ワイヤレス給電規格「Rezence」

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インテルとRezence

2015年6月に、インテルがワイヤレス給電規格「Rezence」を採用した充電器をアクセサリーメーカーのTargusと共同で開発するとともに、Foxconn、Basecom、BYD、Primax、コクヨなどと協力して、Rezence技術を採用する製品が2015年中により多く市場へ送り出されるよう取り組むとの報道がありました。

ワイヤレス給電規格というと、日本では「おくだけ充電(docomo)」に代表される「Qi」規格の方が有名で圧倒的ですので、「Rezence」はあまり馴染みがないかもしれません。ワイヤレス給電の方式には「電磁誘導方式」「磁気共鳴方式」「電波受信方式」「電界結合方式」「直流共鳴方式」のほか超音波を用いたものなど様々な方式がありますが、「Qi」は電磁誘導方式なのに対して「Rezence」は磁気共鳴方式で、2013年末に発表された規格です。

ワイヤレス給電の推進団体(アライアンス)

ワイヤレス給電の規格をめぐっては、現在、大きな団体としては次の3つの推進団体があります。

〇 WPC(Wireless Power Consortium)

wireless_006_RQiを推進するコンソーシアムで2008年から活動しています。主な企業としてはノキア、アスース、フィリップス、デンソー、ファーウェイ、エナジャイザー、日立マクセル、ソニー、パナソニック、東芝、モトローラ、TDK、パンテック、デンソー、ハイアール、NECなどがあります。日本ではもっと普及している規格です。

〇 PMA(Power Matters Alliance)

wireless_002_Rメーカー以外にIEEE(米国電気電子学会)、やスターバックス等が加盟していることも特徴です。主な参加企業はパワーマットテクノロジーズ、P&G、LG電子、NEC、RIM、Google、AT&T、ZTE、スターバックスなどです。

〇 A4WP(Alliance for Wireless Power)

wireless_003_Rサムスンとクアルコムを中心とした提携により誕生した団体で、2012年から活動しています。主な参加企業はサムスン、クアルコム、サンディスク、ハイアールなどです。

wireless_004_Rこの他に、村田製作所が中心に進めている直流共鳴方式の「ワイヤレス パワーマネジメント コンソーシアム(WPMC)」があります。

それぞれの団体では規格を定めてその普及に努めています。WPC(Wireless Power Consortium)は電磁誘導(MI:Magnetic Induction)方式の「Qi」、PMA(Power Matters Alliance)は同じく電磁誘導方式の「Powermat」、A4WP(Alliance for Wireless Power)は、磁気共鳴(MR:Magnetic Resonance)方式の「Rezence」の普及を進めています。

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(日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79040420Z21C14A0000000/ より)

Rezenceの特徴

磁気共鳴方式では、2つのコイルを「共振器」として利用し、充電器のコイルに発生した磁場の振動を同じ周波数で共振する受電側の共振回路に伝えて電力を送電します(詳しくはこちらを)。Rezenceの場合は、磁気共振を起こすための周波数として6.78MHz(6.765MHz 以上6.795MHz 以下)の電波を利用しています。

電磁誘導方式の「Qi」は充電台にぴったりと乗せないと充電できないのですが、Rezenceは、多少離れていても(5cm程度)充電できます。ですので、複数のデバイスを「置くだけで充電」といった充電器を製品化することが可能です。ただ、磁界共鳴方式の充電器は、電磁誘導方式に比べて回路が複雑になるという難点もあるようです。また、Rezenceでは受電装置以外には電気がいかないように設計されているので、給電装置のスマホの下に金属類があっても、スマホのみに電気が流れる仕組みになっているそうです。

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(http://iq.intel.ro/legenda-devenita-realitate-device-uri-incarcate-wireless/ より)

Alliance for WirelessPower(A4WP)と、Power Matters Alliance(PMA)の統合

2015年6月、Alliance for WirelessPower(A4WP)と、Power Matters Alliance(PMA)が統合することで合意しました。新組織の名称は2015年中には決定するようです。新しい組織には170を超える企業が参加し、AT&T、Broadcom、Integrated Device Technology、Intel、Samsung、Qualcomm、Starbucksなどが理事会メンバー企業となっています。

前述のようにA4WPとPMAは磁気共鳴方式と電磁誘導方式というように採用する技術が違います。合意では、PMAはA4WPの磁界共鳴方式Rezenceを標準規格とし、A4WPはRezence規格に、オプション規格としてPMAの電磁誘導規格を採用するとともに、Open Network APIの研究開発を協同で進めることになったようです。

ただ、両者にはA4WPの採用している周波数が6.78MHzなのに対してPMAが採用している周波数帯域は200~400kHzということや、A4WPはある程度離れていても充電が可能なのに対して、PMAは最長でも10cm程度の距離までしか給電できないといった技術的な差異があり、今後の違いをどのように埋めていくのかが課題のように思います。

 

 

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