デジタル錠剤

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デジタル錠剤

2017年11月14日の大塚製薬のニュースリリースは、「Abilify MyCite®)」が、世界初のデジタルメディスン(Digital Medicine)としての承認をアメリカ食品医薬品局(FDA)から取得(2017年11月13日)したと伝えています。ニュースなどでも、「センサーを埋め込んだ「デジタル錠剤」を承認」「体内から信号「デジタル錠剤」世界初の承認」などと報道していました。

大塚製薬のニュースリリースによれば、同社の抗精神病薬の錠剤にプロテウス(Proteus Digital Health)社が開発したシリコンチップ製の極小センサーが組み込まれており、その錠剤を服用するとセンサーが胃の中でシグナルを発します。その信号は身体に張り付けたパッチ型のシグナル検出器で検出します。そして、専用アプリで服薬状況を記録し、スマートフォンなどのモバイル端末を通じて患者さんは確認することができるというものです。患者さんの同意のもとで、医療従事者や介護者と情報共有も可能ということです。なお、プロテウス社のセンサーと貼付パッチはFDAから医療機器の認証はすでに得ていましたので、医薬品と医療機器を一体化して新薬として承認を得たのが世界初ということのようです。

両社は、服薬アドヒアランス(※1)を測定することを目的に申請していたようですが、承認はすんなりといったわけではないようです。

大塚製薬とプロテウス社のデジタルメディスンの新薬承認申請を米国FDAが受理したのは2015年9月8日です。その後、2016年4月27日の大塚製薬のニュースリリースでは、デジタルメディスンの新薬承認申請に対し、米国FDAが、デジタルメディスンが実際に使われる条件下での追加データ等を求めているとして、FDAの承認が認可されなかったことを報告しています。そして、2017年5月23日のニュースリリースにおいて、5月22日に、FDAが新薬承認の再申請を受理したことを報告しています。ですので、最初の申請からおよそ2年かかったことになります。

(※1)医師と患者が連携をとり、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、治療に取り組む姿勢のことを指します。

プロテウス社のセンサー

プロテウス社は2003年に創業したアメリカのベンチャーで、シリコンバレーに本社を構えています。今回使われているセンサーは1mm角大の大きさで、重さが0.002gです。飲み込んだセンサーチップは砂粒と同じように体外に排出される仕組みになっており、健康への害はありません。

センサーはシリコンチップでできており、微量のマグネシウムと銅が含まれています。このマグネシウムと銅と胃液の電気化学反応(ガルバノ電池)からセンサーに給電する仕組みになっています。いわゆるジャガイモ電池の原理です。

センサーからは服用薬の種類や量、摂取日時など、パッチからも体温や心拍数などの情報が検出されます。患者さんはその情報をスマホなどで確認します。さらにクラウド経由で医療機関へ伝達されて、医師は患者の服薬状況などを知ることができるようになっています。
医療機器としては、2012 年にFDA の承認を取得しています。欧州連合では2010年に承認を得ています。

digtai_health207_001_R(SciTech Daily https://scitechdaily.com/smart-pills-will-track-patients-from-the-inside-out/ より)

ところで、医療現場において、患者が正しく薬を飲まないことにおける治療への影響や医療費の増大が問題になっていると言います。正しく薬を服用していれば短期間で完治するものを、例えば、ちょっと良くなったと素人判断をしてかえって治療期間が長くなってしまったり、場合によっては薬剤耐性ができてしまったりということがあるようです。心臓病の患者の半数は、退院後の薬の飲み忘れによって再入院をしてしまうという報告もあるようです。

デジタル錠剤、デジタルメディスンにおいては、摂取した薬の種類や量、時刻などが分かり、パッチ型端末からは患者の体温や心拍数、姿勢などの情報が分かるので、患者が正しく薬を飲んでいるか、規則正しく生活をしているかということが把握できるので、前述の課題には有効なものと言えます。
しかし、素人の疑問として、高齢者などはいろいろな薬を飲んでいます。そうした場合でもセンサーは正しく働くのでしょうか?複数の薬の相互作用などはセンサーで読み取れるのでしょうか?

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