レジなし決済

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Amazon Go

2016年12月にAmazon.comが、レジに並ぶ必要がない「Amazon Go」という実店舗のテスト営業を従業員を対象に始めました。Amazon Goでのショッピング「Just Walk Out」と名付けていますが、Amazon Goを紹介する動画では、スマートフォンにバーコードを表示させてゲートで読み込ませ店内に入り、商品を選んだらそのまま店を出るだけです。Amazonアカウントで請求と明細が処理されます。また、いったん選んだ商品を棚に戻せばキャンセルされ、また考え直して選べば再び追加されます。

こうした技術は、経済産業省が中心となって実証実験が進められているRFID(ICタグ)を使ったものではなく、自動運転車に利用されるコンピュータビジョン、センサ・フュージョン、ディープラーニングの技術を応用しているとのことです。

コンピュータビジョンは、お客のスマートフォンのバーコードを読み取ってカメラで顔を認識します。そしてお客の買い物の行動を追跡します。お客がどんな商品を選んだかをセンサ・フュージョンで認識します。そしてこれらの情報をディープラーニングで解析し、お客の行動を正しく認識するということのようです。

go_2017_001_R(USA TODAY http://www.usatoday.com/videos/tech/2016/12/07/how-amazon-go-work/95111660/ より)

コンピュータビジョンとセンサ・フュージョン

Amazon Goに使われている「コンピュータビジョン」や「センサ・フュージョン」とはどんな技術なのでしょうか?

〇 コンピュータビジョン

コンピュータビジョン(Computer Vision)は、「コンピュータに視覚(Vision)を持たせる」技術や「コンピュータを用いた視覚(Vision)の実現」を研究、さらには「ロボットの目を作る研究分野」などとされています。

ここでの視覚は、人間の同程度の視覚処理とは限りません。あるいは人間では不可能な視覚処理のも実現します。従って、画像センシングから人工知能まで含まれる幅広い分野です。

コンピュータビジョンの技術は様々なところで応用されています。例えば、デジタルカメラやスマートフォンのカメラの人間の顔を検出してピントや露光を制御する機能、自動車の自律走行、地図の3次元化などの他、食品の遺物自動選別や不良品検査、画像から患部を見つける技術等の研究も進んでいます。

〇 センサ・フュージョン

センサ・フュージョン(sensor fusion)のfusionは融合という意味があるように、複数のセンサの情報を組み合わせてより正確な情報を得る技術です。

人間が周りの状況を認識するとき、視覚,聴覚,触覚,味覚,嗅覚の五感でフルに活用し、そこから得られる情報を統合してより正確な認識をしています。センサ・フュージョンとは、そうした人間の感覚統合機能を工学的に実現することといえます。

レジなしの試み

ずいぶん前(2005年頃?)の動画ですが、未来のマーケットで買い物をする様子の「IBM RFID Commercial – The Future Market」という動画があります。男性が次々に品物を自分の服のポケットに入れ、レジも通らずにそのまま店を出たところで警備員に呼び止められます。でもそれは、ゲートから出てきたレシートを男性が取り忘れたことを教えるためです。Amazon GOと同じレジなし決済の店です。

この動画のようにAmazon GOのようなコンセプトは昔からあり、この動画の場合はRFIDでそれを実現しようとしたわけです。

go_2017_003_Rhttps://www.youtube.com/watch?v=gtzy4-rNXLM より)

日本では2015年のソニー主催の「FeliCa Connect 2015」で、RFIDを使った自動チェックアウトシステムの小売店が参考展示されていました。スマートフォン上のモバイルアプリあらかじめカード情報を登録し、商品(RFIDタグ付き)をもってゲートを通過すると自動的に決済が行われというものです。

ユニクロでもRFIDタグを使ったセルフチェックレジを導入していますが、この場合はレジなしとまではまで行っていません。

このようなRFIDを使った方式では、現在タグ1個が10円以上、5円~6円というものもあるそうですが、それでも日用品のような安い商品に付けるとなるとコストがかかるという問題がでてきます。

ローソンとパナソニックは2016年12月からパナソニック本社の隣にあるローソンパナソニック前店で、精算と袋詰めを自動化したセルフレジ機「レジロボ」の実証実験をはじめました。バーコードスキャンのついた専用の買い物かごにスキャンした商品を入れ、それを専用レジに置けば代金が表示されるというものです。レジ業務の省力化になりますが、Amazon Goのように素通りできるわけではありません。

go_2017_002_R(Panasonic Newsroomプレスリリースhttp://news.panasonic.com/jp/press/data/2016/12/jn161212-1/jn161212-1.html より)

Amazon Goの日本での普及は?

Amazon Goは2017年中には一般にも開放されるようですが、日本での普及の可能性については、様々な意見があります。

日本では現金主義の消費者が多いということ、高齢者のスマホの普及率はそれほど高くないこと、ICタグ普及し価格が下がってくると、カメラ、センサー、AIを使ったAmazon Go方式よりもコスト的に優位になる可能性があることなどから、あまり普及が進まないのではないかという意見があるあります。

一方で、店員との煩わしさがない、一人ひとりの購買履歴から様々な商品提案が可能になる、商品の補充や見切りのタイミング的確にできる、自動発注が効率化できるといった点で、日本でも普及する可能性があるという見方もあるようです。

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