LiDAR

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LiDAR

LiDAR(ライダー)は「light detection and ranging」の略語で、Detectionは探知とか検出、Rangingは測距という意味で、レーザー光をパルス状に照射し、物体に反射されて帰ってくるまでの時間から対象物の距離や方向、属性などを測定するリモートセンシング技術(※1)の一つです。「光による検知と測距」「光検出と測距」あるいは「レーザーレーダ」とも呼ばれることがあります。

LIDARでは、波長905nmの赤外線のレーザー光が一般的なようです。赤外線のレーザー光は段ボールや木材、発泡スチロールなども検出可能ですが、豪雨などの悪天候では検出性能が低下するようです。

LIDARは、自動運転車では歩行者や障害物に関する様々な情報取得に欠かせない技術として盛んに研究されていますが、その活用範囲は自動運転に限らず、様々な分野で活用されています。例えば、大気汚染物質は球形なのに対して黄砂粒子は不整形であることから大気汚染物質や黄砂の判別や粒子径や濃度などを測定することにも活用されいます。その他にも、地殻変動の把握、森林生態の測定、海洋の水質調査、気象観測、古墳の調査などのその範囲は広範囲にわたっています。

(※1)リモートセンシングとは、対象物を触らずに調べる技術、遠隔から測定する技術で「遠隔探査」とも呼ばれています。通常リモートセンシングというと、人工衛星などからセンサーを用いて地表表面を計測したり形状上や性質を観測したりする場合などを指すことが多いようです。。

レーザーと普通の光

LiDARはレーザー(Laser)を使っているわけですが、レーザー(Laser)は、Light(光) Amplification(増幅) by Stimulated(誘導) Emission(放出) of Radiation(輻射)の略で、指向性、単色性、可緩衝性という特徴があります。

指向性とは、普通の光は光源から四方八方に広がるのに対して、レーザーはまっすぐに進みます。単色性とは、普通の光はいくつかの色が混ざっていますが、レーザーは一つの色の光です。可干渉性とは、レーザーでは位相と周波数が同じ波であれば,山と山,谷と谷を重ね合わせることができるということで、コヒーレンス (coherence)とも言います。

レーザーは、レーザー媒質によって大きく固体、気体、液体と分けられます。また、レーザー光の波長は、一般には使用するレーザー媒質によって決まり、その波長によってレーザーの用途も違います。よく見かけるものではリモコンやレーザーポインターに使われている赤外線レーザーがあります。半導体の加工などには、波長のさらに短い紫外線レーザーが使われています。
レーザー光の発振方法にも、断続的に光を発するパルスレーザーと連続的に光を出すCW(Continuous Wave)レーザーがあります。LiDAR(ライダー)はパルス状に照射したレーザー光による散乱光を測定しています。

lidar_001_R(NEDO http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201312kogakugiken/index.html より)

自動運転車のLiDAR

自動運転車の映像を見ると、車の上部に昔のパトカーの回転灯のようなものがついていますが、これがLiDARで回転しながら360度にレーザー光は放っています。

この車に搭載するLiDARで代表的なのは、グーグルも使用しているアメリカのベロダイン(Velodyne)社のLiDARです。ただ、値段がかなり高いようで普及価格帯には程遠いものとなっています。回転式のLIDARの場合、大きな集光レンズ、多数の高出力レーザ、回転/移動体の移動方向や移動量、角度を検出する電子部品のエンコーダなどでコストがかさむようです。

そこで、可動部のない小型・低価格のSolid State型と言われるLiDARの開発も行われています。アメリカのクアナジー・システムズ(Quanergy Systems)社が2017年に量産出荷するとしている「S3」もSolid State型で、1個の値段を250ドル未満まで下げることを計画しているようです。前述のベロダイン(Velodyne)社のLiDARの高性能タイプでは、一時期、7万5000ドルと言われていましたので、かなり思い切った価格と言えます。

ただ、Solid State型は、低コストで大量生産が可能、ロバスト性が高く、コンパクトな機構設計が可能であることや、搭載場所が回転式のようなルーフ上に限定されないので、車両のデザインにアメリ影響を与えないといった特徴がある一方で、FOV (Field of View)が回転式のような360°ではなく、120°以下に限定され2つ以上のユニットが必要になること、検知距離が短いことや対象オブジェクトの反射率の影響を受けやすいといった短所もあります。

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平成28 年度スマートモビリティシステム研究開発・実証事業:自動バレーパーキングの実証及び高度な自動走行システムの実現に必要な研究開発成果報告書平成29 年3 月(委託先)一般財団法人日本自動車研究所 http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000539.pdf より)

レーザーによる計測方法には、三角法方式、time-of-flight方式、位相差方式(フェイズ・シフト)の主な方式があります。LIDARではtime-of-flight方式が使われています。time-of-flight方式とは、測定したい対象物に向かってレーザーを照射し、反射して帰ってくるまでの時間を計測することで対象物までの距離を測定する方法です。時間と照射方向で三次元座標データを取得します。

自動運転車でよく使われている前述のVelodyne社製の場合、約120m先まで3Dデータ化でき、測定誤差は5cm以下で、周囲360度の測定には66ミリ秒しかかからないとのことです。さらに、道路の白線と路面の反射率の違いを3Dデータに含めることが可能とのことです。こうして読み取った3Dデータと地図情報と重ね合わせで自車の位置(走行レーン)を特定します。

LiDARの開発・製造する企業

LiDARではVelodyne社が圧倒的に有名です。日本でもリコー、パイオニア、日本信号などLiDARの製造を行っていますが、アメリカやイスラエルなどではいくつものLiDARを開発をする企業があります。

アメリカのLuminarはCEOのオースティン・ラッセル氏がわずか17歳の時に起業した会社です。前述のQuanergy Systems社はシリコンバレーに本社があるスタートアップで、低コスト化や小型・軽量化などでベロダイン(Velodyne)社に挑んでいます。
他にもイスラエルにはInnoviz Technologies、アメリカにはAerostar、Strobe、TriLumina、カナダにはLeddarTech、Phantom Intelligence、ドイツにはIbeo Automotive Systemsなどのスタートアップがあり、Velodyne社を追っています。

LiDAR関連の企業への投資や買収なども盛んになってきています。ドイツでは、コンチネンタル社がアメリカのAdvanced Scientific Concepts(ASC)社のLiDAR事業を買収しています。Boschは超高解像度3Dデータおよび画像技術の開発をリードするTetraVueに、傘下のRobert Bosch Venture Capitalを通して投資を完了しています。Infineonは、LiDARセンサーを製造しているオランダのInnoluce BVを買収するとの発表行っています。

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