介護ロボット

care_009_R

介護ロボット協議会

厚生労働省が「介護ロボット協議会」を立ち上げるというニュースがありましたが、内容は、介護現場の声やニーズを集約し、それをロボット介護機器の開発につなげようというもののようです。

厚生労働省と経済産業省は、2012年にロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出のため、「ロボット技術の介護利用における重点分野」を策定し、さらに2014年に改定(1分野(入浴支援)と3項目を追加)して5分野8項目からなる重点分野を決めています。今回の「介護ロボット協議会」立ち上げの話は、より介護側の目線にたった現場ニーズをこの5分野8項目に反映させようという考えがあるように推測します。

ちなみに、ロボット技術の介護利用に関する5分野8項目とは下記のとおりです。

(1)移乗介助

〇ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器

〇ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う 非装着型の機器

care_003

(2)移動支援

〇高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用 いた歩行支援機器

〇高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ 内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器

care_004

(3)排泄支援

〇排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ

care_005

(4)認知症の方の見守り

〇介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術 を用いた機器のプラットフォーム

〇在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム

care_007

(5)入浴支援

〇ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器

care_006_R

(介護ロボットポータルサイトhttp://robotcare.jp/ 参照)

介護ロボットとは

介護ロボットに関する厳密な定義は今のところ存在しないようです。ですので「介護支援ロボット」と言ったり、「生活支援ロボット」と言ったりすることもあります。イメージとしては、介護を必要とする人あるいは介護をする人の身体機能や作業、生活を支援する機器というとらえ方をしていることが一般的なようです。

また、介護ロボットの種類・タイプも様々あり、厚生労働省では、機器の利用方法や機能、特に人との接触の度合いに着目して下記のように分類しています。

care_001_R

(厚生労働省「福祉用具・介護ロボット開発の手引き」より)

介護ロボット活用の領域については、全国に先駆けて介護ロボットの普及を推進する「介護ロボット普及推進事業」に取り組んでいる公益社団法人かながわ福祉サービス振興会は、福祉機器や介護機器の中でも先端的な機器を「介護ロボット」と位置付け、大きく3つの領域を想定しています。

care_002

(公益社団法人かながわ福祉サービス振興会http://www.kaigo-robot-kanafuku.jp/category/1438992.html より)

介護ロボット普及へ

厚生労働省は、平成27年度の補正予算で、介護ロボットを導入する施設や、家庭への補助制度の予算として52億円を確保しました。厚生労働省の補正予算の概要には「介護従事者の介護負担の軽減を図るため、介護施設等が一定額以上の介護ロボットを導入する際の支援を行う。また、高齢者と関わる家族等の介護負担の軽減を図るため、介護ロボット等を活用した見守りを支援する機器を導入する際の支 援を行う。」と記されています。

具体的には、5分野の介護ロボットや機器を導入する際の費用として、20万円を超えるロボットが対象となります。但し、1施設300万円が上限となっています。

介護ロボットは決して安くありません。入浴介助型が約200万円、ロボットスーツHALだと、「ロボットスーツHAL自立支援用(下肢タイプ)」「ロボットスーツHAL自立支援用(単関節タイプ)」「ロボットスーツHAL介護支援用(腰タイプ)」がありますが、レンタルであっても、それぞれ月額18万8000円、13万円、7万8000円と高額です。施設としては導入したくともなかなか踏み切れないというのが現状のようです。そこで、この補助金制度で介護ロボットの普及を図ろうというわけです。

介護ロボットの市場

物が売れない時代にあって、20年後の2035年には国内の市場規模が約24倍になっていると予想されているのが「介護ロボット」市場です。介護ロボットの国内市場規模は、今は約20~150億円といわれますが、政府は2020年までにその規模を500億円に拡大する目標を掲げています。

このような予測や期待は、決して的外れなものではなく、少子高齢化社会の急速な進展によって、介護を必要とする人の増加と、介護する人の不足が日本ではますます深刻になり、そして日本を追うかのように中国をはじめとして世界各地で対応すべき問題となってくることが確実であり、それとともに介護ロボットの市場が世界規模で拡大していくであろうと予想されるからです。

とは言え、2020年の500億円規模の市場というのは、自動車や家電などに比べるとまだ小さな市場です。市場がさほど大きくなく、一方で新しい分野だけに事故などのリスクもあることから、トヨタや村田製作所、パナソニックなどが参入しているとはいえ、多くの大企業は市場への参入を躊躇しているように思います。ですが、見方を変えれば、中小企業やベンチャー企業にビジネスチャンスがあるとも言えます。

care_008_R

(カブドットコム証券http://kabu.com/investment/igoffice/report/20141127-2fujii.html より)

介護ロボットの普及の課題

介護ロボット導入の敷居は下がりつつありますが、広く普及するまでにはまだ時間がかかりそうです。一般的に、介護ロボットの普及が思うように進まない理由として、価格が高いといったことが言われます。しかし、それだけではなく、機能面で、まだ現場ニーズに十分に対応できていないこともあるようです。

人を扱う仕事においては、単純な作業の繰り返しというわけにはいきません。職員の仕事は多岐に渡り、分業化もできません。同じ内容の介護であっても、対象者(年齢、男女、障害の程度など)によってやり方が変わります。そうした仕事において、一日中パワーアシストを装着していることは現実的ではなく、装着ロボットを取り外して別の仕事に取り掛からなくてはいけないことが度々起きます。部分的には役に立っても、全ての仕事に必要とはしない製品は、現場では勝手が悪いわけです。こうしたことが普及のネックとなっているようです。

前述の「介護ロボット協議会」は、こうした現場の声をロボット開発に生かそうという取り組みの一つのようです。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です