視触覚クローン

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視触覚クローン(HaptoClone(Haptic-Optical Clone))

昨年(2015年10月)、日本科学未来館で開催された「デジタルコンテンツEXPO 2015」で、3次元空間の視覚と触覚をコピーして、インタラクティブにやりとりができる装置(視触覚クローン)が展示されていました。展示したのは、研究開発を行っている東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 篠田・牧野研究室です。

(https://www.youtube.com/watch?v=HqhpIZyWpvI より)

装置は2台からなり、例えば、片方に1人が手を入れて、もう片方に別の人が手を入れると、互いに触れたような感触を得ることができます。感触は超音波を使って再現しています。超音波を集束させることによる細かな振動で感触を伝えるのだそうです。また、超音波の波形を変えることで、受ける感触を変えることができるそうです。

コピーされるのは触覚だけでなく視覚もリアルに立体映像として伝えられます。立体映像のコピーは、カメラで撮影して伝送し合うのではなく、特殊なミラー(アスカネット社製のエアリアルイメージング(AI)プレート)の反射で互いに見えるようにしています。映像は空中に浮かんでいるように見えます。

この装置は、手で触れあうだけでなく、例えば、紙風船を片方に置き、もう片方から映し出された紙風船を押し出すことで、本物の紙風船も押し出すことができます。

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(株式会社アスカネットhttp://aerialimaging.tv/ より)

研究室では、このシステムの特徴としては、ユーザが装置を装着しなくてもよく、相互にインタラクション(※1)するテレイグジスタンス(※2)であることを挙げています。また、将来的な用途としては、触覚を利用したコミュニケーション、アミューズメント施設のアトラクションなどを想定しているようです。また、手を触れずに食品加工をしたり手術をしたりすることへの応用も考えられているようです。映画に出てくるような空間に浮かび上がるキーボードやアイコンを操作する入力デバイスなども考えられます。

(※1)インタラクションとは、交流、相互作用といった意味がありますが、コンピュータの世界では、システムと人間との間で行われる能動的な情報のやり取りのことを指します。

(※2)テレイグジスタンス(Telexistence)は日本語では遠隔臨場感、遠隔存在感とよばれています。遠くにあるモノや人がすぐ近くにあるように感じさせるテレプレゼンスをさらにリアルタイムの触感伝達を含めて、より臨場感や存在感を高める技術とされています。テレイグジスタンスとテレプレゼンスを同義語としている場合もあるようです。

音響放射圧

触覚クローンを実現させているのは超音波技術です。 実際には、超音波振動子(※3)を格子状に多数並べた装置から超音波を任意の位置に焦点を合わせることで、音響放射圧で触覚刺激を起こすという仕組みだそうです。手指の皮膚が、音響放射圧によって押されるような触覚刺激を感じるというわけです。また、超音波の振動波形を変化させると、虫が這うような感触などいろいろな感覚も生み出せるそうです。

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(http://www.hapis.k.u-tokyo.ac.jp/?page_id=447 より)

(※3)超音波振動子とは、電圧により伸び縮みをする素材(ピエゾ素子と呼ばれるセラミックの一種)を金属で挟み、電圧をかけて振動を起こして超音波を発生するデバイスです。ピエゾ素子にも様々な形態があり、組み合わせを工夫することで色々な振動を得ることができます。

ハプティクス(haptics)

バーチャルな触覚に関する技術にハプティクス(haptics)があります。例えば、タッチパネルを搭載した携帯型電子機器や車載用電子機器(タッチパネル)を指で押したとき、確かに「押した」という感覚をユーザに与えてくれる技術などがそうです。日本語では、「触覚技術」と呼ぶこともあるようです。

ハプティクス(haptics)はもともとギリシャ語のhaptesthaiを語源としており、硬いものや柔らかいものを押したときに感じる力やツルツル・ザラザラといった手触り感などを意味する言葉のようです。身近なところではゲーム機のコントローラやジョイスティックがゲームの中でブルブルとした振動や、スマホをマナーモードにしていても着信したのがわかる振動などで使われています。

ハプティクスは、スマートフォン(タッチインターフェース)の普及とともに注目されている技術ですが、2015年9月に発効されたIDTechEx Ltdの場調査レポート「ハプティクス (触覚) 技術・市場・参入企業:2016-2026年」によれば、ハプティクス (触覚)技術の市場規模は、2016年には23億米ドルの規模に達する見込みとしています。

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(http://retstyle.com/2014/07/21/post-5211/ より)

 

 

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