非接触給電方式のいろいろ

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非接触給電(=非接触電力伝送、ワイヤレス電力伝送、ワイヤレス給電)は、IoTデバイスのシステムの実現の上では、電力の供給のやり方を広げる手段の一つとして重要です。 2006年ごろから電動歯ブラシなどでこの送電方式は採用されていました。2010年には国際標準規格の「Qi(チー)」が策定され、これに対応した携帯も出てきています。この技術の今後の課題には、大電力化や、送電側と受電側の位置のずれの自由度を高めることや、安全確保、ほかの機器への影響を低減することがあります。これらは各社で引き続き取り組まれていますので、今後、より性能の高い送電受電デバイスが出てくるでしょう。

現在実用化が進められているものとしては、下記の図に示すように大きく電磁誘導方式・磁気共鳴方式・マイクロ波放電方式の3つがあります。

 

非接触給電方式比較

(http://www.tdk.co.jp/techmag/knowledge/200912u/ より)

ワイヤレス給電方式比較(レクテナ)

(http://www.den-gyo.com/solution/solution01_d_a_f.html より)

電磁誘導方式

Qi(チー)で採用されている方式は電磁誘導方式です。送電側と受電側との間で発生する誘導磁束を利用して電力を送る方式のことです。 電磁誘導方式では、受電側に埋め込まれたコイルに電流を流すと、磁束が生じ、受電側のコイルにも電流が流れます。電磁誘導方式は非接触電力送電の方式としては比較的古くから利用されており、電話の子機(コードレス電話)や電動歯ブラシ、電気シェーバーなどに利用されています。 デメリットとしては伝送距離が短いし位置のずれが厳しい(5mmずれるとNGだったりする)、また、5W以下の電力と低いということがあります。

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(Qiのロゴ、http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1112/12/news120.html より)

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(http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1112/12/news120.html より)

Qiの充電パッドが、受電側のコイルの位置の制約なしに送電する方式には、ムービングコイル方式、コイルアレイ方式の2種類の方式があります。 ムービングコイル方式は、送電側のコイルが、モータで駆動されて、受電側コイルのある位置に移動して送電をする方式です。

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(http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1112/12/news120.html より)

下図のような充電パッド1個で小売価格約4500円程度です。

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(http://panasonic.jp/battery/chargepad/qe-tm101/ より)

 磁界共鳴方式

磁界共鳴方式とは、非接触電力伝送の方式のうち、送電側と受電側にコイルとコンデンサを埋め込み、それぞれの共振器を磁界共鳴させて、電力を伝送する方式です。受電側は、共鳴によって生じた高周波を整流回路によって直流に変換し、電力として利用する。磁界共鳴方式は、電磁誘導方式などに比べると、伝送距離を長く取れるという利点があります。このため、EV(電気自動車)の充電用の電力伝送方式として開発がすすめられています。デメリットとしては伝送効率が割と低いということがあります。

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(http://clicccar.com/2013/08/13/227664/ より)

WiTricity社が開発・商品化した「磁界共鳴方式※」は日産が採用を予定している昭和飛行機工業製の「電磁誘導方式」に比べて電力の伝達距離や効率が高いのが特徴で、3kWを超える電力を20cm離れても90%以上の効率で送電出来ると言います。
(http://clicccar.com/2013/08/13/227664/ より)
TDK社も米国のWiTricity(ワイトリシティ)社と提携した非接触給電システムを発表しており、2015年1月にサンプル品の提供を開始します。
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(http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320141008bjar.html より)
磁界共鳴方式(磁界結合方式)のものの中には、Advantest社のAirTapという製品のように空間的な配置の自由度の高い方式もあります。このAirTapはまだ製品化途中ですが、サンプルの提供をすでに開始しています。

(https://www.advantest.com/JP/Products/NCPI/ADV007135 より)

電波受信方式

電波受信方式とは、非接触充電を含む非接触電力伝送の方式のうち、磁誘導を利用して電力を送る方式のことです。電波受信方式では、送電側で電流を電磁波に変換して受電側に送り、受電側はアンテナから電磁波を受信、整流回路を通じて直流電流に変換し、電力として利用する仕組みとなっています。電波受信方式の用途の具体的な例として、FeliCaをはじめとするRFID(パッシブRFIDタグ)を挙げることができます。伝送距離は数メートルと長いですが伝送効率は悪いです。

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cota_001_R ベンチャー企業「Ossia(オシア)」社が開発したワイヤレス給電技術です。トランスミッター (送信) とレシーバー (受信) で構成され、約9メートル離れた位置にある受信機に1ワットの電力を送信することができます。電波は壁面で反射するため、直線で見通せる必要もありませんし、複数の機器に同時に充電することも可能です。壁を隔てた場所での利用も可能とのことです。BluetoothやWiFiと同じ2.4GHz帯を使っています。cota_002

 

電界結合方式

電界結合方式とは、非接触電力伝送において用いられる方式の一種で、送電側と受電側にそれぞれ電極を設置し、電極が近接したときに発生する「電界」を利用してエネルギーを伝送する技術のことです。電界結合方式による非接触電力伝送は、コードレス電話などで普及している電磁誘導方式などに比べて伝送効率が高く、また、機器の自由度が高いとう特徴があります。一つの充電台に対して複数の機器・端末を対応させることが可能です。さらに、電極は位置自由度が高く、充電台と端末の電極をぴったり合わせなくても充電可能であるという長所があります。 電界結合方式は、村田製作所によって開発されました。2010年6月に送受電モジュールの開発が発表され、同年10月には評価キットが発売されています。発表の場において、子供向け玩具を非接触充電する技術として採用されているとの報告がなされています。2011年8月からは10wの電力を供給できる送受電モジュールの量産が始まり、日立マクセル株式会社のワイヤレス充電器セット「エアボルテージ for iPad2」に採用されて2011年11月に発売されました。2012年には25W電界結合型ワイヤレス電力伝送モジュールが開発されています。


http://youtu.be/BlUa9CkJIFc (http://s-max.jp/archives/1485946.html より)

 直流共鳴方式

村田製作所は独自に開発した「直流共鳴方式(Direct Current Resonance)」によるワイヤレス給電システムの発表、並びに実用化を目指したコンソーシアム「ワイヤレス パワーマネジメント コンソーシアム(WPMC)」発足について2013年3月に行いました。そして同年12月にはWPMCコンソーシアムの会員企業向けに直流共鳴方式のワイヤレス給電のデモ・システムを無償で提供しました。共鳴現象を活用して電力を送る方式と言う点では従来のシステムと変わりませんが、これまでと異なるのは、直流電圧から直接、電力を送るという点です。そのため、直流電圧から高周波交流電圧に変換する必要がなくなるため、電力損失が抑えられ、電力伝送効率を向上させることができます。村田製作所の説明によれば、この方式には次のような特長があるとしています。

ⅰ)磁界共鳴方式と比べ、システム構成がシンプル、小型軽量となる。システムの電力効率を大いに高めることができる。

ⅱ)電磁誘導方式と比べ、送電、受電の配置自由度が高い。重い磁性体 (鉄) や面積や体積の大きな巻線 (銅) は不要となり、シンプルに構成することができる。

ⅲ)電界結合方式と比べ、伝送距離を大きくしたいときに優位となる。送電と受電との間で物理的接触は無くてもよい。

ⅳ)無線電波方式と比べ、装置の大きさに対して供給電力を非常に大きくできる。複雑な送電または受電装置は不要で、シンプル、小型軽量に対応できる。

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(http://www.murata.co.jp/products/article/ta1372/index.htmlより)

超音波を用いたワイヤレス給電

ubeam_001_Rベンチャー企業「uBeam」が、電力を超音波を利用したワイヤレス給電技術を可能にする初期プロトタイプとなるデバイスの開発に2014年8月に成功しました。現在試作段階にある伝送装置は、指向性スピーカーのように機能します。超音波を集中させてエネルギーのホットスポットを空間内に作り、電子機器付属の受信機がこのエネルギーを拾い上げて電力に変換します。2年以内に最初の製品を出荷する計画です。(日経サイエンス2015/3より)

壁などの障害物には弱いとされていますが、音波の届く範囲であれば充電器から離れた端末を充電できるほか、端末を持っていたりポケットに入れたまま部屋を動いたとしても自宅でWi-Fiを利用するかのように常に充電されるそうです。

 

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