FSO(Free Space Optics)

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フェイスブックと人工衛星

フェイスブックは、アフリカ地域のネット接続環境を提供することを目的に、フランスの通信衛星運営企業ユーテルサット・コミュニケーションズと協力して人工衛星「AMOS-6」を2016年に打ち上げるとのニュースがありました。そして、それは「Internet.org」の取組の一環だとのことです。

「Internet.org」ろは、フェイスブックが中心となって、ノキア、エリクソン、クアルコム、サムスンなどが参加して2013年8月に発足した団体で、発展途上国の50億人にインターネット接続を提供するということを目的としています。フェイスブックは2014年3月に、この「Internet.org」の活動の一環として、航空宇宙技術と通信技術に取り組む「Connectivity Lab」という研究チームを立ち上げました。今回の人工衛星打ち上げの発表は、おそらくその研究開発の一つなのだろうと想像します。

Connectivity Labでは、無人機や衛星などを利用した通信網の研究をしており、その研究には不可視光線を使って空中をデータ伝送するFSOの利用も含まれています。FSOとはあまり聞きなれないことばですが、どんな通信なのでしょうか?

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(GIZMODO http://www.gizmodo.jp/2015/10/post_18467.html より)

FSO

FSOは「Free Space Optics」の頭文字をとったもので、日本語では「自由空間光通信」と呼ばれています。赤外線(※1)に近い波長(約0.8μm~1.6μm)の光線を用いた無線通信の一種で、比較的古くから研究されており、1960年代には防衛用として初めての実証実験が行われていたそうです。現在は最大200~500mの距離を156~622Mbpsの速度での通信が可能で、窓際や屋上に機器を設置してローカルネットワークや通信キャリアのバックアップ用ネットワークインフラとして利用されているとのことです。また、光ファイバー(※2)の施設が困難な地域、山間部や離島への通信、災害時の臨時回線への応用などが考えられており、実際に、9.11テロ事件や中越地震での光ファイバ復旧までの間に適用された事例があるとのことです。

光ファイバーよりも低コストで、無線局免許の認可も必要なく、第三者が傍受すると光線が遮断されるためセキュリティ面でも安全性が高いという特徴があります。

(※1)波長はおよそ 0.7 μm ~1 mm (=1000 μm) に分布し、波長によって、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられます。

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(オプテックスhttp://www.optex.co.jp/tech/core/infrared.html より)

(※2)光通信で使われる波長は、1260nm~1625nmが使われ、これをOバンド、Eバンド、Sバンド、Cバンド、Lバンドの5つに分けています。光ファイバー伝送で主に使われるのは、減衰量がもっとも小さい1.55μmの光です。

光通信波長帯と電磁波の波長

fso_003_R (FiberLabs Inc  http://www.fiberlabs.co.jp/wavelength.htm より)

FSOへの期待

光ファイバーネットワークの建設が困難な地域、採算の合わない山間地などで、光ファイバーとの相性のいいFSOがブロードバンド環境の整備の有効な手段として注目されているようです。それは、前述のように、他の媒体との干渉が少なく電波法規制の対象外であり、さらに、信号伝送に利用できる帯域幅が広いため、高速大容量通信を実現でき、低コストでの高速大容量の通信回線を構築できるということからのようです。また、FSOは光ファイバ上にある各種信号をその形式にとらわれず伝送することが可能なため、光ファイバ通信と無線通信を融合するRoFSO(Radio on Free-Space Optics)システムとしての開発が進められているとのことです。

FSOは屋外でのビル間通信に既に使用されているが、室内通信では、多数機器間のワイヤレス・ネットワーク化が課題であり、屋外では悪天候などの大気の揺らぎによる吸収・拡散による通信の信頼性劣化や通信速度の高速化などの問題があります。しかし、それを解決するために高出力のレーザを用いると0.8μm帯の光は、目に対する危険性が赤外線に比べて高いという問題も生じてくるようです。1.4μmよりも長い波長の赤外線だと、ハイパワーレーザが使えるのだそうです。また、大気の影響は光の波長が長くなるほど小さくなりますが、水による光の吸収量は長くなるほど増大します。こうしたことから1.5~2.5μmの波長が通信に適しているとされているようです。実際FSO機器は、780~900nmと1500~1600nmで使用されています。

 

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