ITS

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ITS Connect

2015年9月末に、760MHz帯のITS専用周波数を使った運転支援システム「ITS Connect」を搭載した車をトヨタ自動車が発売するとの発表がありました。

ITSは「Intelligent Transport System」の頭文字をとったもので、「最先端の情報通信技術などを用いて、人と道路と車両とを一体のシステムとして構築する事により、安全・環境・利便の面から交通社会を改善するシステム」と一般には定義されているようです。ETCの開発はITSの成果の一つです。ITSの普及を目的とした世界会議も行われており、ITSという名称は第2回会議において日本が提案して採用されたものだそうです。

ITS Connectとは、見通しが悪い交差点などにおいて、車両同士や道路に設置された路側インフラ設備と車の無線通信によって見通し外の車や人の存在などの情報をドライバーに知らせることで、安全運転を支援するものです。

トヨタ自動車の発表では、近日国内で発売する車種に搭載し、本年内に3車種まで展開するとのことです。その後、順次搭載車を拡大し、交差点周辺で発生する事故の低減のみならず、将来的には、車両制御技術などと連携し、すべての人が安全、スムース、自由に移動できる社会の実現を目指すとしています。

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(ITS Connect推進協議会 https://www.itsconnect-pc.org/about_its_connect/ より)

ITS Connectは何ができる?

ITS Connectは具体的にはどんな支援をするのでしょうか?トヨタ自動車のWebでは次のような機能が紹介されています。

〇 路車間通信システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)

交差点で右折町停車時に、接近する対向車線の直進者や、右折先に歩行者がいるにも拘わらず、ドライバーがブレーキペダルから足を話して発進しようとするなどの、見落としの可能性がある場合に、表示とブザー音により注意喚起する「右折時注意喚起」やドライバーが赤信号を見落といる可能性がある場合に注意喚起する「赤信号注意喚起」。さらに赤信号で停車した時に赤信号の待ち時間の目安を表示する「信号待ち発進準備案内」などがあります。

〇車車間通信システム(CVSS : Connected Vehicles Support Systems)

車車間通信により取得した先行車両の加減速情報に素早く反応して、車間距離や速度の変動を抑え、スムースな追従走行をする「通信利用型レーダークルーズコントロール」やサイレンを鳴らしている緊急車両が周辺にいる場合に、その車の方向・距離、緊急車両の進行方向を表示する「緊急車両存在通知」などがあります。

(トヨタ自動車 http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/9652000/ より)

760Mhzと5.8Ghz

今回発売されるのは760Mhz帯を使ったITS Connectですが、海外でITSに使われる周波数は5.8Ghz帯が一般的となっています。日本でもETCには使われていますが、5.8GHz帯では交差点に50m程度まで接近しないと通信できないのに対して、700MHz帯なら180m程度で通信可能になるので、出会い頭衝突防止の効果が高いとして、総務省 総合通信基盤局電波部の出した「世界最先端のワイヤレス立国の実現・維持に向けて(平成27年5月)」において、

「自動車メーカーや機器メーカーが次世代ITS における国際競争力を高め、国際展開を進めていく 上では、次世代ITSの周波数利用における国際調和の確保が重要」

「760MHz帯システムにおける上位レイヤー等を含め、欧米標準との整合性ができる限り確保されるよう、国際協調等を進めることが重要。国際調和の確保の観点から、5.8GHz帯の活用も含め、関係者において具体的な検討等を進める必要」

とは述べてはいるものの、760Mhz帯を使うことにしたようです。欧州においてもアジア諸国においてもこの周波数帯を利用する計画もない中で、このままではガラパゴス化してしまうと心配する声もあります。

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(総務省の安全運転支援システムへの 取組状況 平成22年12月24日 総務省 総合通信基盤局 電波部移動通信課 より)

平成26年12月にソフトバンクは「電波政策ビジョン懇談会 最終報告書(案)に対する意見の提出」の中で「ITS の利用帯域は、日本固有の帯域である760MHz 帯を廃止し、国際標準 バンドである5.8GHz 帯のみの指定とするべき」として、さらに「車の情報化及び ITS での利用は国際的に移動通信と密接な関係になってきており、ITS 専用の周波数を割り当てる必要性が低く、ITS の利用帯域は、日本の国際競争力を高めるために、世界の動向を踏まえ、国際協調するべきである」と述べています。

700Mhz帯の使用状況

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(3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の 開設計画の認定に係る審査概要 ~773MHzを超え803MHz以下の周波数を使用する特定基地局~ 総合通信基盤局 平成24年6月 より)

官民 ITS 構想・ロードマップ 2015

昨年、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が「安全運転支援システム・自動走行システム」と「交通データ 利活用」の2つの項目を対象として、民間及び関係省庁が一体となって取り組 むべき方向とその具体的なロードマップ「官民 ITS 構想・ロ ードマップ」を策定しました。しかし、Googleをはじめ海外の企業が次々と自動走行の実用化に向けた取組を進展させ、さらにIoT 化の進展に伴うデータの流通構造の変化、人工知能(AI)の進展など、自動走行システムを含む ITS を巡る技術・産業の動きは急速に変化していることか、2015年6月30日に改めて「官民 ITS 構想・ロードマップ 2015 」を策定しました。本構想・ロードマップでは「2018年を目途に交通事故死者数を 2,500 人以下とする」ことなどを目標として挙げています。

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(官民 ITS 構想・ロードマップ 2015 ~世界一安全で円滑な道路交通社会構築に向けた自動走行システムと交通データ利活用に係る戦略~平成 27 年6月 30 日決定 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 より)

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