AI、自動化、そして経済

artificial_iintelligence2016_006_r

Artificial Intelligence, Automation, and the Economy(AI、自動化、そして経済)

artificial_iintelligence2016_005_rホワイトハウスが2016年12月にAIと経済に関するおよそ50ページからなる「Artificial Intelligence, Automation, and the Economy(AI、自動化、そして経済)」と題するレポートを発表しました。

(Artificial Intelligence, Automation, and the Economy  https://www.whitehouse.gov/sites/whitehouse.gov/files/documents/Artificial-Intelligence-Automation-Economy.PDF より)

ホワイトハウスは10月にAIの社会的な影響と制度設計についての報告書「人工知能の未来に備える」を公表しています。今回はAIによる自動化が米国の経済への影響をレポートしたものです。

レポートでは、AIのメリットをすべての人が受けるために公的な政策の導入を提言しています。また、AIが経済の成長、賃金の上昇、余暇の創出などの可能性がある一方で、職がAIに置き換えられる可能性も指摘しています。

こうしたことに対応し、AIのメリットを享受するために、「AIの潜在的メリットを得るための投資」「将来の仕事に合わせた教育とトレーニング」「社会的セーフティネットの強化」などの政策を提案しています。

よく話題となる人工知能による失業などの雇用への影響については、AIが失業につながるか、あるいは長期的に不平等が増大するのかは制度や政策にも左右されるとして、このレポートでは、AI駆動型オートメーションの経済への影響を検証し、AIのメリットを高め、コストを削減できる幅広い戦略について説明するものであると述べています。

この報告書では、AIによる社会変化を、19世紀と20世紀におきた変化と比較しています。
19世紀の技術の変化は低技能労働者の生産性を高技能労働者の生産性に比べて高め、結果、生産プロセスを統括して実行していた高度に熟練した職人は、量産技術の登場によって生計が脅かされ、対照的に20世紀では、コンピューターやインターネットの出現は、高技能労働者の生産性を爆発的に高めた、創造性を発揮する仕事などの生産性が向上させたが社会全体での雇用数自体は伸びなかったと分析しています。そして、スイッチボードオペレーター、ファイリング担当者、旅行代理店、組立ラインの労働者など、予測可能でプログラムが容易なタスクに焦点を当てた日常的な業務は、新技術の置き換えに特に脆弱で、一部の職業は実質的に排除され、他の職種に対する需要は減少したとしています。

AIの労働市場への影響については三ヶ月毎に約6%が事業の縮小または閉鎖によって壊滅し、若干は新しい仕事が増えるものの、低賃金労働者、低熟練労働者、および低教育労働者の仕事がおびやかされているとしています。

また、外部の調査を引用し、AIが台頭することでこれから10~20年の間に米国の仕事の9~47%が脅かされる可能性があるとしています。47%はマイケル・オズボーン氏が、2014年に発表した『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文で紹介されている数字で、米国労働省が定めた702の職業をクリエイティビティ、社会性、知覚、細かい動きといった項目ごとに分析し、10年後の消滅率を仔細に試算したものです。9%は、OECD(経済協力開発機構)の予測です。

さらに、職業を賃金にランク付けし、1時間当たり20ドル未満の雇用の83%がAIで自動化され、1時間当たり20ドルと40ドルでは31%、1時間あたり40ドルを超えると4%と自動化に置き換わることは少ないと見ています。

artificial_iintelligence2016_001_r(Artificial Intelligence, Automation, and the Economy  https://www.whitehouse.gov/sites/whitehouse.gov/files/documents/Artificial-Intelligence-Automation-Economy.PDF よりキビテク作成)

また、OECDの調査によれば、教育を受けていない労働者は、高等教育を受けた労働者よりも自動化に置き換わる可能性が高いと推定されています。高等学校の学位以下の者の44%が高度に自動化可能な仕事で構成されていると推定し、学士以上では1%と少なくなっています。

artificial_iintelligence2016_003_r
(Artificial Intelligence, Automation, and the Economy  https://www.whitehouse.gov/sites/whitehouse.gov/files/documents/Artificial-Intelligence-Automation-Economy.PDF よりキビテク作成)

ケーススタディとして運転関連の仕事を取り上げ、2015年5月時点で372万3930人のうち、219万6940人~308万9990人分の仕事が脅威にさらされる可能性があると予想しています。

artificial_iintelligence2016_004_r
(Artificial Intelligence, Automation, and the Economy  https://www.whitehouse.gov/sites/whitehouse.gov/files/documents/Artificial-Intelligence-Automation-Economy.PDF より)

このような変化に対応する戦略として、経済的インセンティブと公共政策は、技術変化の方向性と効果を形作る上で重要な役割を果たすことができ、適切な注意と適切な方針と制度的対応が与えられれば、高度な自動化は生産性、高い雇用レベル、より広範に共通する繁栄と両立することができると次の3つの戦略を提言しています。

(1)AIへの投資と開発
(2)アメリカ人が未来の仕事に対応するための教育・訓練
(3)労働者が変化に対応することを補助する

(1)と(2)はわかりますが、(3)は失業保険、メディケイド(低所得者・身体障害者に対して用意された公的医療制度)、SNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program:低所得者用の食料配給)、TANF(Temporary Assistance for Needy Families:貧困家庭一時扶助)などの社会的セーフティネットといった福祉国家的政策が述べられています。

 

1件のコメント

  1. トランプとAIがもたらす未来 -常設雇用税制と包括通商バランス-

    ●トランプが図る製造業の国内回帰策は、副作用としてロボット化とAI化を加速させ究極的には消費者の消滅をもたらす。
    ●これを防ぐためトランプは何れかの時点で、人を雇い賃金を払う事を奨励する「常設雇用税制」のようなものを導入せざるを得ない。
    ●こうして折角維持した消費者を他国製品に奪われないためにも、トランプは関税、国境税調整、為替制度等による「公正な貿易協定」をより一層打ち出し、激しい通商摩擦を引き起こす。
    その争いの末、結果として「包括通商バランス」として、各国との折り合いをつけた何らかの新しい原則が形作られ、「常設雇用税制」と共に新たな世界標準となるだろう。

    http://blog.livedoor.jp/ksato123/archives/54720131.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です