AlphaGoの受け止め方

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AlphaGoと社説

Google DeepMindによって開発されたコンピュータ囲碁プログラムAlphaGo(アルファ碁)が、世界最強棋士の一人である李セドル九段との対局において4勝1敗で勝利たことを、世界中で多くの人が驚きをもって受け止めているようです。

韓国では、早速これまでの計画を前倒し、政府が2020年までの5年間で1兆ウォン(約950億円)を投じ、AI研究を加速させると発表しています。日本でも、自民党は人工知能の利活用を推進するため、首相直属の組織を発足させ、大型連休前に、「人工知能社会」に向けた提言をまとめるとの報道があります。

日本の新聞各社も、普段は科学技術の出来事についてほとんど話題としない社説でAlphaGo(アルファ碁)の快挙について取り上げていました。社説を読むと、各社とも人工知能の進歩を好意的に受け止めているようです。ただ、軍事利用の危うさも指摘し、人類の幸せに貢献するような使われ方を期待する社説もあります。また、日本企業の人工知能の分野での存在感が薄いことに危機感を示し、早急の対応を求めているのも各社に共通しているように思います。

各新聞社は、社説でどのように述べているのでしょうか?以下に、各社の社説の取り上げ方をまとめてみました。

〇日本経済新聞「人工知能を生かして日本の活力に」

産業革命は人類を「筋肉の限界」から、AIは「頭脳の限界」からの解放と対比させています。そして、AIについて、日本企業はソフトやアルゴリズム(計算手法)の分野では存在感が薄く、手持ちの技術や人材だけに頼る自前主義では、ブレークスルーはおぼつかないとしています。そこで、人材育成に力を入れつつも、「米国のトップ級の人材を招き入れる」「自社以外の企業や大学、研究機関と柔軟に連携する『オープン・イノベーション』」などの重要性を指摘しています。

また、人と機械の協業については、「機械と人が『仕事』をめぐっ争うのではなく、互いに協業して価値を生み出す社会をめざしたい」とし、そのために法規制や倫理観との調和についての議論を深めることを求めています。

(日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXKZO98684240R20C16A3PE8000/ より)

〇読売新聞「人工知能 上手に使って住み良い社会に」

人工知能への懸念はあるが、交通事故を防ぐ自動運転、医療における画像診断、災害からの避難など、人工知能による新たな可能性を示しながら、人工知能と共存し、活用していくことを求めています。

また、日経新聞と同様に米国などに比べ国内企業の存在感が薄く、研究成果がほとんど製品化につながっていないことを指摘しています。その上で、若手の研究者や技術者の育成を急ぐ必要があるとしています。

(読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160315-OYT1T50189.html より)

〇朝日新聞「人工知能 ともに進化する未来に」

機械が人間を支配する社会を予感する人もいるが、「トッププロも負かすAIの開発は、人間の新たな勝利」であるとしています。ただ、軍事利用や市場操作といった危うさを指摘し、「人間はAIの目的や使い方について深く考えなければならない地点にいる」としています。

また、AI研究は人の脳の新たな理解につながると、AI研究に人間探究の意義があることも述べています。

(朝日新聞 http://www.asahi.com/articles/DA3S12267286.html より)

〇毎日新聞「人工知能 使いこなせる大局観を」

AIについては、「リスクを見据えつつ、上手に使いこなす大局観の構築が求められている」と述べています。 また、国に対しては、日本のAI研究は欧米に先行されており、「得意とするロボット技術などと組み合わせることで、AI技術の可能性を広げてもらいたい」と注文しています。さらに、AIの研究開発と合わせて「人間の創造性を向上させる教育」や、軍事利用などへのAIの活用範囲が広がりを念頭に、「AIの活用範囲や倫理的な問題を議論しておくべき」と述べています。

(毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160315/ddm/005/070/030000c より)

〇中日新聞「人工知能 よき友になれそうだ」

「・・進歩の早さに驚くが、警戒する必要はない。AIを使うのは人間だ。賢い友を得たと考え、うまく付き合っていきたい」と、最も楽観的かつ好意的に述べているように感じます。さらに、「勝敗ばかりが注目されるが、今回の五局の棋譜は、人間とAIが作った作品だ」とも述べ、「徒然草」の「よき友に三つあり」に例えて、「アルファ碁は物くるる友であり、知恵ある友だ。いい友だちになれそうではないか」と締めくくっています。

(中日新聞http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2016032102000114.html より)

〇北海道新聞(卓上四季)「アルファ碁」

社説ではありませんが、地方紙の北海道新聞は、ソフト開発者の努力や発想を称賛しつつも、今後のAIの進歩に一抹の不安ものぞかせています。そして、京大の八代嘉美特定准教授の「中央公論」(4月号)から「AIが発達すれば、知識量を競う意味はなくなる。どう利用するのか。人間にとって何が幸福なのか、再定義が必要で、人文知が重要になる」を引用し、国立大学の文系不要論と結び付けて、「人文系の知恵が欠けたら未来は暗い。AIを使いこなせないばかりか人類の脅威に映るだけになるかもしれない」と述べています。

(北海道新聞卓上四季http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/season/2-0050959.html より)

 

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