M2Mと通信事業者

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500億のモノがインターネットにつながる時代

エリクソンが2011年に提唱した「ネットワーク社会」、つまり、ネットワークにつながることでメリットのあるものはすべて接続される社会は、10年ごとにインパクトが訪れるとしました。第1のインパクトは2000年に訪れ、インターネットによって5億の場所と場所がつながり、第2のインパクトは2010年に訪れ、モバイル(パーソナル携帯電話)によって50億の人と人がつながったとしています。そして、第3のインパクトが訪れるのは2020年で、それは500億のデバイスがネットワークに接続される時代であるとしています。

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(https://www1.ericsson.com/res/site_JP/press/2012/doc/Connected_Devices_Integration.pdf 「M2M市場の課題とエリクソンのサービス展開」より)

シスコも2013年のInternet of Everything(IoE)に関するホワイトペーパーの中で、

・・・試算では、2000 年には約2 億個にずぎなかったインターネットに接続可能なモノが、モバイルコンピューティングなどの技術の進歩により、2013年現在、この数字は100億近くまで増加し、すでにInternet of Things(IoT)時代は到来していると考えています。この勢いはさらに加速し、2020年までには500億までに上り、インターネットは、人、プロセス、データ、モノを組み合わせたIoE時代へと大きく成長すると考えています。(http://www.cisco.com/web/JP/news/pr/2013/022.html より)

と述べています。

m2malliance_008_R(http://www.cisco.com/web/JP/news/pr/2013/docs/IoE_Economy_VAS_Japan_WP.pdf より)

こうした予測の根拠は、急速なM2M/IoTの普及拡大が今後見込まれるからなのだろうと思います。

M2M/IoTの普及拡大の兆しと通信事業

「インターネット白書2013-2014すべてがつながる未来へ」(編者:インターネット白書編集委員会)では、M2M市場は着実に伸びてきていはいるものの、これまでは爆発的とまでは言えなかったが、ここにきて、コンシューマー領域のM2Mの用途の開発やビッグデータの活用が進んだことなどからM2M市場の普及拡大が進んできていると見ているようです。もちろん、通信モジュールの小型化や低価格化が進んだこともありますし、低トラフィックという特性に合わせたM2M専用の通信料金などもそれらを後押ししています。

「NIKKEI COMMUNICATIONS NOVEMBER 2014」では、これまでのM2M市場は低空飛行を続けてきたとしています。しかし、近年変化の兆しが見えてきており、その要因として「コスト削減」「最適化」「エコシステム形成」の3つのキーワードを挙げています。
その中の「コスト削減」については

・通信モジュールや回線費用の低廉化
・通信事業者によるグローバルアライアンスの進展(ローミング料金の削減、サポート体制の強化)
・M2M共通プラットフォーム
・eSIMの商用化

等を挙げており、通信事業者の果している役割が大きいようです。

みずほ産業調査2015№2「欧州の競争力の源泉を探る~今、課題と向き合う欧州から学ぶべきことは何か~」では、欧州の通信事業者の成長戦略について述べた記述の中で、M2M(モノの通信)は今後非常に高い成長性が期待できる未開拓分野であるとしています。その上で、Vodafoneの事例を取り上げて、M2M分野において、世界最大のグローバルネットワークを有する強みを活かした積極的な事業展開を図っているとしています。そして、通信事業者のM2M事業における差別化のポイントとして

・グローバルネットワークでサービスが利用できること(グローバルベースで利用できる SIMが提供できること)
・サービス品質(SLA)がグローバルで統一されていること
・ワンストップでサポートサービス等を利用できること

(http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1050_02_13.pdf 編集/発行 みずほ銀行産業調査部 より)

等を挙げ、Vodafoneのようなグローバルネットワークを有しない日本の通信事業者においては、アライアンスを通じてこれを実現していく必要があるとしています。

総務省の電波政策ビジョン懇談会(第12回)の中で、グローバルM2Mサービス提供に向けた通信キャリアの連携について、

・各国キャリアはビジネスユーザ向けM2Mにおいて大規模ユーザとなるグローバル企業を獲得するため、通信事業者間のアライアンスを強化し、ワンストップでグローバルにサービスを提供できる環境を整備。
・国内キャリアは各アライアンスの主要メンバとして参加。各国キャリアにとっても日本市場、日本に展開するユーザを獲得する上で国内キャリアとの連携ニーズは高い。
(配布資料12-1「2020年代に向けた電波関連産業の動向について」2014年10月6日 三菱総合研究書より)

という報告が委員から出されています。

通信事業者とアライアンス

通信事業事業者の組織するアライアンスの代表的なものは次の3つのようです。

〇 M2M World Alliance

M2M World Alliance は、ドコモのほかにも、Telefonica(スペイン)、KPN(オランダ)、VimpelCom(ロシア)、Rogers(カナダ)、Telstra(オーストラリア)、SingTel(シンガポール)、Etisalat(アラブ首長国連邦)の通信事業者8社が加盟し、M2Mサービスのグローバル展開をはかっています。

m2malliance_005_R(http://www.iotworldalliance.org/#section_footprint より)

〇 GMA(Global M2M Association)

Global M2M Association は、ドイツテレコム、オレンジ(フランステレコム)、テレコムイタリアおよびテリアソネラといった欧州を代表する通信事業者によって結成されたアライアンスです。その他にはソフトバンクやベル(カナダ)、スイスコムといった企業が入っています。
高付加価値かつシームレスなM2Mサービスをグローバルで提供を目的として2011年に設立されました。

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(http://www.globalm2massociation.com/ より)

〇 Bridge Alliance

Bridge Allianceは、2004年にアジア太平洋地域の携帯電話事業者の連合体として設立しました。現在は中東、アフリカの事業者も加わり、2015年の時点では、Airtel (インド、バングラデシュ、スリランカ) AIS (タイ)、Globe Telecom (フィリピン)、Maxis (マレーシア)、MobiFone (ベトナム)、Optus (オーストラリア)、SingTel (シンガポール)、SK Telecom (韓国)、ソフトバンクモバイル (日本)、Taiwan Mobile (台湾)、Telkomsel (インドネシア)など36社になっています。

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(http://www.bridgealliance.com/ より)

Bridge Allianceの中のSKテレコムをはじめとしてアジア太平洋地域のインド、タイ、香港、フィリピン、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、シンガポール、台湾、インドネシアが参加してブリッジM2Mアライアンスが発足しているようです。アジア太平洋地域を一つにまとめて企業向けM2Mサービスをワンストップで提供することを計画しています。

ソフトバンクのように複数のアライアンスに加盟している企業もあれば、ボーダフォンのようにグローバルに展開している企業は単独でM2Mへの対応を進めているところもあります。KDDIは前述のアライアンスには今のところ加盟せず、スウェーデンのM2M専業プロバイダーであるTelenor Connexion と提携し、同社のグローバルM2Mプラットフォームを活用し海外展開をしているようです。

m2malliance_001_R(https://www1.ericsson.com/res/site_JP/press/2013_2/doc/20130805.pdf M2M全盛時代に向けた技術考~500億接続を実現するために~ 2013/07/24エリクソン・ジャパン より)

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