登山とIoT

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登山とIoT

登山ブームと言われて久しいのですが、登山には危険は付き物です。そこで、IoTデバイス/IoTシステムを活用して安全な登山をサポートしようという試みが始まっています。

ヒトココ/ココヘリ

ヒトココは親機と子機からなり、もともとは障害者、高齢者、子どもの見守り機器として福岡市のオーセンティックジャパンが開発した小型無線機器です。子機は20gで、1回充電すると3か月使用できます。電波は周波数925Mhzで出力20mW、街中200~1000m、障害物のないところで最大約5km届くそうです。

オーセンティックは、年会費3650円で登山者に子機を貸し出し、無償で捜索ヘリを運行する「ココヘリ」というサービスを行っています。1日10円という少額の負担で多くの会員を獲得することでもしもの時に備えるいわば保険のようなサービスです。会員証には個別のID番号が付与されていますので、近くに子機を持っている人がいても個人を特定して捜査することができます。既に日本山岳協会、労働者山岳連盟、日本山岳救助機構(JRO)や警察などでも採用されているそうで、例えば北海道警察の登山計画書(メール用)には、ヒトココの有無とヒトココIDの記入欄があります。

climbing_001_R(AUTHENTIC JAPAN https://hitococo.com/cocoheli/ より)

お守りビーコン

国土交通省の平成26年度の「G空間社会実証プロジェクト事業」に長野県山岳G空間プロジェクト協議会の「G空間社会における山岳遭難防止対策モデル構築事業」がありました。具体的には、お守りビーコン(お守りサイズのBeacon端末)を使って、登山客の移動履歴配信、はぐれ防止アラート、雪に埋まったビーコン検索を行うというものです。

移動履歴の配信は、Webサイトを通じて登録された登山計画とお守りビーコンのIDと紐付け、お守りビーコンを持った登山客が、Android端末が設置された山小屋などを通過すると信号を検知し、登山計画のサイトに到着時間と出発時間を送信します。
はぐれ防止アラートは、パーティからはぐれたメンバーが出たときに、リーダーのスマホにアラートが届くといういうものです。パーティから約30メートル離れたらリーダーの端末に通知が入る仕組みになっています。
雪中のビーコン検索は、1メートルの深さの場合、約6メートル離れた場所からビーコンを検知できます。

街中でのビーコンは、スマホを持った人がビーコンに近づくことでサービスが提供されることが多いのですが、この実証実験は山という特殊性から、ビーコンを持った人が端末に近づくことでサービスが提供されるという仕組みになっています。

富士山チャレンジ

「富士山チャレンジ」は、富士山の登山者の安全を守る仕組みづくりを目指すプロジェクトで、登山者に小型ビーコンを持ってもらい、そこから得られる登山者のリアルタイムな動態データを、登山者や管理者の双方に有益な情報として提供していこうというものです。

山小屋などのポイントにレシーバー端末を設置し、通過情報や位置情報を測定します。これをクラウドで集積・分析・可視化してスマートフォンでリアルタイムに登山時間や混雑状況、山頂到達率などを提供します。

今年(2017年)は8月19日~9月1日まで富士宮口、御殿場口、須走口、吉田口5合目でビーコンが配布され、モニター協力数は1日約200名の合計3,000名となっています。使用ビーコン数は600個 レシーバー設置数は45基(27ヶ所)となっています。

climbing_002_R(日本工営News Release 2017年8月7日 http://pdf.irpocket.com/C1954/xOcR/OqgW/ebCr.pdf より)

TREK TRACK

TREK TRACKは、博報堂アイ・スタジオが、今年(2017年9月1日)から奥秩父・瑞牆山(山梨県北杜市)で提供を開始するサービスで、登山者の位置情報をリアルタイムで取得し3Dマップで表示できるというものです。

専用デバイスを持ち、山小屋などに取り付けられた小型アンテナで約10kmの範囲で独自ネットワークを構築します。デバイスは重さ約100gで単4電池を使用し3~4日連続駆動します。通信方式は920MHz帯LoRa変調を採用し、ゲートウェイからTREK TRACKサーバーへの通信にはソラコムのLTE/3Gサービスが使用されます。電源を確保できない場所ではソーラーバッテリーを用います。

使用する場合は、Webから予約をして、郵送で専用デバイスを受け取ります。レンタル料金は1日990円からで、9月1日からサービスが始まる奥秩父の瑞牆山は、8月18日から予約受付開始となっています。

climbing_003_R(TREK TRACK https://trektrack.jp/ より)

富士山登山状況見える化プロジェクト

KDDIと御殿場市が今年(2017年8月)、富士山における安心で快適な登山のサポートなどを目的にIoTセンサーとLoRaWANを活用して、登下山者数の見える化を通して、登下山者・ハイキング客の実態を把握する実証実験です。

これまでも人数カウンターで登下山者数の把握を行っていましたが、人数はカウンターを設置したところまで登って確認していました。今回の実証実験では、IoTセンサーの設置されたところを通過した人数をウェブ上で確認でき、より高い頻度でのカウントと遠隔でのデータ確認が可能になりました。

実験ではLoRaWAN が活用されており、LoRaエリアの構築やシステムの運用管理にKDDIが「LoRa PoCキット」を提供しています。

climbing_004_R(富士山登山状況見える化プロジェクトhttp://fuji.kddi.com/ より)

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