次世代太陽電池

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次世代太陽電池

2018年7月に(株)富士経済が発表した「新型・次世代太陽電池の世界市場調査」によれば、2030年には2017年比で次世代太陽電池の市場規模は811倍になるそうです。2018年の見込みと比べると162倍になります。

数字を見ると大変な成長ですが、次世代太陽電池で商用化されているものが少なかったり、製造コストや技術水準が既存の太陽電池にまだ追いついていなかったりということもあり、現在の次世代太陽電池の市場は2017年が3億円、2018年の見込みが15億円と非常に小さいものとなっています。

次世代太陽電池にはどんなものがあるのか?

(株)富士経済が調査対象としている次世代太陽電池は、フレキシブル結晶シリコン、フレキシブルGaAs(ガリウムヒ素:一般名)、ペロブスカイト(PSC:Perovskite Solar Cell)、色素増感(DSC:dye sensitized solar cell)、有機薄膜(OPV:Organic Photovoltaics)の5種類です。次世代と言われるものには他にも量子ドット太陽電池やナノウォール型太陽電池などがあります。

太陽電池は、その中に用いられている材料で分類すると、大まかにシリコン系・化合物系・有機系の3つに分類でき、今最も広く用いられているのはシリコン系です。そのシリコン系はさらに結晶シリコン型と薄膜シリコン型に大別され、結晶シリコン型は、単結晶シリコン、多結晶シリコンに分類されるほか、単結晶シリコンと薄膜シリコンをハイブリッド化した多接合型、ヘテロ接合(HIT:Heterojunction with Intrinsic Thin layer)型などに分類されます。これらシリコン系の中でも広く流通しているのが多結晶シリコン太陽電池です。次世代太陽電池としてあげられているフレキシブル結晶シリコンはシリコン系に分類されます。フレキシブルGaAsは化合物系、ペロブスカイト(PSC)、色素増感(DSC)、有機薄膜(OPV)は有機系に分類されます。最高変換効率の変遷を示したNREL 編Best Research Cell Efficienciesを見ると、次世代太陽電池といわれるものは2000年以降、ペロブスカイトだと2012年頃から、前述の量子ドットだと2010年頃からこの表に表れています。

pv_002_R(NREL 編Best Research Cell Efficiencies https://www.nrel.gov/pv/assets/images/efficiency-chart-20180716.jpg より)

太陽電池の分類は材料による分類の他に厚みによる結晶シリコン太陽電池と薄膜太陽電池という分類、接合数による単接合型太陽電池と多接合型太陽電池という分類、さらに動作原理によるpn接合型太陽電池と色素増感太陽電池という分類もあるようです。(産総研太陽光発電研究センターhttps://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/types/groups.html より)

また、呼び方についても、第1世代、第2世代、第3世代といった呼び方や、2世代と3世代の間に2.5世代や3世代のさらに先に第4世代を設けてロードマップを示しているものもあります。

第1世代に当たるのが結晶SiやアモルファスSi太陽電池などでエネルギー効率は25~30%程度、第2世代はエネルギー効率は15%程度と低いのですが、形状がフレキシブルな薄膜太陽電池(CIGS(※1)、色素増感、有機薄膜)、第3世代はエネルギー効率60%以上を目指すヘテロ多接合型太陽電池や量子ドット太陽電池などです。また、エネルギー効率80%以上を目指す強相関電子系太陽電池、プラズモニクス太陽電池、波長変換型太陽電池などを第4世代とする資料もあります。

(※1)CIGSとは、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)の4元素からなる化合物半導体の頭文字をとったものです。

次世代太陽電池の事例

〇 GaAs太陽電池

GaAs太陽電池は、Ⅲ族のガリウム(Ga)とⅤ族のヒ素(As)の2種類の元素で構成された化合物半導体によって発電する太陽電池です。太陽光発電は半導体のバンドギャップを利用して、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換して発電しますが、GaAs太陽電池の場合、光吸収係数が大きく、エネルギーバンドギャップの値が1.41eV(※2)という理想的な値で変換効率が高いというメリットがあります。反面、ガリウムは希少金属(レアメタル)であり、原料であるGaAs(ヒ素ガリウム)のシリコンより高価であることやヒ素が毒性元素である、もろく加工が難しいという課題があります。

(※2)バンドギャップとは、半導体の中にある価電子帯と伝導帯とのエネルギー差のことで、大まかにバンドギャップが大きいほど太陽電池の出力電圧が高まり、バンドギャップが小さいほど出力電流が多くなります。効率的に電力を出力するには、GaAsの1.41eVというバンドギャップは、太陽光発電(PV:Photovoltaic)としては理想的な値になるそうです。

〇 ペロブスカイト太陽電池(PSC)

光電変換材料にペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つヨウ化鉛のイオン性結晶を用いた有機系太陽電池です。軽い、柔らかい、曲げたり半透明にできる、基盤に塗るだけで作れコストを低く抑えることができるなど、メリットも多く、最近盛んに研究されています。変換効率は現在約22%を達成しています。しかし、耐久性、有害な鉛を含むなどの課題もあります。

〇 色素増感太陽電池(DSC)

酸化チタンの表面に色素を吸着させ、その色素が光エネルギーを吸収し、励起した電子が酸化チタンに移動することで発電します。色素によって光の吸収効率を高めているため色素増感太陽電池と呼ばれていますが、光合成に似ているので光合成型の太陽電池ともいわます。

色素を変えることによって、高効率化をはかったりカラーバリエーションを広げるなどのデザイン性に優れていたり、材料が安価で製造設備も大掛かりなものは必要としないなどのメリットがあります。しかし、電解液に有機溶媒を用いるため耐久性に課題があります。

シャープではIoTデバイス向けに2018年度にも、色素増感太陽電池の量産に乗り出すようです。

〇 有機薄膜太陽電池(OPV)

有機薄膜太陽電池は、p型(※3)の有機半導体(電気を通す伝導性の高分子素材)に導電性ポリマーを、n型の有機半導体にフラーレン誘導体を用いています。この2種類の有機半導体を混ぜて溶かした液を樹脂などのフレキシブル基板に吹き付けた構造の太陽電池です。

印刷・塗布による作成で生産コストが安い、有機材料の選択幅が広い、軽量で曲げられるといった特徴があります。しかし,有機材料を用いるため、材料の安定性や耐久性向上に課題があるようです。

(※3)半導体には動きやすい電子がやや多いn型半導体と電子が足りない場所(正孔)を持っているp型半導体があり、太陽電池はこのn型とp型を接合した構造をしています。

〇 量子ドット電池

半導体中に電子を閉じ込めることで、様々なエネルギーの光吸収することが可能になる量子化と呼ばれる現象を利用した、従来の太陽電池よりも高い変換効率が得られる太陽電池です。

半導体の大きさをナノレベルの極めて小さな構造の「量子ドット」構造材料を利用します。「量子効果」を利用することでシリコン太陽電池では使えなかった光も発電に使うことできるようになるそうです。理論上変換効率は60 %以上とされています。現在は30%近くの変換効率を達成しているようです。課題としは、材料に希少なインジウムを使用していることや、微小構造なためコストがかかるということがあります。

pv_001_R(経済産業省資源エネルギー庁 エネルギー情勢懇談会資料www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/ene_situation/006/pdf/006_011_05.pdf より)

 

 

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