IPv6とIoT(IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第4次報告書(案)から)

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IPv4の枯渇

205年9月に、北米・カリブ海・大西洋エリア・南極大陸周辺エリアのIPアドレスを管轄する地域インターネットレジストリのAmerican Registry for Internet Numbers(ARIN)が、自由に割り当てられるIPv4アドレスのストックが枯渇したことを発表したとのニュースがありました。American Registry for Internet Numbersでは約400万アドレスが在庫枯渇の閾値として定義しており、これでAPNIC(Asia Pacific Network Information Centre:アジア太平洋地域)、RIPE NCC(RIPE Network Coordination Centre:ヨーロッパ、中東、中央アジア)、LACNIC(Latin American and Caribbean Internet Addresses Registry:ラテンアメリカとカリブ海地域)、ARINの4つの地域インターネットレジストリでIPv4アドレスの在庫が枯渇したことになります。残るのはAFRINIC(African Network Information Centre:アフリカ地域)だけとなり、それも現在のペースでいけば2019年の前半にアドレスが枯渇すると推定されています。

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(一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター より)

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インターネットの主要な基本技術として現在利用されているIPv4(Internet Protocol Version 4)は、アドレスの長さは 32 ビットで、理論上で最大約43億個のIPアドレスを割り当てることができます。しかし、IPv6では128 ビットで、 IP アドレスは 340 兆×1 兆×1 兆個、340澗(カン)という個数を割り当てることができます。実質的には無限に近い膨大な数です。

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(OCN  http://www.ocn.ne.jp/v6/ より)

IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第4次報告書(案)

総務省には「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」というIPv6の促進方策を検討する研究があります。平成21年から活動しておりこれまでに3回の報告書を出しています。2015年12月4日に、第4次報告書(案)に対する意見募集を発表しました。

今回の報告書(案)は、IPv6対応が加速する国際動向及びIoT社会の構築に向けたIPv6対応の重要性を踏まえたものとなっています。

〇 概要

報告書は「第1章インターネットの進展とIPv6の利用」「第2章IoT時代の幕開け」「第3章IPv6対応の現状と課題」「「第4章IoT社会の実現に向けた新戦略」で構成されています。報告書の「はじめに」で「IoT社会では・・・・無尽蔵なアドレス空間を有するIPv6を用いることが不可避となる。すなわち、・・・新たなIoT社会の構築のためにもIPv6アドレス活用への転換が必要」と述べられており、IoT社会の実現に向けた戦略の一環としてIPv6対応の在り方やその普及を位置付けているように感じます。

〇 諸外国のIPv6対応と日本の現状

報告書の第3章において、諸外国の対応及び日本の現状を分析しています。下表はGoogleサービスへのIPv6によるアクセス割合を示しています。

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(IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第四次報告書~IoT時代を拓く新たな戦略~(案)2015年12月IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会 より)

日本におけるIPv6インターネット接続サービスの提供について、ISPの規模別に示したのが下図です。100万契約以上は全てのISP、10万契約以上100万契約未満は76.9%のISPが、「既に提供中(商用サービス)」となっています。しかし、規模の小さい1000契約未満では、約12.5%となっており、小規模ISPでのIPv6対応の遅れが目立っています。

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(IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第四次報告書(案)概要~IoT時代を拓く新たな戦略~2015年11月IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会 より)

〇 IoT社会の構築に向けたIPv6対応

第4章において、IPv6対応の位置づけを、「・・IPv6対応は、これまでの単なるIPv4アドレスの枯渇対策から、IoT時代に不可欠なインターネット資源としてのIPv6の活用へとその役割の大きな転換期を迎えている。」と、はっきりと「IoT社会の構築に向けたIPv6対応」を示しています。その上で、「オープンでセキュアなIPv6の推進」「IPv6対応による国際競争力の強化」をIPv6推進の基本的な考え方としています。

さらに、今後の展開について2020年の東京オリンピックを契機に、IPv6でつながるIoT社会のフロントランナーとして世界に発信していくため、2017年をIPv6利用拡大の取組の一つの重要な通過点として位置づけ、具体的に事業等分野のアクションプランや分野横断的に実施すべき取組みを詳細に記しています。

例えば、移動通信事業者に対しては「2017年にはスマートフォン利用者へのIPv6デフォルト提供が追加料金なく展開される状況を実現」、情報通信機器ベンダーに対しては、「家庭用ルータ等のIPv6対応、利用者へのデフォルト設定の推進、IPv6対応の見える化のため、IPv6 Ready Logoの取得を推進」、データセンター事業者に対しては、「グローバルな観点からデータセンター等のIPv6化を推進。また、IoT推進にともなう地域分散を促進する施策が必要」と示しています。さらに分野横断的に実施すべき取組みとしては、IPv6を活用したIoTの実装の推進として「研究段階~開発・実装までIPv6対応のネットワーク・デバイスを開発、典型的なプラットフォームの社会実証でIoTサービスの実用化を促進」、IPv6の見える化と政府調達の要件化として「IPv6 Ready Logoを取得した機器の使用(事業者)、IPv6対応機器の活用を要件化しIPv6普及を牽引(政府調達等)」など挙げています。(IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会第四次報告書~IoT時代を拓く新たな戦略~(案)2015年12月IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会 参照)

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(国内ルーターにおけるIPv6対応 http://www.soumu.go.jp/main_content/000380865.pdf 一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会 より)

IPv6の「見える化」として掲げたIPv6 Ready Logoの認証取得に関しては、上図のようの一般企業や法人向け製品ではロゴ認証の取得がかなり進んでいますが、家庭・個人向け製品は遅れています。

報告書では207年をIPv6利用拡大の重要な通過点としています。今後2年間で状況がどのように進展するのか注目されます。

 

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