犯罪予測システム

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犯罪予測システム

犯罪予測システムと言えば、トムクルーズ主演の映画「マイノリティ・リポート(Minority Report)」に出てくるプリコグ(precog:precognitive)と呼ばれる3人の予知能力者たちで構成された殺人予知システムや、アメリカのテレビ番組「PERSON of INTEREST」のマシンなどを想像します。映画の話ですので、現実にはそこまで正確な予測はできませんが、欧米ではビッグデータとAIによって犯罪を予測しようという取り組みがすでに動き出しています。

日本でも京都府警が事件の未然防止を図る「予測型犯罪防御システム」を導入するとのニュースが2016年2月に各紙に掲載されていました。

「ひったくりなどの街頭犯罪や性犯罪は一度起きると近隣で連続する傾向が強いとする犯罪学の理論を応用し、過去10年に府内で起きた犯罪の種類や場所、時間帯を自動的に分析し、次に犯罪が起こりやすいエリアを数百メートル四方で予測するもので、分析結果は署や交番に配備する端末に送り、パトロールの重点地域にする(朝日新聞より)」とのことです。本格的な運用は10月からとなっています。

欧米では犯罪の減少に効果が出ていると言われています。10月の京都府警の成果が期待されるところです。

プレドポル(PredPol)

アメリカの警察では、PredPol 社の「プレドポル(PredPol)」と言われる犯罪予測システムを導入しているところが多数あるそうです。イギリスやウルグアイでも導入されているとのことです。PredPolはWebベースのシステムで、「車上荒らし」や「住居侵入」といった比較的軽微な犯罪から「銃犯罪」のような深刻な犯罪まで、どこで発生しこのあとどこで発生しそうか地図上に表示します。犯罪が発生しそうな場所は四角で表示します。

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(http://news.wabe.org/post/concerns-arise-over-new-predictive-policing-program より)

警察官はこの地図を見ながら、四角く示された箇所を重点にパトロールをするというわけです。

ロサンゼルス市警察は、2012 年導入しており、犯罪が起こる可能性の高い地域の巡回に勤務時間の10~15%の時間を費やすようにしているそうです。ロサンゼルス市警では、このシステムによって強盗事件を33%、暴力事件を21%、空き巣被害を12%削減させるたということです。

ところでこのプレドポルのアルゴリズムは、2000年代後半、創業者たちがカリフォルニア大学ロサンゼルス校で「地震の発生パターン」を研究していた時に、犯罪と地震の発生パターンの類似性に気づきことから生まれたようです。

不変要因(地震をひき起こす断層や物騒なバーなど)と変動要因(別の場所で起きた地震の余波を受ける、ギャングの銃撃がきっかけで同じ地区で報復の銃撃が起きるなど)を加えることで、原因が誘発する他の犯罪の発生率を予測しようというものです。1軒の家が空き巣に遭うと、その家から1マイルの範囲内にあるどの家でも空き巣に遭うリスクが高まり、その家の隣家が空き巣に遭うリスクは最も高くなるというわけです。

こうしたシステムの運用に関しては、犯罪の減少、未然防止効、経費の削減、警察官不足の解消などの効果が期待される反面、警官の姿を見た住民が、「今日ここで犯罪が起きるのではと不安感を抱かせるのでは」と心配する向きもあるようです。

(ニューヨークだより2015 年11 月「米国における防犯・治安とIT に関する取り組みの現状」八山 幸司 参照)

プリコブス(Precobs)

「プリコブス(Precobs)」という犯罪予測装置の導入がドイツベルリン警察によって検討されているというニュースが1年程前にありました。その後どうなったのでしょう?

このプリコブスは、プレドポル(PredPol)と同じように様々なデータを元に未来に起きる犯罪の時期と場所を特定するものです。映画『マイノリティ・レポート』の「プリコグ」から付けたとも言われていますが、Pre-Crime Observation System(事前犯罪予防監視システム)を短縮したものです。

プリコブスは過去の犯行場所や時刻をはじめ、どう現場に侵入したか、犯行に何が用いられたといったデータを集積して解析し、地域と時間を特定した未来の犯罪の可能性をエリアを分けて割り出すものです。

開発したのはIfmPT(Institut für musterbasierte Prognosetechnik:パターンに基づく予測技術研究所)というドイツの機関です。ミュンヘンやニュルンベルクなどでおこなった強盗を未然に防ぐための検証で最大30%の減少が確認できたとしています。

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(http://www.ifmpt.de/ より)

Hunchlab

ニューヨーク市警ではAzavea 社の犯罪予測ソフトウェアHunchlabを導入しているようです。 Hunchlabは周期、天候、施設、経済状況など様々なデータから犯罪の発生パターンを見つけ出すというものです。ニューヨーク市警にはIBM 社のCompStat と呼ばれるシステムがありますが、Hunchlabを利用することで、統計データだけでは読み取れない犯罪発生のパターンを分析しようということのようです。

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(https://www.hunchlab.com/ より)

(ニューヨークだより2015 年11 月「米国における防犯・治安とIT に関する取り組みの現状」八山 幸司 参照)

 

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