最近のロボットと雇用の話題

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最近のロボットと雇用の話題

将来、「ロボットに仕事が奪われる」そんな予測が、以前よく話題になっていました。2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授が『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文の中で、アメリカの702の職業のうち47%が、10〜20年後に機械によって代わられるとしたことが人々に非常に大きなインパクトを与え、それを契機としていろいろな団体から同様の予測が出されるようになってきたようです。

日本でも2015年12月に野村総合研究所が、今後10年から20年後に49%の職業が、機械や人工知能によって代替することが可能と発表していますが、このような調査では、40~60%の仕事がロボット(AI)に代替されるとしているようです。

そうした予測に対して、ロボット脅威論を唱える論調もあれば、人間はより創造的でやりがいのある仕事に集中できるという楽観論もあります。最近はこの手の話題の新鮮さが薄れてきたのか、以前ほど注目されることは少なくなっってきたようにも思いますが、それでも新たな報告書が出されたり、時々ニュースに取り上げられたりしています。そんな中から最近の話題をいくつか紹介します。

ロボット1台で5,6人の雇用が失われる

2017年3月に全米経済研究所(National Bureau of Economic Reasearch)においてマサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アシモグル教授とボストン大学のパスカル・レストレポ准教授の「Robots and Jobs: Evidence from US Labor Markets」という論文が発表されました。これは1990年から2007年の間の産業用ロボットの使用数増加の影響を調査したもので、それによると、対象期間中、1,000人の労働者に対して1台のロボットを導入すると5、6人分の雇用が失われ、賃金は約0.25~0.5%減っているそうです。

日本、業務の55%が自動化可能

2017年4月23日の日本経済新聞日曜版には、「ロボットと競えますか」というタイトルで、日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ(FT)が共同で行った調査研究が報告されていました。この記事では、業務の34%がロボットに置き換え可能で、国別では日本は55%の業務が自動化可能で、これは米国の46%、欧州の47%、さらには中国の51%やインドの52%をも上回っているとありました。

2030年までに日本では、26%が自動化

2017年12月のマッキンゼー社の報告書「JOBS LOST, JOBS GAINED: WORKFORCE TRANSITIONS IN A TIME OF AUTOMATION」では、2030年までに最大で世界で8億人の雇用がロボットによって失われる可能性があるとしています。報告書では、現在の職業の50%が自動化可能で、60%の職業では労働時間の30%を自動化できるとしています。日本では、26%が自動化され、45歳から50歳がその影響を最も受けると見ています。さらに、2030年までには全世界の労働者の3~14%が、職業を変える必要にせまられるとし、各国とも製造、小売、輸送、農業、宿泊、食品などの産業の雇用が低迷するとみています。

アルゴリズム波、拡張波、自律波

2018年2月6日のPwCの「PwC economists assess how and when workers will be affected by coming waves of automation (PwCのエコノミストは、来るべき自動化の波が労働者にどのように影響を与えるかを評価する)」という記事には、2030年代半ばまでにアルゴリズム波、拡張波および自律波の3つの波動が起き、その影響の例として次のような表を掲載しています。

automation_001_R(PwC  https://www.pwc.co.uk/press-room/press-releases/waves-of-automation.html 参照)

PwC は昨年の「UK Economic Outlook March 2017」においては、国別の自動化による代替率を推定しており、それによるとアメリカは38%、イギリス30%ドイツは35%、そして日本は21%となっています。

automation_002_R(PwC  UK Economic  Outlook  https://www.pwc.co.uk/economic-services/ukeo/pwc-uk-economic-outlook-full-report-march-2017-v2.pdf より)

自動化リスクの高い仕事は9%

2017年12月5日の第3回労働政策審議会労働政策基本部会の資料に、ドイツのMelanie Arntz、Terry Gregory、Ulrich Zierahnらの研究報告書「The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries: A Comparative Analysis」(2016年6月公表)が取り上げられています。34ページからなる報告書ですが、これによれば、自動化リスクの高い仕事(70%以上の確率で自動化される仕事)はOECD諸国全体で9%、アメリカでも 9%に過ぎないとしています。最も割合が高いドイツ、オーストリア、スペインで12%、最も低い韓国やエストニアでは6%で、日本はベルギー、フィンランド、スウェーデンなど共に7%となっています。大部分の職は自動化の可能性が50%で、作業の半分が自動化、残りの半分は人間がこなす職であるとしています。

automation_003_R(The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries: A Comparative Analysis http://www.oecd-ilibrary.org/docserver/download/5jlz9h56dvq7-en.pdf?expires=1519448327&id=id&accname=guest&checksum=FF792BD0D3584085A031881C2DC421E8 より)

 

 

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