探査ロボット「MINERVA-II」

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探査ロボット「MINERVA-II」

小惑星「リュウグウ」に、探査機「はやぶさ2」が分離した探査ロボットが2018年9月22日に無事着陸したことがテレビなどで報道されていました。

「はやぶさ2」から「リュウグウ」の地表に向けて放出されて着陸するのは、小型着陸機「MASCOT」と探査ロボットの「MINERVA-II-1」と「MINERVA-II-2」です。「MINERVA-II-1」はRover1AとRover1Bが搭載され、「MINERVA-II-2」にはRover2が搭載されています。9月22日に着陸したのは「MINERVA-II-1」のRover1Aと1Bです。このあと「MASCOT」、「MINERVA-II-2」の順で着陸を目指すことになります。ちなみにMINERVAは、「MIcro/Nano Experimental Robot Vehicle for Asteroid(超小型小惑星探査用ロボット実験機)」の頭文字からとられているそうです。

minerva_001_R(JAXA「はやぶさ2情報源 Fact Sheet 小惑星到着直前版 ver2.2 2018.06.27 はやぶさ2プロジェクトチーム http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/files/sat33_fs_22.pdf より」

主な仕様

JAXAの資料によれば、MINERVA-II-1は分離機構を含む2.5kg(別の資料では3.3kg)となっています。Rover1A及び1Bとも直径180mm、高さ70mmの正十六角柱で、重さが約1.1Kgとなっています。広角、ステレオの2種類のカメラ(1Aには4個で内2台が広角、1Bには3個で内1台が広角)と温度センサ、フォトダイオード、加速度計、ジャイロなどの機器が搭載されています。通信速度は、9月21日の説明会によれば、最大32kbps、1秒間に4KBで、2台で通信回線をシェアするため通信速度は10kbpsくらいとのことです。

MINERVA-II-2は分離機構を含む1.6kgで、搭載されているRover2は直径150mm、高さ160mm、重さ約1kgとなっています。こちらもRover1A及び1Bと同じようにカメラ、温度センサー、フォトダイオード、加速度計などの機器が搭載されています。

「MASCOT(Mobile Asteroid Surface Scout)」は、ドイツ航空宇宙センターとフランス国立宇宙研究センターが主体となって開発した重さが約10kgの小型着陸機です。着陸機は30cm角で厚さ20cmの直方体をしています。この中には、複数波長で画像撮影をする広角カメラ、鉱物組成の調査などをする赤外分光顕微鏡、表面温度を測定する熱放射計、地場の測定をする磁力計の4つの機器を搭載しています

ユニークな移動方法

小惑星リュウグウの重力は地球の約8万分の1と非常に小さく、秒速30~40㎝で宇宙空間に飛び出してしまいます。そのため、車輪での移動にでは表面のわずかな凹凸でも車体が浮いてしまいます。さらに摩擦力が小さいためスリップしてしまうという問題もあります。そこで、MINERVA-II-1ではジャンプして移動するというホッピング型の移動メカニズムが採用されています。

機体に内蔵されたリアクションホイールと呼ばれるはずみ車をDCモータで回転させると逆向きに回転しようとする反力が発生します。このときに働く小惑星表面を押し付ける力によってホップするというものです。秒速10cm程度の速度で飛び上がり、確度にもよりますが10mくらいは移動できるとのことです。

MINERVA-II-2のRover2には、5つの大学(東北大、東京電機大、大阪大、山形大、東京理科大)によって開発された次の4種類の移動機構が搭載されています。

〇 バイメタルを用いた環境駆動型移動機構

小惑星の温度変化を利用してバイメタルを駆動させて長期にわたる移動を可能にするものです。

〇 板バネを用いた弾性エネルギー開放型移動機構

飛び移り座屈現象というものをホッピングに利用したものです。飛び移り座屈現象とは、日常で目にするものとしては、灯油の1斗缶の蓋のような曲面の凸面を押すとある地点で急に大きくたわんで反転するような現象です。

〇 偏心モータ及び弾性突起を用いたマイクロホップ型移動機構

偏心モータの遠心力とテフロン性の繊毛束を利用した微小なマイクロホップ移動です。

〇 永久磁石を用いた内部撃力型移動機構

二つの固定永久磁石間を可動永久磁石をスライドさせて衝突力を発生させることでローバーを跳躍させるというものです。

 バイメタルと板バネを用いたものは非モータ駆動で、偏心モータと永久磁石を用いたものはDCモータ駆動です。これらの中で偏心モータを用いた駆動機構は、ジャンプするというよりもブラシの振動で滑るように動く仕組みになっています。

これらアクチュエータの重さは非常に軽く作られており4つ遇わせても約88gで、板バネを用いたアクチュエータはわずか7gです。一番重い永久磁石を用いたアクチュエータでも29.2gとなっています。

なお、MINERVA-II-2に搭載されたRover2の着陸は来年の予定とのことです。

 

参考資料

・JAXA「はやぶさ2情報源 Fact Sheet 小惑星到着直前版 ver2.2 2018.06.27 はやぶさ2プロジェクトチーム http://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/files/sat33_fs_22.pdf

・JAXA「小惑星探査機「はやぶさ2」搭載ローバ MINERVA―Ⅱ1の分離運用について 2015年9月21日 JAXAはやぶさ2プロジェクトhttp://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/files/20180921_minerva2.pdf

・2015 年 12 月 7 日:MINERVA-II 講演会  http://www-dsc.mech.eng.osaka-u.ac.jp/SFRI/files/space_flight_seminar04.pdf

 

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