WPT

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ワイヤレス電力伝送

ワイヤレス電力伝送は、「ワイヤレス給電」「非接触電力伝送」「無線電力伝送」「非接触充電」あるいは「空中給電」などの言い方がありますが、いずれも電気的接触のない状態で電力を伝える技術です。それぞれの呼称の違いは、利用の態様、機能、用途、分野などによって使い分けられているようですが、ワイヤレス電力伝送が一般的なようです。また、WPT(wireless power transmission/transfer)と略語で表記されることも多いようです。

ワイヤレスと言っても伝送距離は、私たちの身近にある家電のようなほぼ接触状態のものから、宇宙での太陽光発電の電力伝送のような長距離まで広範囲です。
このワイヤレス電力伝送あるいはワイヤレス給電という技術そのものは古いもので、磁束密度の単位T(テスラ)にもなっている二コラ・テスラが1899年にWPTの実験で電球を点灯させています。

総務省の平成20年12月に開催された「第2回電波政策懇談会」での資料2-1「10年後、亡くなっているもの」(岩浪構成員)では、電波政策の推進によって10年後、亡くなっているものとして、「交通事故」「看板」「病気」「財布の中のカード」などと共に「家電製品の配線」が挙げられ、「電池切れがなくなり、携帯電話やホータプルAV機器、ノートPCなどがいつでもどこでもワイヤレスで充電できるワイヤレス電源供給」と述べられています。それからもうすぐ10年ですが、ワイヤレス充電の機器が増えてきてはいますが「配線がなくなる」とまではまだ行かないようです。しかし、近年、技術の進展と相まって、家電にとどまらずIoTデバイスやEVへの給電方法として、その注目度が上がってきているようです。

先日(2017年8月26日)、文科省が窒化ガリウムを活用したワイヤレス給電の研究開発に2018年度からの3年間で2~6億円の助成をするとのニュースがありました。その前(2017年8月24日)には、ガートナー社が「デジタル・ビジネスをサポートするパーソナル・テクノロジのトップ10」を発表し、その10番目にワイヤレス給電を挙げています。ガートナー社の説明ではワイヤレス給電にエネルギーハーベスティングも含めているようです。
秋にはリリースされるのではと言われているiPhone8ですが、様々なうわさが飛び交っています、その噂の中に、充電器の上にのせなくても部屋の中にいるだけで充電される遠距離ワイヤレス充電が採用されるのではないかというものもあるようです。

ワイヤレス電力伝送の種類

特許庁の「平成26年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 非接触給電関連技術」では、各給電方式の技術概要や用語は学術的にも議論されており、明確な定義がないとしたうえで。次のように分類しています。
① 電磁誘導方式
② 磁界共振方式
③ 電界共振方式
④ マイクロ波方式
⑤ レーザー方式
⑥ 超音波方式

他には、漏れたエネルギーはロスになり効率は良くないものの遠方のデバイスに給電することのできる「放射型」と、エネルギー漏れがなく効率が良いが近くにしか届かず近傍領域への給電に使われる「非放射型」に大きく分け、放射型では電波式とレーザー式、非放射型では磁界結合式(さらに電磁誘導式、磁界共振式)、電解結合式、エバネッセント波式に分類する方法もあります。

wpt_001_R(特技懇279号 ワイヤレス給電の技術概要 http://www.tokugikon.jp/gikonshi/279/279tokusyu1.pdf より)

放射型、非放射型を下図のように分類するものもあります。

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(RFワールド№25参照)

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(WQC株式会社 ワイヤレス給電とは?http://www.wqctech.com/aboutwpt より)

充電器のない充電

現在、家電やスマホなどで使われているワイヤレス給電は、多くは充電器に置いて充電するもので、その充電器はケーブルでコンセントにつながっています。ですので本来のワイヤレスではないという考えがあります。
充電ということを意識することなく自動でいつの間にか充電ができているというそんな技術も開発されてきています。

〇 WattUp

WattUpはEnergous社が開発するワイヤレス給電技術で、CES 2015で発表され注目されました。WattUpは送電機から最大約4.5m離れたモバイルデバイスやウェアラブルデバイスを充電でき、10W以下のモバイル機器ならば、最大12個まで同時にワイヤレス給電が可能とのことです。
WattUpは、5.8GHz帯の送電機(トランスミッター)を使うようです。またBLE通信によって充電が必要な機器を見つけ出し、そこにRF信号を集中させるとのことです。無線で電気が贈られるのは、専用アプリで受電設定した端末にのみです。。

〇 PowerSpot

PowerSpotはPowercast社が開発する送電機で、2010年から利用されていた工業、商業、軍事市場向けのPowercasterを家庭向けにした製品のようです。

〇 Cota

Cotaは、アメリカのOssia社が開発する2.4.GHz帯の電波を使ったワイヤレス給電技術で、約10m離れた場所に1Wの送電が可能で、Wi-Fiと同じ周波数帯であるため、アンテナはWi-Fiと共用できるとのことです。安全性に関しては、Ossia社では、連邦通信委員会(FCC)準拠のテストをクリアしていること述べています。

〇 PoWiFi

PoWiFi(Power over Wi-Fi)はワシントン大学研究チームが開発する技術で、既成のWi-Fiルーターを活用し、通信と電力伝送を同時にできるようにしたものです。実験では、5m離れたところの低消費電力のVGAカメラを無線で動作させるのに成功しており、ウェアラブルフィットネストラッカーのバッテリーは、2.5時間で41%まで充電できたとのことです。

〇 uBeam

uBeamはアメリカのuBeam社が開発する超音波を使って送電する技術です。モバイル機器側に受信・変換器を取り付け、受信した超音波を電気に変換する仕組みです。2014年の初期プロトタイプデバイスの開発では、20khz以上の超音波を使って伝送可能距離は約7mでした。
余談ですが、uBeam社は 2011の創立で、共同創業者で最高経営責任者(CEO)であるメレディス・ペリー女史が当時21歳と非常に若かったことやMosaicやNetscape Navigatorの開発者であるマーク・アンドリーセン氏などそうそうたる実業家から出資を得たことで注目された企業です。

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