MaaS

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MaaS

最近、MaaS(マース)という言葉をよく耳にするようになってきました。MaaSはMobility as a Serviceの略で、フィンランドのMaaS Global 社のCEOであるSampo Hietanen 等が提唱した概念と言われています。日本語では「サービスとしてのモビリティ」「移動のサービス化」「モビリティのサービス化」などと呼ばれています。

MaaS(マース)はもともと2012年から政府がスタートアップによる事業化を助成したプロジェクトが始まりのようです。日本での移動手段といえば、自動車や電車、バス、タクシーなどですが、海外ではさらにUber(ウーバー)のようなオンデマンド型配車プラットフォームや自転車のシェアリングサービスなど多様化しています。こうした様々な移動手段・サービスを連携させ、さらには決済サービスをも含めてワンストップで提供するプラットフォームを構築しようというプロジェクトです。

以前から、道路上の車両の効率的な運用を目的とするSAVS (Smart Access Vehicle System ) やFMOD(Flexible Mobility On Demand )という概念があったようですが、MaaSは道路上の車両だけでなく、鉄道、船舶、さらにはシェアリングを含め、検索・予約・支払いまで一元化したところに特徴があるようです。

フィンランドのヘルシンキでは、2013年から2015年まで9人乗りの「Kutsuplus」と呼ばれるミニバスを使ったMaaS(乗車にはスマホのアプリで出発地点と目的地点、希望時刻を入力。すると、乗車地点・降車地点・時刻が返信され、乗客に合わせた最適のルートを割り出す。料金は自動引落)の実験が行われました。また、ヘルシンキで2014年に開催されたITS 世界会議(ITS European Congress)で、MaaSのコンセプトが発表され、2015 年10 月にフランスのボルドーで開催されたITS 世界会議では、欧州内の産学官20 組織が参加して「European Mobility-as-a-Service Alliance(欧州MaaS 連合)」が結成されています。

日本でも、クルマのコネクテッド化や自動運転などの進展とともに注目されつつありましたが、2018年1月のCESで、トヨタ自動車が、クルマの製造からモビリティサービスの提供へと製造業からの脱却を宣言したことで、一気に注目度が上がったように思います。

MaaSの定義

MaaS(サービスとしてのモビリティ)の概念や定義については、いろいろな説明がなされています。例えば、日興AMファンドアカデミー「語句よみ」では次のように説明しています。

・・・移動手段を自動車の所有という「モノ」で提供するのではなく、「サービス」として提供することを指します。(日興AMファンドアカデミー「語句よみ」第186号2017年11月4日より)

公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集には次のような記述があります。

MaaS は、利用者が適材適所で交通サービスを組み合わせて使いやすくすることで、自家用車を保有し運転することの代替となりうるサービスを目指す概念である。

(大都市圏向け統合モビリティサービスMetro-MaaSの提案と需要評価 -自動運転車によるオンデマンドバスと既存公共交通の将来的な統合を目指して- 公益社団法人日本都市計画学会 都市計画論文集 Vol.52 No.3 2017年 10月 https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/52/3/52_833/_pdf より)

また、土木計画学研究発表会・講演集では、交通手段(移動手段)のパッケージ化という言葉で説明された記述があります。

通信手段の発展に伴い、交通分野では複数の交通手段をパッケージ化して提供

出発地から目的地までの移動手段をパッケージ化して提供するサービス

(第56回土木計画学研究発表会・講演集「自動運転車によるシェア型交通導入の影響分析―MaaS時代を見据えた一考察―」 https://infoshako.sk.tsukuba.ac.jp/~tj330/Labo/taniguchi/member/pdf/doboku17katsuki.pdf より)

2012年に設立された新経済連盟(新経連)の日本のイノベーション基盤の確立を目的としたPT(プロジェクトチーム)、TF(タスクフォース)の一つである「シェアリングエコノミー推進PT」が経済産業省などに行った提言資料では、次のようにMaaSを定義しています。

 MaaSとは様々な移動オプション(鉄道、バス、タクシー、ライド シェア、カーシェア 等)をICTやデジタル技術によって統合し、ワンストップで移動サービスを提供するもの。

(「ライドシェア実現に向けて」2016年11⽉30⽇シェアリングエコノミー推進PT file:///c:/users/yumek/pictures/maas/ライドシェア実現に向けて.pdf より)

イギリスのTransport Systems CatapultのMaaS

2016年7月に出されたTransport Systems Catapult(輸送システム・カタパルト)の「MOBILITY AS A SERVICE.2016」では、MaaSを次のように定義したとしています。

The Transport Systems Catapult has deined MaaS as using a digital interface to source and manage the provision of a transport related service(s) which meets the mobility requirements of a customer.

(移送システムCatapultは、顧客のモビリティ要件を満たす移送関連サービスの供給を管理し、そのためにデジタルインターフェースを使用するとMaaSを定義しました。)

電子情報ベースで交通関連サービスの提供を確保・管理して顧客のモビリティ要件を満たすことと言えます。

さらに報告書には、

「MaaS is a new concept that offers consumers access to a range of vehicle types and journey experiences.(MaaSは、コンシューマーに様々なタイプの車両や旅の経験を提供する新しいコンセプトです)」

とも記されています。

また、MaaSにはCustomer、MaaS Provide、Data Provider、Transport Operator(運送事業者)などさまざまなステークホルダーが関わっていて、それぞれのステークホルダーは、MaaS製品の開発と提供に重要な役割を果たすとともに、MaaSエコシステムを形成しているとしています。

maas_value_chain_001_R(MOBILITY AS A SERVICE.2016 https://ts.catapult.org.uk/wp-content/uploads/2016/07/Mobility-as-a-Service_Exploring-the-Opportunity-for-MaaS-in-the-UK-Web.pdf より)

MaaSによって顧客にもたらされる便益については、次の5つが述べられています。

①パーソナライズドされたサービスの提供

②スマートフォン、スマートウォッチ、スマートカード、銀行カードなどのさまざまなデバイスを使用して、移動手段やサービスの使用が容易

③使用毎の支払い、事前・事後支払いなど利用者のニーズに合わせた支払いが可能

④リアルタイムでユーザーに知らせてくれる動的な移動管理サービスの提供

⑤時間、コスト、快適性、利便性などの個人的な好みに基づいた移動計画が可能

(MOBILITY AS A SERVICE.2016 https://ts.catapult.org.uk/wp-content/uploads/2016/07/Mobility-as-a-Service_Exploring-the-Opportunity-for-MaaS-in-the-UK-Web.pdf より要約)

MaaSの利用料金(フィンランド)

フィンランドで始まっているMaaSですが、実際にはいくらの料金でどんなサービスが提供されているのでしょうか?

ITS FinlandのWebサイトには、「安い価格で一流のサービス」と題して、毎月可能なパッケージの月額料金の例が下図のように示してあります。

maas_002_R(ITS Finland 「Mobility as a Service」 http://www.its-finland.fi/index.php/en/palvelut/mobility-as-a-service.html より)

これには、「都市通勤者用」「待ち時間15分」「ビジネス客要」「ファミリー用」の4種類があります。都市通勤者用は月額95ユーロで、居住都市内公共交通無料、タクシー100kmまで無料、レンタカー500kmまで無料、国内公共交通1,500kmまで無料などとなっています。また、ファミリー用では、月額1,200ユーロで、乗用車リースと道路利用、家族全員相乗りタクシー待ち時間15分以内、家族全員居住都市内公共交通無料、国内公共交通2,500kmまで無料などとなっています。

しかし、日本で報道されている記事を見ると、MaaS Global社がヘルシンキで始めたWhimを使ったサービスについて、月額 89ユーロ、249ユーロ、389ユーロの3種類があると紹介している記事が多く見かけられます。

MaaS Global社のWebサイトには、Whim to Go、Whim Urban、Whim Unlimitedの3種類が掲載されており、月額499ユーロ支払うと全ての移動手段が乗り放題になります。但し、タクシーは5キロメートル以内です。また、月額49ユーロのパッケージでは、ヘルシンキ公共交通システムの無制限利用と1日10ユーロを上限のタクシー利用、1日49ユーロのレンタカー利用が可能となっています。このパッケージは2017年の12月に提供されたようです。

maas_003_Rhttps://whimapp.com/ より)

 

 

 

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