IoTと医療

healthcare_004_R

「家電」から「医電」へ

シーメンスが自動車部品大手のボッシュと共同で運営する白物家電の合弁会社BSHボッシュ・ウント・シーメンス・ハウスゲレーテから全面撤退というニュースが昨年ありました。さらにフィリップスは昨年、医療機器と家電を一体にした新部門「ヘルステック」を中核領域とし、日常の健康を意識した生活から予防医療、さらには病気にかかった場合の診断と在宅ケアまで一貫して手がける構想を発表しました。具体的には、患者の細胞の病理データを患者・医師がクラウドで共有するサービス、先端部のセンサーで体内での位置を確認できる内視鏡手術の練習システム、スマートフォンのアプリを使った妊婦の体調管理サービス、高解像度の画像を生かし患者の負担が少ない治療システム、在宅でもできる遠隔診断サービスなどです。ゼネラル・エレクトリック社も早々に家電から撤退していますが、今では売上にしめる医療機器の割合は12~13%にもなっています。中韓との競争の中でなかなか利益率の低い「家電」から撤退し、ヘルスケアや医療分野へのいわゆる「家電」から「医電」の事業転換が、欧米の家電メーカーで見られます。

IOT化する「医電」

これまで「医電」がなかったわけではありません。掃除機や洗濯機、空気清浄機などにセンサーを付けて、例えば、掃除機に吸い込んだ塵を分析してモニタリングするといったものがありました。今の流れは、これまでのような洗濯機や掃除機に分析機能を持たせるのではなく、ネットにつながり、データをクラウド上で分析し、それを各家庭にフィードバックするというものです。つまりIoT化された「医電」です。掃除機がIoTによって単なるごみを集める機械から、家の生活環境の健康状態を監視する機器へと変化しようとしているわけです。

こうした既存の機器にヘルスという機能を持たせてIoT化するだけでなく、体にセンサーを付けて体温や心拍数、血圧、尿酸値などの生体情報をモニタリングし、病気が発症・深刻化する前に対処するといった新しい発想でネットワークに繋がるヘルス機器が登場し、私たちの健康状態を管理することもでてくるでしょう。すでに、治療や投薬、健康増進を目的としたウェアラブル、さらには体内埋め込み型の機器などが開発されています。例えば、アップルの「Apple Watch」は本体に内蔵する加速度センサーや光学心拍計を利用して、生体情報を記録するアクティビティセンサーの機能も持っています。また、STマイクロエレクトロニクスは、眼球の歪みを検知するセンサーと、測定データを無線送信する信号処理回路を内蔵する緑内障診断用コンタクトレンズを開発しています。

healthcare_002

『The Healthcare Internet of Things(医療業界におけるIoT)』より

また、IoTは病院等の医療施設にも大きな変革をもたらすと予想されています。ディペンサーがIoT化してネットにつながれば、感染予防が高まるかもしれません。体内に埋め込んだ医療機器を調整することで、医師は直接体に触れることなく、状態をより速く正確に把握できるようになるかもしれません。患者自身がネットにつながる時代がくれば、リアルタイムに生体情報を人工知能が分析し、患者への健康指示や場合によっては処方までもするようになるかもしれません。まさにIoT化は医療の破壊的イノベーションを予感させるものです。

医療のIoT化のリスク

healthcare_001_R米国のシンクタンクであるAtlantic Councilは、『The Healthcare Internet of Things(医療業界におけるIoT)』で、リスクおよび課題について解説しており、ネットワークに接続されたヘルスケアのメリットには、次のような大きく分けて4つの懸念事項が伴うとしています。

1)意図的な破壊活動

ハクティビスト、犯罪者、スパイ、テロリストは犯罪行為や破壊活動を行うためにITの脆弱性をねらい、例えば、インスリンポンプで患者に過剰にインスリンを注入させたり、致死的な電気ショックを与えるように心臓弁に指令するといった、いわば人体ハッキングの可能性があります、

2)広範囲に及ぶ混乱

起こる可能性は低いものの、万が一発生した場合に深刻なのが広範囲に及ぶ混乱の脅威です。理論上では、標的型のマルウェアの一部がインターネット上に広がり、脆弱性のある機器を使用するあらゆる人に影響を及ぼす可能性があり、世界中の医療機器が攻撃対象になることも十分に考えられます。

3)予想外の故障

ネットワーク化された医療機器は、他の技術と同様に、犯罪目的に対して脆弱性があるだけではなく、故障しやすい傾向もあります。単体で動く産業用機械であれば、緊急停止ボタンなど安全対策が施されているため、不測の事態があってもその場で対処ができますが、外部からOSの脆弱性を悪用して機械に意図駅に暴走させるということも起きる恐れがないとはいえません

4)プライバシーの侵害

悪意のあるオンラインハッカーは、医療に関する情報の価値が非常に高いことを知っており、患者の診察情報流出のリスクがあります。

IoTと医療の事例

〇 テレメディスン(遠隔医療)

healthcare_003

(NTTコムウェアhttps://www.nttcom.co.jp/case/project/002_telemedicine/ より)

テレメディスンは「テレ(遠隔)」+「メディスン(医療)」の合成語で、に通信技術を活用した健康増進、医療、介護に資する行為を指します。テレメディスンには「Doctor to Patient (D to P)」と「Doctor to Doctor (D to D)」の2つのタイプがあります。

「Doctor to Patient (D to P)」は、ビデオチャットなどで医師が直接患者さんを診るというものです。「Doctor to Doctor (D to D)は「主治医」と「専門医」の間で、医療用画像を伝送して、より高度な助言を受けるといったものです。例えば、CTやMRIからの画像を送信して、専門医に読影してもらう遠隔放射線診断、手術中に患者から採取した病理組織画像を伝送し、遠隔地で病理診断を行う遠隔病理診断といったものがあります。

アメリカでは、この分野のサービスが進んでおり、患者がタブレットのアプリを立ち上げ、話したい内容を選んで最後に医師を選ぶと、ビデオチャットで医師に診察を受けられます。約10分で40ドル〜49ドルぐらいのようです。

 

(執筆中)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です