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EnOceanとは電池なしに無線通信する技術
EnOceanとは光や温度、振動など比較的微弱なエネルギーを集めて電力に変換する「エネルギーハーベスト技術(環境発電技術)」の一つで、変換した電力で無線通信する国際規格(ISO/IEC 14543-3-10)です。300社以上の企業が採用しており1200種類以上(*)の製品が出ています。各種スイッチや窓の開閉検知、動体センサーなど、ビルオートメーションやFAの領域で採用されています。 日本ではローム社が主な取扱会社で、同社はEnOcean Allianceという規格推進団体の主観メンバーにもなっています。
(http://www.yongfu.com.sg/solutions.htm より) (*)EnOcean Allianceのサイトより
EnOceanを使ったIoTゲートウェイ
IoT/M2Mシステムを組む上では、バッテリを使わずにセンサやスイッチからの情報を得られるというのは、バッテリ交換や配置の制約など使い勝手への問題を解消できるという、大きなメリットがあります。 ローム社と株式会社アットマークテクノ社は2014年4月に、IoTゲートウェイとして使えるCPUボードとEnOcean搭載のセンサ基板のセットを提供しています。webアプリケーションがわは特に謳っていないのでそれはユーザ側で用意する必要があるようです。CPUボードはLinuxの走るものにはなっているのでウェブアプリケーションとの通信はLinuxアプリケーションとして開発することになるようです。
(http://www.rohm.co.jp/web/japan/news-detail?news-title=2014-04-10_news&defaultGroupId=false より)
無線通信の規格はEnOcean独自
規格は国際標準規格ISO/IEC14543-3-10です。www.iso.orgからダウンロードできます。EnOceanのISO規格は物理層からアプリケーション層までを含む規格です。日本では、315MHz、928MHzの周波数を使った特定小電力無線局の無線機器という扱いになります。315MHz製品であれば日本と北米の両方に対応するようです。EnOcean製品の入手や詳細情報についてはROHM社のEnOceanのサイトに情報が載っています。当該のサイトに記載の製品は技術基準適合証明取得済みとなっています。
EnOceanを使った事例
販売代理店zaikostore.comのページによるとすでに25万棟以上のビルで用いられているそうです。また、ROHM社のサイトでは次の導入事例が紹介されています。
文化財を傷つけない照明システムのスイッチとしてEnOceanスイッチを利用
京都府の妙心寺、妙心寺三門の公開イベントのライティングの照明スイッチとして、配線する必要やバッテリ交換などのメンテナンスの必要ないEnOceanスイッチが採用されました。
(http://www.rohm.co.jp/web/japan/news-detail?news-title=2014-10-31_news&defaultGroupId=false より)
無線制御植物育成用LEDユニットにEnOceanを採用
ウシオライティング株式会社の2014年10月発売の植物育成用LED照明システム製品の一部にEnOceanが採用されています。植物を育成するためのLED照明の制御は従来、有線のシステムで実現されていましたがそれでは植物育成工場の様々な配置などの条件に合わせたカスタマイズに時間やコストがかかるという問題がありました。これに対してウシオライティングでは機器制御の通信系としてEnOceanを採用し上記の問題を解決しています。当該の製品はPCから調光の制御ができるものとなっています。
(http://www.ushiolighting.co.jp/cms/news/?p=4281 より)