GoogleやFacebookなど膨大なデータを基に広告ビジネスやゲームなどのソフトウェア販売などで収益を上げています。Amazonや楽天などのECショップ(electronic commerce=電子商取引)では、会員の購買履歴等のデータから「リコメンデーション(recommendation)」を提示し、購買促進に役立てています。 では、こうしたWeb事業やECビジネス以外に、どのような「ビッグデータ」の活用が可能なのでしょうか。下図に示されているように、ビッグデータの活用の範囲は多岐にわたると言えます。
各業種でのビッグデータの活用範囲
(株式会社日立製作所:コラム「ビッグデータへの道」http://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/column/column02.html より)
各業務分野のソリューション例
(日本ユニシス株式会社「ビッグデータ利活用」http://www.unisys.co.jp/solution/bigdata/solution.html より)
各分野での活用の例
(1)通信・放送
通信事業者では、通信ログの分析から、他の通信事業者へ乗り換える危険度を事前に察知して、それに対応した事業の展開に役立てています。また、通信・通話品質の向上にも生かしています。
事例1-1 通信・通話品質改善の取り組み
(2)金融・保険
損害保険会社では、カーナビのGPSから契約者ごとの運転状況を知り、個人に応じたリスク分析から、マージンの確保と契約者の価格満足度を割り出すことに役立てています。
事例2-1 テレマティクス保険
クレジットカード会社がカードの利用された場所と利用者のスマートフォンのGPSデータを照合することで、個々人の利用パターンを特定し、最短のリードタイムで異常な利用パターン(不正利用)を検知することに役立てています。
事例2-2 クレジットカード加盟店管理システム
(3)公共・公益
ガス会社では、さまざまなメーカーのさまざまなガス器具を家庭向けに販売していますが、過去の修理履歴や機器の型番データ、コールセンターに寄せられる修理依頼の内容などの情報を組み合わせることで、ケースごとに必要となる部品を自動的に割り出し、修理作業員の業務効率化を図っています。また、緊急車両の配置最適化にデータ分析を役立て、時間とコストの効率を図ることも進めています。
事例3-1 大阪ガス
事例3-2 大規模プラント故障予兆監視システム
道路に設置してあるセンサー、車載されているETCやGPSのデータを利用して得られた交通量データと信号機の制御と連動することで渋滞緩和や移動時間の短縮、そしてCO2排出量の低減を目指した検証が行われています。
事例3-3 渋滞予測・信号制御シミュレーション
(4)医療
各病院で保管されているカルテや投薬情報、さらに様々な検査データを統合化管理することで、医療コストの削減や医療ミスの防止を行うことや、遠隔診療の普及を図ることなどの試みが行われつつあります。
事例4-1 HealthData Lab(ヘルスデータラボ)
事例4-2 wellcan(ウェルキャン)
事例4-3 レセプト分析
(5)農業
田畑に気象センサーを設置し、気象データと収穫量や品質などのデータとの関係を把握することで、農業プロセスを最適化することで生産性と収益性を向上させるといった活用が考えられます。
事例5-1 クラウドトマト
(6)観光
宿泊客が旅館にチェックインする際、携帯電話やスマートフォンを登録すると財布代わりに使えるシステムを使い、観光客の利用履歴を蓄積してその動きを定量的にパターンとして分析することから、観光地を活性化するという取り組みが行われています。
事例6-1 城崎温泉「ゆめぱ」
(7)教育
学習履歴情報から、成績が伸びる子と伸び悩む子の学習行動パターンの違いを明らかにし、成績が伸びていない子に対して、サポートシステムを作って成績の向上に導くということが研究されています。
事例7-1 学習成果の可視化
国の平成27年度概算要求に見るビッグデータ関連
平成27年度の各省庁の概算要求では、さまざまなビッグテータ関連のプロジェクトが盛り込まれています。その予算は総額で450億円を超える大きなものとなっています。