RISINGII

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RISINGII

RISINGIIは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2016年から2020年まで取り組む「革新型蓄電池実用化促進基盤技術開発」のことです。ニュースリリースでは、大学・研究機関、企業の連携により、リチウムイオン電池(LIB)の性能を超える革新型蓄電池の実用化に向けた共通基盤技術の開発を行い、2030年を目途に、ガソリン車並みの走行性能(500km)を有する普及価格帯の電気自動車(EV)を可能とする車載用蓄電池を開発しようというプロジェクトです。
RISINGII の取組みは、その前のRISING「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業(2009年度~2015年度)」で得られた成果を2030年の実用化に向けてさらに発展させるもので、5年間に150億~180億の予算をかけ、きわめて難易度の高い取り組みであることから、京大を代表機関に16大学、10企業、4研究機関が参加し、連携体制を作って技術的なブレークスルーを目指すとしています。そして、2020年代前半までに革新型蓄電池の有望な電池タイプ・構成材料を絞り込み、本事業終了後に企業における実用化開発が可能となるところまで研究フェーズを移行させることを目指すとしています。

rising2_002(NEDO NewsRelease 2016年5月18日http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100570.html より)

比較してエネルギー密度が高いリチウムイオン電池も、原理上達成可能なエネルギー密度は250~300Wh/Kgとされています。500kmの航続を可能とするには、400~500Wh/kgのエネルギー密度が必要となり、リチウムイオン電池の限界が見えつつあります。
そんな中、RISINGII の前のRISING「革新型蓄電池先端科学基礎研究事業」において、3タイプの革新型蓄電池(亜鉛と酸素を利用する「亜鉛空気電池」、正極に硫化物を用いた「硫化物電池」、これまで不活性とされた材料の界面をナノレベルで制御し充放電を可能にした「ナノ界面制御電池」)を開発し、それぞれにおいてエネルギー密度300Wh/kgを検証し、その内、ナノ界面制御電池はエネルギー密度(※1)398Wh/kgを確認し、目標とする500Wh/kgの見通しを得ています。
今年度から始まるRISINGIIでは、その開発された亜鉛空気電池、硫化物電池、ナノ界面制御電池のいずれかを自動車に採用できるような段階まで電池のセルの仕様を明確にするとともに、コストも1kWhあたり1万円を目途にするとしています。下図のとおり、現在のリチウムイオン電池のコスト1が20万円ですので、性能を高めかつコストを20分の1にするというのですから、かなり高い目標のようにも見えます。

各種蓄電池の比較

rising2_001_R(蓄電池戦略 平成24年7月 経済産業省 蓄電池戦略プロジェクトチームhttp://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_problem_committee/028/pdf/28sankou2-2.pdf より)

(※1)電池の単位質量当たりの取出せるエネルギー(電力量)をエネルギー密度といいます。500Wh/kgは、電池1kg当たりの取出せる電力量(Wh(ワット・アワー))を示してあり、1kg当たり500Whのエネルギーが取出せることになります。ちなみに電力量[Wh]は電圧[V]×容量[Ah]です。

リザーバ型蓄電池とアニオン移動型、カチオン移動型

現在のリチウムイオン蓄電池は、イオンを収納する入れ物(ホスト材料)の間でリチウムイオンをやりとりする「インサーション型蓄電池」と言われるものです。繰り返し充放電特性に優れるいるものの、入れ物(ホスト材料)が重くかさばるため前述のように実現可能なエネルギー密度に限界があります。
そこで、この入れ物を廃して金属そのものを電極として利用する「リザーバ型蓄電池」の研究をRISINGで行い、前述の成果を得るところまでこぎつけたようです。
「リザーバ型蓄電池」では、カチオン(陽イオン、具体的にはリチウムイオン)が移動する方式と、アニオン(陰イオン、具体的にはフッ化物イオンF-や塩化物イオンCl-)が移動する方式の2種類が研究対象で、アニオン移動型の電池として、亜鉛空気電池とハロゲン化物を利用したナノ界面制御電池、カチオン移動型の電池としては、硫化物電池とコンバージョン型のナノ界面制御電池の研究開発がRISINGIIによって進められていくようです。

インサーション型とリザーバ型の概念図

rising2_003_R(京都大学「リチウムイオン電池を凌ぐ革新型蓄電池の基礎技術を構築 -RISING プロジェクトの成果発表-」 http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/documents/160328_1/01.pdf より)

 

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