C-V2X

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C-V2X

日本初のC-V2Xの実証実験が2018年中に開始されるとのニュースが今年の初めにありました。実験を行うのは、Qualcomm(アメリカ)、日産自動車、NTTドコモなど6社です。

C-V2Xというのは、Cellular-V2X(Vehicle-to-Everything)を省略したもので、自動車が様々なものとつながるコネクテッドカー技術の一つです。具体的には、自動車と歩行者(V2P:Vehicle to Pedestrian)、車両と車両(V2V:Vehicle to Vehicle)、自動車と信号機などの道路インフラ(V2I:Vehicle to Infrastructure)、ネットワークとの接続(V2N:Vehicle-to-Network)などを指しています。

C-V2Xは、3GPP (Third Generation Partnership Project)で開発された技術で、2016年9月に初期仕様が公開され、2017年3月に策定された3GPPのリリース14で、LTEを用いたC-V2Xのコア仕様の標準化が完了しています。

C-V2Xは直接通信(direct vehicle-to-vehicle mode)とネットワーク通信のふたつの送信モードがあり、direct vehicle-to-vehicle modeは、3GPP仕様ではPC5-方式 (機器間通信方式)と呼ばれるものです。ネットワーク通信は、4Gや今後の5Gを活用するもので、3GPP仕様ではUu-方式 (基地局支援方式)と呼ばれるUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network )-UE(User Equipment)間の無線インターフェースが使用されます。

DSRC

V2Xと言えば、日本では5.8GHz帯を利用したETC 2.0などのDSRC(Dedicated Short Range Communications:狭域通信)があります。通信プロトコルとしてIEEE802.11Pをベースとしたもので、ITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)の一つです。道路沿いなどに敷設された通信装置(路側機)と、走行する自動車に搭載された車載器などとの間で行われる狭い範囲(数m~30m程度)を対象とする無線通信を指します。

IEEE802.11Pは、IEEE 802.11aをベースにして、ITSのV2I、V2Vの通信方式としてアメリカで制定された5.9GHz帯を利用した無線LAN規格です。無線アクセス方式はCSMA方式,変調方式はOFDM方式、チャンネル幅は10MHz、伝送速度は3-27Mbpsとなっています。

V2Xの有力な選択肢C-V2X

Qualcommが2017年10月31日付のブログの中で、「C-V2Xが主要自動車メーカーの支持を得ているのはなぜですか? 人命を救うだけでなく、自律的な運転を可能にする重要な技術だからです。」として10項目の理由を挙げています。

(1)3GPPや5GAAでの仕様、プロトコル確認も完了し、またC-V2X試験が始まっており、2020年にも商用展開可能である。

(2)DSRCなどに比べて、交信距離やNLOS(non-line-of-sight:見通しの悪い場所)対応などが優れている。

(3)5G NRによる高速化、広周波数帯域対応、超低遅延、高信頼性などが期待できる。

(4)既存のネットワークインフラなどの利用や自律走行に向けた情報収集が可能でインフラ開発コストが削減できる。

(5)3GPPの標準仕様では、最低限の性能基準が厳密に定められている。

(6)低遅延な通信が可能な5.9GHzなどのITS専用周波数帯が利用できる。

(7)C-V2X の直接通信モードでは、移動通信ネットワーク非依存で低遅延高信頼の通信を実現できる。

(8)高速車両(3GPPリリース14では、相対速度500km/時まで)を考慮した仕様である。

(9)位置情報の取得は、他の車両やLTE無線基地局などからも情報取得が可能で、GNSSが使えなくても安定かつ効率的な同期処理ができる。

(10)C-V2Xは、ISOやETSI、IEEE 1609ワーキンググループなどが設定するセキュリティー層や通信層、アプリケーションプロトコルを使用し、セキュリティー重視の設計である。

https://www.qualcomm.com/news/onq/2017/10/31/top-10-things-you-may-not-know-about-c-v2xより要約)

また、5GAA(5GAutomotive Association)が2017年12月に出した「An assessment of LTE-V2X (PC5) and 802.11p direct communications technologies for improved road safety in the EU (EUにおける道路安全性向上のためのLTE-V2X(PC5)および802.11p直接通信技術の評価)」という報告書には、LTE-V2X (PC5)は、EUの道路上で死亡および重傷事故を減少させるうえで802.11pより性能が上回るとの資料が掲載されています。

c_v2x_002_R(An assessment of LTE-V2X (PC5) and 802.11p direct communications technologies for improved road safety in the EU  http://5gaa.org/wp-content/uploads/2017/12/5GAA-Road-safety-FINAL2017-12-05.pdf より)

C-V2Xの社会経済的利益

5GAA(5GAutomotive Association)は2017年12月に「SOCIO-ECONOMIC BENEFITS OF CELLULAR V2X(C-V2Xの社会経済的利益)」という86ページの報告書を発表しました。

5GAA というのは、2016年9月にIntel、Ericsson、Huawei、Nokia、Qualcommといった企業とAUDI、BMW、Daimlerのドイツ大手自動車メーカーによって結成された5G技術を利用したコネクテッドサービスの開発・普及を推進することを目的とした団体で、現在は構成メンバーも急速に増えています。

今回の報告書では、C-V2Xの社会経済的利益について、4つのモデルシナリオを示して、C-V2XとWi-Fi標準規格IEEE 802.11pの両方が5.9GHzスペクトラムバンドで共存できるならば、欧州では2035年までに430億ユーロに達するとという見通しをしめしています。渋滞の解消や交通事故の減少などが見込まれるためです。

c_v2x_001_R(SOCIO-ECONOMIC BENEFITS OF CELLULAR V2X http://www.analysysmason.com/contentassets/b1bd66c1baf443be9678b483619f2f3d/analysys-mason-report-for-5gaa-on-socio-economic-benefits-of-cellular-v2x.pdf より)

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