第5期科学技術基本計画はどうなる?

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科学技術基本計画

科学技術基本計画は、科学技術基本法に基づき、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推 進を図るために政府が策定する科学技術の振興に関する基本的な計画です。平成8年から始まり、これまでに4期策定されています。4期は平成27年で終了し、平成28年から5カ年の第5期の策定が、現在、総合科学技術・イノベーション会議において進められており、12 月には答申が出される予定です。

第5期基本計画の特徴

今回の基本計画の特徴とすると、次のようなことが挙げられるかもしれません。

〇 世界で最もイノベーションに適した国を目指す

〇 小中学校の段階からすぐれた人材を発掘するなど若手研究者の育成に取り組み

〇 産学連携強化の中に民生用だけでなく防衛装備品にも使える「デュアルユース(両用)」技術の共同研究を盛り込む

〇 若手研究者、女性の活躍の促進、中小・ベンチャー企業の創出強化

〇 政策を評価するための8つの目標数値を設定

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(第5期科学技術基本計画素案(概要)①より)

第5期基本計画の構成

第5期の科学技術基本計画の答申案は次の大きく7つの章からなります。

第1章 基本的考え方

第2章 未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組

第3章 経済・社会的課題への対応

第4章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化

第5章 イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築

第6章 科学技術イノベーションと社会との関係深化

第7章 科学技術イノベーションの推進機能の強化

 答申案では、初めに現状認識と目指すべき国の姿を示し、それを受けて基本方針を示しています。目指すべき国の姿として次の4つをあげています。

① 持続的な成長と地域社会の自律的な発展

② 国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現

③ 地球規模課題への対応と世界の発展への貢献

④ 知の資産の持続的創出

そして、この姿の実現に向けて科学技術イノベーション政策を推進する基本方針を大きく2つに分け、さらに具体的に次のように示しています。この基本方針の6つの内容が第2章から第7章で詳しく述べられています。

① 第5期科学技術基本計画の4本柱

ⅰ)未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組

ⅱ)経済・社会的課題への対応

ⅲ)科学技術イノベーションの基盤的な力の強化

ⅳ)イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築

② 科学技術基本計画の推進に当たっての重要事項

ⅰ)科学技術イノベーションと社会との関係深化

ⅱ)科学技術イノベーションの推進機能の強化

4本柱の「未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組」では、「超スマート社会」を未来社会の姿として共有し、こうした社会において新しい価値・サービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらすための仕組み作りを強化するとしています。

また、「科学技術イノベーションの基盤的な力の強化」では、若手人材の育成・活躍促進を、「イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築」では、ベンチャー企業の創出強化などをあげています。

IoTと科学技術基本計画

IoTとの関連は、「未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組」の中で取り上げられています。序文では、「・・・インターネットを媒介して様々な情報が「もの」とつながるIoT、全てとつながるIoE(Internet of Everything)が飛躍的な広がりを見せ、莫大なデータから新たな知識が創出され、・・(中略)・・様々な形でイノベーションが生み出される状況を迎えている。(中略)・・ネットワーク化やサイバー空間利用の飛躍的発展といった潮流を踏まえ、サイバー空間の積極的な利活用を中心とした取組を通して、新しい価値やサービスが次々と創出され、社会の主体たる人々に豊かさをもたらす「超スマート社会」を未来社会の姿として共有・・・」と現状と取組みの方向を示しています。

その上で、産学官・関係府省連携の下で、超スマート社会の実現に向けてIoTを有効活用した共通のプラットフォーム(「超スマート社会サービスプラットフォーム」)の構築に必要となる取組を推進するとしています。さらに「超スマート社会」の競争力向上のため、産学官・関係府省連携の下で、超スマート社会サービスプラットフォームの技術やインターフェース等に係る知的財産戦略と国際標準化戦略を推進するとしています。また、超スマート社会サービスプラットフォームの構築に必要となる基盤技術の戦略的教科のために具体的に次のことを挙げています。

・ 設計から廃棄までのライフサイクルが長いといったIoTの特徴も踏まえた、安全な情報通信を支える「サイバーセキュリティ技術」

・ ハードウェアとソフトウェアのコンポーネント化や大規模システムの構築・運用等を実現する「IoTシステム構築技術」

・ 非構造データを含む多種多様で大規模なデータから知識・価値を導出する「ビッグデータ解析技術」

・ IoTやビッグデータ解析、高度なコミュニケーションを支える「AI技術」

・ 大規模データの高速・リアルタイム処理を低消費電力で実現するための「デバイス技術」

・ 大規模化するデータを大容量・高速で流通するための「ネットワーク技術」

・ IoTの高度化に必要となる現場システムでのリアルタイム処理の高速化や多様化を実現する「エッジコンピューティング」

また、新たな価値創出のコアとなる強みを有する基盤技術の強化として、下記の技術をあげています。

・ コミュニケーション、福祉・作業支援、ものづくり等様々な分野での活用が期待できる「ロボット技術」

・ 人やあらゆるものから情報を収集する「センサ技術」

・ サイバー空間における情報処理・分析の結果を現実世界に作用させるための機構・駆動・制御に関する「アクチュエータ技術」

・ センサ技術やアクチュエータ技術に変革をもたらす「バイオテクノロジー」

・ 拡張現実や感性工学・脳科学等を活用した「ヒューマンインターフェース技術」

・ 革新的な構造材料や新機能材料など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「素材・ナノテクノロジー」

・ 革新的な計測技術、情報・エネルギー伝達技術、加工技術など、様々なコンポーネントの高度化によりシステムの差別化につながる「光・量子技術」

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(第5期科学技術基本計画素案(概要)①より)

目標値

今回の基本計画の特徴の一つに目標値が示されたことがあります。次のような数値が挙げられています。

〇 若手研究者の育成・活躍促進

・第5期基本計画期間中に、40歳未満の大学本務教員の数を1割増加

・将来的に、我が国全体の大学本務教員に占める40歳未満の教員の割合が3割以上

〇 女性の活躍促進

・第4期基本計画が掲げた女性研究者の新規採用割合に関する数値目標(自然科学系全体で30%、理学系20%、工学系15%、農学系30%、医学・歯学・薬学系合わせて30%)を速やかに達成

〇 知の基盤の強化

・我が国の総論文数に占める被引用回数トップ10%論文数の割合を10%

・被引用回数トップ10%論文数を2割増加

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(総合科学技術・イノベーション会議 第14回基本計画専門調査会 H27.11.26目標値(案)資料集 より)

〇 オープンイノベーションを推進する仕組みの強化

・企業、大学、公的研究機関のセクター間の研究者の移動数を2割増加

・大学から企業や公的研究機関への研究者の移動数を2倍となることを目指す。

〇 オープンイノベーションを推進する仕組みの強化

・大学における企業からの共同研究の受入金額を5割増加

〇 新規事業に挑戦する中小・ベンチャー企業の創出強化

・研究開発型ベンチャー企業の新規上場(IPO等)数を2倍

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(総合科学技術・イノベーション会議 第14回基本計画専門調査会 H27.11.26目標値(案)資料集 より)

〇 イノベーション創出における知的財産の活用促進

・特許出願件数に占める中小企業の割合が15%

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(総合科学技術・イノベーション会議 第14回基本計画専門調査会 H27.11.26目標値(案)資料集 より)

・大学の特許権実施許諾件数を5割増加

 

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