された今回のランキングでは、1位は日本の「京」で38,621ギガTEPSでした。2位は米国ローレンス・リバモア研のSequoiaで23,751ギガTEPS、3位は米国アルゴンヌ研のMiraで14,982ギガTEPSでした。

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(EE Times Japan http://eetimes.jp/ee/articles/1507/14/news109.html より)

Green500

Green500は、スーパーコンピュータの電力効率を競うランキングです。2015年8月1日に最新版が公表されました。それによると、1位は、理化学研究所の「Shoubu(菖蒲)」で、電力当たりの実行演算性能は7032メガFLOPS/Wだったそうです。よく分からない単位ですが「京」と比べ、8倍強の電力効率になるそうです。 2位は高エネルギー加速器研究機構(KEK)の「Suiren Blue(青睡蓮)」で6842メガFLOPS/W、3位は同じくKEK「Suiren(睡蓮)」の6217メガFLOPS/Wでした。1位から3位を独占したスーパーコンピュータはいずれも日本のベンチャーPEZYグループが開発したものです。

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(http://www.green500.org/lists/green201506 より)

GreenGraph500

GreenGraph500とは、Graph500の結果を元に、Green500のように消費電力(ワット数)当たりの処理性能(性能電力費)をランキングしたものです。単位はTEPS/Wで表します。

TOP500やGraph500は処理速度を計測するものですが、Green500およびGreenGraph500では速度でなくシステムの電力効率が問われています。

GreenGraph500では「ビッグデータ部門」と「スモールデータ部門」とに分類されています。2015年7月の発表によれば、両部門とも九州大学や東京工業大学など、日本勢が圧倒しています。

ビッグデータ部門

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スモールデータ部門

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(http://green.graph500.org/lists.php より)

国家戦略コンピューティングイニシアチブ(NSCI)

前述のように相対的にアメリカのスーパーコンピュータの地位が下がってきているからなのでしょうか、2015年7月末にオバマ大統領はスーパーコンピュータの研究開発を推進する新たな大統領令を発令しました。

内容は、「国家戦略コンピューティングイニシアチブ(NSCI)」を立ち上げ、世界初となるエクサ級スーパーコンピュータの研究開発を行うというものです。具体的にはエネルギー省、国防総省、国立科学財団の協同で推進されるそうです。

エクサ級スーパーコンピュータとは、計算速度が1エクサフロップスつまり1秒間に100京回の計算ができるというもので、今のスーパーコンピュータの数十倍から100倍の性能になります。ちなみに天河2は1秒間に3京8860兆回の計算が可能ですので、エクサ級スパコンは天河2の30倍の演算能力をもつことになります。

ただし、実現には課題も多く、ムーアの法則枠を超えた現在のコンピュータの動作原理を刷新する画期的なアーキテクチャが必要であり、単に現行のスーパーコンピュータを拡大したものだとその颯秘伝両区は原発1基分にもなるとの試算もあり、いかに電力消費を抑えるかといった課題もあります。もちろんこれだけの事業ともなれば資金の確保も困難が伴うかもしれません。

スパーコンピュータが医療や気象、宇宙開発など様々な分野で大きく貢献しており、経済の分野でも重要な役割を果たしています。すでに、NASAやFBI、海洋大気局(NOAA)、国立衛生研究所(NIH)、国土安全保障省は新しいスパコンを使ってさまざまな研究開発を行う予定を立てていると言われています。

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(米国が開発中の次期スパコン「サミット」http://www.cnn.co.jp/photo/l/648862.html より)

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