バイオロギング(Bio-logging)

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マグロは時速80kmで泳げるのか?

昔の図鑑には、マグロは時速80kmで泳ぎ、カジキの仲間には時速100kmを超える速さで泳ぐものもあるとあったように記憶しています。今でも、一部のWEBサイトにはそのように記してあるところがあります。朝日新聞の2014年4月19日付け「ののちゃんのDO科学」でも「バショウカジキは100キロ以上よ」というタイトルで、そのように紹介されていました。

ところが、2014年7月に放送されたNHKの番組「視点・論点」によると、どうもその通説は違っているかもしれないようです。実際の平均的なスピードは時速7キロほどで、瞬間的な最大速度でも時速30km程度だというのです。サケも時速45kmで泳ぐと図鑑などには書いてありましたが、巡航時のスピードは時速1kmから3kmぐらいだそうです。

マグロは時速80kmで泳ぐという通説ができたのは1950年代から60年代のようです。当時は、マグロにつながった釣り竿のリールの糸が巻き出されていく速度を計測して、泳ぐ速さ推定していたようです。海流、糸のたるみ具合、魚の動きなどによって大きな誤差があったと推測されます。

もう一つ海の生き物の通説として、今も多くのところで紹介されているものにマッコウクジラの潜水があります。マッコウクジラは頭部にある脳油が冷やしたり暖めたりすることで密度を変え、潜水艦のバラストのように機能させてもぐったり浮上したりしているというものです。番組では、どうもこの考えも根拠がないどころか間違っているというのです。

これまで信じられてきたこうした説が実際には間違っていると分かってきたのは、バイオロギング(Bio-logging)というテクノロジーによるところが大きいようです。バイオロギング(Bio-logging)とは、生物に測器を取り付けてその行動や生態を調査する手法で、「生物」を意味するバイオと「記録する」を意味するロギングを組み合わせた和製英語ですが、専門用語として国際的に定着しています。
バイオロギングの始まりは、1970年代の南極のアザラシやペンギンが最初のようです。計測器は、対象生物の体重の3~5%以内に収めなければならず、デジタル化小型化が進み始めた1990年代ごろから研究も進んだようです。

データロガー(data logger)とバイオテレメトリー(biotelemetry)

データロガー(data logger)は各種センサで計測・収集したデータを保存する装置で、データロガーを利用したものとしては、ジオロケータで渡り鳥の移動経路を調べる方法があります。光センサーによって日の出・日の入りの時刻を記録し緯度・経度のデータを得るというものです。他にも小型のカメラやGPSロガー、加速度センサー、圧力センサー、磁気センサーなど様々なセンサーを取り付けて生物や生物の生きる環境情報を取得しています。
データロガーの場合、時間・場所を問わず、詳細なデータが取得できるのですが、比較的装置が高価で回収できない場合もあるというメリットもあります。

そこで、データロガーを用いないで、電波や超音波、人工衛星を利用する方法もあります。バイオテレメトリーとも言われています。生物に小型の発信器などを取り付け、行動・生理・環境についてのデータを遠隔測定する点ではバイオロギングと同じですが、バイオロギングは、データを内部メモリに蓄積してあとから回収するのに対して、バイオテレメトリーは電波や音波を使ってデータを発信し、随時入手するものです。

人工衛星を用いたものでは、フランスのアルゴス社の衛星システムを活用した野生生物の追跡システムがあります。このシステムは生物に取り付けられた危機からの電波を受信し、ドップラー効果を利用してその位置を算出するというものです。地球上のどこからでもデータを取得でき、出かけていく労力の必要がありません。しかし、衛星の使用料などがかなりかさむようです。

電波や超音波を利用したものには追跡型と固定型があります。追跡型の場合、追跡に労力と費用がかさむという難点があります。固定型では、電波などの受信範囲内に生物がいないとデータが得られないというやはり難点があります。

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