RPA

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RPA

経済産業省が、国会答弁の下書き作成に、リモートワーク(※1)と「AI」、「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」を活用するために実証実験を開始するとの報道がありました。実証実験の内容は、AIに過去5年間の国会審議の議事録を学習させ、質問に対して過去の関連質疑や政策の論拠、課題などを整理して提示するというものです。

ところで、このロボティック・プロセス・オートメーション(Robotics Process Automation)は頭文字をとってRPAと言われていますが、最近、話題になる機会が増えているようです。2016年7月にはRPAの普及・促進を図る日本RPA協会が設立されていますが、その日本RPA協会はRPAを次のように説明しています。

・・・これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した業務を代行・代替する取り組み・・・
(日本RPA協会 http://rpa-japan.com/ より)

このように人間の知的労働を代行・代替することから仮想知的労働者(Digital Labor)とも呼ばれています。

LaborあるいはRoboticsという言葉から、工場の生産現場で働くロボットのような機械がオフィスの中で人間と椅子を並べて作業をしている情景を想像してしまいますが、「認知技術を活用した取り組み」とあるように、実体としてのロボットではなくソフトウェアによる仮想のロボットで、人がこれまで行っていた例えばデータを抽出したり入力したりといったような定型的な業務を自動化・効率化する取組を指しています。オフィスワークに必要な各種アプリケーションを操作するソフトウェアということから、ソフトウェアを動かすソフトウェアと表現することもあるようです。

(※1)リモートワークは在宅勤務のことを指します。他にもテレワークという呼び方をすることもあります。テレ(tele)は離れた所が語源ですので離れたところで働くということになります。

その活用範囲はオフィス業務の多くで可能となっています。

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(EYアドバイザリー株式会社「ロボテックス プロセス オートメーション」http://www.eyadvisory.co.jp/services/serviceline/digital/pdf/di7-robotic-process-automation.pdf より)

RPAの効果

RPAのメリット・効果としては、一般的には次のようなことを挙げることが多いようです。

1つ目は正確性の向上(ヒューマンエラーの削減)です。ソフトウェアロボットはルールに基づいて業務を実行するため、人のようなミスや品質のばらつきが発生しないということです。

2つ目は人件費と労働時間の節約、いわゆるコストの削減です。

3つ目は、手作業のような疲労による作業効率の低下はなく、かつ人以上の速さで業務を処理しますので生産性・効率性が向上するというメリットがあります。

4つ目としては、業務の増大や変化に応じて柔軟にカスタマイズができるということです。

この他にも、生産性の向上に関連して、「人的リソースの再配分」、ミスがなくなるということから「高度なコンプライアンスの確保」などもメリットとして挙げられています。さらには、人の場合には離職によってその人の担っていた業務が滞るというリスクがありますが、そうしたリスクを回避できるというメリットもあります。

KPMGジャパンのKPMG Insight Vol.19「仮想知的労働者(Digital Labor・RPA)の日本企業への導入による今後のホワイトカラー業務の姿」では、RPA(段階1)(※2)の導入効果を「業務にもたらす効果」「人材にもたらす効果」「テクノロジーにもたらす効果」の視点から次のように述べています。

(1)業務にもたらす効果

① 品質のばらつきが発生しない。
② 業務の実行効率を向上させることができる。
③ 業務改善のPDCAサイクルをより素早く回すことができる。
④ 業務のコンプライアンス性が向上する。

(2)人材にもたらす効果

① 従業員を高度な業務領域にシフトすることが可能
② 業務量の増加に対して、ソフトウェアロボットの複製によって対応可能

(3)テクノロジーにもたらす効果

メンテナンス性が低下したレガシーシステムのプログラム本体を修正せずに、周辺システムとの連携をソフトウェアロボットで実現できる。

(KPMG Insight Vol.19「仮想知的労働者(Digital Labor・RPA)の日本企業への導入による今後のホワイトカラー業務の姿」https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/pdf/2016/07/jp-rpa-erp-20160715.pdf より要約)

(※2)RPAを3つの段階でとらえ、既存技術を統合活用した定型業務の自動化を段階1としています。ちなみに、段階2は一部の学習機能および非構造化情報処理による一部非定型業務の自動化、段階3は高度な人工知能を用いた業務分析・改善、意思決定まで含めた自動化としています。

RPAにまったくリスクないわけではありません。災害やシステム障害でPRAが停止した場合に誰がどうやってトラブルシューティングするのか、想定外のデータに対する処理の仕方に不備があった場合、誤った処理が見過ごされてしまわないかといったことや、業務がブラックボックス化、RPAへの不正アクセスなどへの懸念もあるようです。

とはいうものの、欧米ではRPAの導入が進んでいるとのことです。2013年に発表されたオックスフォード大学のオズボーン準教授の「The Future of Employment(雇用の未来)」では、既存の職業(702業種)のうち、コンピューターによる自動化によって20年以内に47%が消滅すると算定し、その職の中に、銀行や証券会社の従業員、会計・税務処理の仕事、弁護士アシスタントなど、いわゆるホワイトカラーの仕事が多く含まれています。日本の場合は少子高齢化等による労働力不足が今後ますます問題となってきます。そうしたことを考えると、今後、RPAの導入がより活発になるのではと予想されます。

 

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