農業ロボット

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農業ロボット

少々古いくなりますが、シード・プランニング社が2014年1月に発表した農業IT化(ITを駆使して農産物の生産・販売に必要な情報を収集し、効率的に農産物を生産して販売・流通させる技術)に関する調査では、2020年に農業IT化の市場規模が580~600億円になると予測しています。その中の農作業ロボットに関しては、農機具の1割が農業ロボットに置き換わると想定して、2020 年の市場規模は50 億円前後と予測しています。

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(ロボットが切り拓く未来~「普及」策と「共存」策作りを急げ~JCER50th http://www.jcer.or.jp/report/econ100/pdf/econ100bangai20137data.pdf より)

これも少々古いのですが、調査会社ウィンターグリーン・リサーチ社の「Agricultural Robots – Market Shares, Strategies, and Forecasts, Worldwide, 2014 to 2020」という報告には、「Agricultural robot market size at $817 million in 2013 are anticipated to reach $16.3 billion by 2020, a hefty growth for a nascent market.」と記されており、2013年で8億1700万ドルの農業ロボット市場が、2020年には163億ドルに達すると予測しています。
いずれも今後農業分野でのロボットの活用が進むと見ています。

農業ロボット活用の背景

農業ロボット活用の背景としては、日本の場合には、農業従事者の高齢化、それに伴う労働力の不足、危険な作業やきつい作業が多いこと、選果のように人手に頼る作業の労働力確保の難しさ、少ない農家で広い面積を耕作しなければならないこと、未熟練者や女性の参入が難しい作業が多いといった現状があるようです。
ロボット革命実現会議の策定した「ロボット新戦略」では、農業分野に関しては次のようなことが重点としています。

1  GPS自動走行システム等を活用した作業の自動化

トラクター等農業機械の夜間・複数台同時走行・自動走行、集材作業を行うフォワーダの自動走行等により、作業能力の限界を打破し、これまでにない大規模・低コスト生産を実現する。

2 人手に頼っている重労働の機械化・自動化

収穫物の積み下ろしなどの重労働をアシストスーツで軽労化するほか、 除草ロボット、植林・育林ロボット、養殖網・船底洗浄ロボット、弁当盛付ロボット、自動搾乳・給餌システム等により、きつい作業、危険な作業、繰り返し作業から解放する。

3 ロボットと高度なセンシング技術の連動による省力・高品質生産

センシング技術や過去のデータに基づくきめ細やかな栽培(精密農業)や営農者の有益な知見との融合等により、農林水産物のポテンシャルを最大限に引き出し、多収・高品質生産を実現する。

(農林水産省におけるロボット関連の取組 ~スマート農業の実現に向けて~ 平成28年 2 月 東海農政局 より)

農業ロボット導入には、「安全性確保」「法の整備」「機器を使いこなすためのサポート体制」「人材育成」、さらに「コストの問題」などの課題がありますが、「ロボット新戦略」では2020年までに自動走行トラクタの現場実装の実現や農林水産業・食品産業分野において省力化などに貢献する新たなロボットを20機種以上導入などを掲げています。

農業ロボットの分類

農業ロボットといっても様々な種類があります。農研機構は農業ロボットを下記の4つに類型しています。

1 車両型ロボット

• ロボットトラクタ、同田植機、同コンバインなど

2 設備型ロボット

• 畜産施設(搾乳ロボット等) • 園芸施設(接ぎ木ロボット等)

3 マニピュレータ型ロボット

• イチゴ収穫ロボット • イチゴパック詰めロボット

4 アシスト型ロボット

• パワーアシストスーツ等

(農業・食品産業技術総合研究機構 平成26年度新稲作研究会成績検討会・講演会「最近のロボット技術等の研究開発の動向について」より)

農業ロボットの事例

1 車両型ロボット
〇 ロボットトラクター

ヤンマーは全地球測位システム(GPS)を利用して無人で走行し作業をするトラクターを開発し現在、実用化に向けた実証実験を北海道大学と協同でしています。
カメラや通信機能を搭載し、田畑の場所や形状、速度やエンジン回転数をタブレット端末などを通じて入力すします。また、GPS衛星を利用して位置を数センチメートル単位で補正します。

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(https://www.yanmar.com/jp/technology/robotics.html より)

〇 牧畜ロボット「SwagBot」

The University of SydneyAustralian Centre for Field Robotics(シドニー大学フィールドロボティクスセンター)が開発した牧畜犬のように牧場の牛を誘導する(追い回す?)ロボットです。自律的に動き、牛を見つけ、誘導します。

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(http://www.startlr.com/video-of-the-day-robot-shepherd-swagbot/ より)

〇 複数のタスクをこなすロボット「BoniRob」

独Bosch社の子会社Deepfield Robotics がオスナブルック大学及びAmazone社と共同で開発した農業ロボットです。BoniRobは用途に応じてアプリケーションモジュールを交換することができます。
植物の識別、作物の測定や健康状態分析、土壌の密度測定、作物への水遣り、草むしりなどをこなすそうです。

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(http://www.deepfield-robotics.com/de/BoniRob.html より)

2 設備型ロボット
〇 けいはんなプラント

スプレッドが京都府のけいはんな学研都市に2017年にスタートさせるロボットを使った自動野菜工場です。育苗・移植・生育・収穫をロボットを使って完全自動化し、1日に約3万個のレタス、5年以内には1日50万個のレタスを生産する計画です。

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(http://spread.co.jp/vegetable-factory/ より)

〇 オランダISO社の接ぎ木ロボット

ISO社はオランダのベンチャーで、2006年からトマトやナスの接ぎ木装置を開発しています。「Graft1200」は全自動接ぎ木ロボットで1時間に1000本の接木をこなすことができます。熟練者でも1時間に150本の接木がやっととのことですので、1台でおよそ7人分の仕事をこなすことができることになります。

aggregate_004_R(http://www.isogroepmachinebouw.nl/en/isograft1200.html より)

3 マニピュレータ型ロボット
〇 スキューズの「トマト自動収穫ロボット」

工場自動化システムの設計請負やロボット開発を手掛けるスキューズ(京都市南区)が農林水産省から「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」の採択を受け、農事組合法人ながさき南部生産組合と共同開発したロボットです。長崎県や北海道で実証実験を進めています。同社のセンサー技術を活用し、熟したトマトだけを選別・収穫します。

〇 パナソニックの「トマト自動収穫ロボット」

距離・画像センサーと画像処理アルゴリズムで、トマトの色、形、位置を読み取り、手作業のように摘み取るロボットです。

〇 Prospera

イスラエルの「Prospera Technologies」が開発したロボットシステムです。カメラやセンサーを使用して、作物がウイルスに侵された時には、アラートとその理由をアプリを通じて知らせてくれます。また、植物の健康(害虫や病気、栄養不足、および気候に問題)などをセンサーを通じて見つけてくれます。このシステムにはソーラーパネルが付いており、自身の電源を確保することができるようになっています。

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(http://prospera.ag/ より)

4 アシスト型
〇 和歌山大「パワーアシストスーツ」

農作業の身体的負担を軽減する「パワーアシストスーツ」で、今年度市場に導入されることになっています。装着すれば、電動モータの力で最大10キロ分をアシストしてくれます。さらに、歩いたり、中腰で収穫したりするときもサポートしてくれます。事故を防ぐため、あくまでアシストしてくれるのは前に向かって歩いているときだけとのことです。フル充電時の連続作業時間は約2時間です。

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(http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1511/mf_topics02.html より)

〇 クボタアシストスーツ「ラクベスト」

ラクベストはパワースーツではなく、腕を上げたままでの作業を支えるアシストスーツです。肘を支えることで腕の重みを支え、腕を上げての作業をアシストするものです。

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(http://www.jnouki.kubota.co.jp/product/kanren/assist_suit/ より)

 

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