Horizon Scanning

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ホライズン・スキャニング(Horizon Scanning)

Horizon Scanningとは、将来、⼤きなインパクトをもたらす可能性のある兆候をいち早く⾒出す活動の一つです。Horizonは地平線という意味ですが、地平線に見えるかすかな光から未来を予測するという意味が込められているようです。

予測活動は一般には「フォーサイト(foresight)」と呼ばれて以前から行われていました。日本では1971年から「将来社会を支える科学技術の予測調査(デルファイ調査)」が5年おきに実施されてきました。ヨーロッパでは1990年ぐらいから予測活動が盛んになり、ホライズン・スキャニングは2000年ぐらいから注目されるようになってきたようです。

Horizon Scanningの定義をもう少し詳しく見ると、文部科学省直轄の国立試験研究機関である科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の第9回政策研究レビューセミナーの発表資料では、次のように書かれています。

体系的・継続的モニタリングを通じ、将来社会に⼤きなインパクト(潜在的な機会、脅威、リスク)をもたらす可能性のあるエマージングイシューをエビデンスベース(※1)で捉える⼿法
http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/review2016_presentation_7-1.pdf より)

平成27年5月に「科学技術外交のあり方に関する有識者懇談会」から外務大臣にだされた報告書の中に、「国際社会で将来的に重要になり、我が国が指導力を発揮しやすい「次なる課題」をいち早く特定する仕組みを構築することの手立てとして次のように述べています。

・・・英国政府が実施する科学的な根拠に基づく将来予測Foresight/Horizon Scanningに倣い、科学技術外交に関する横断的な将来予測を実施することも一案である。
(科学技術外交のあり方に関する有識者懇談会 報告書http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000079477.pdf より)

平成27年に出された総合科学技術・イノベーション会議基本計画専門調査会の「第5期科学技術基本計画に向けた中間取りまとめ」では次のように説明しています。

・・・潜在的な脅威や好機などの体系的な予測活動であり、長期的な変化の可能性を探索、それがどのように影響・効果をもたらし得るのかを分析する。スキャニングの対象には、政治・経済・社会などのマクロ環境、技術、エマージングイシュ-などがある。・・・
(第5期科学技術基本計画に向けた中間取りまとめ 平成27年5月28日 総合科学技術・イノベーション会議 基本計画専門調査会 http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/kihon5/chukan/honbun.pdf より)

Horizon Scan Report 2007 Towards a Future Oriented Policy and Knowledge Agendaでは、Horizon Scanningの明確で実用的な定義については、英国最高科学顧問委員会(2004年)のアプローチに頼っているとして、次のように記されています。

Horizon Scanning is defined as the systematic examination of potential threats, opportunities and likely future developments, including (but not restricted to) those at the margins of current thinking and planning. Horizons scanning, may explore novel and unexpected issues as well as persistent problems or trends.(Horizon Scanningは、潜在的な脅威、機会、将来の可能性のある開発を体系的に調べるもので、現時点での思考や計画の外側にあるものを含みます(ただしこれに限定されません)。持続的な動向ばかりでなく、斬新で予期しない問題や傾向を探ることができます。)

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https://stt.nl/stt/wp-content/uploads/2013/02/STT-horizonscan_2007-rapport_horizonscan_2007_EN-binnenwerk.pdf より)

ホライズン・スキャニングにおいて対象とする情報源は学術論文だけでなく、新聞、雑誌、報道、アンケート、インターネット情報など種類は様々です。集められた情報からトピックが抽出・分類され、潜在的インパクト大きさ、正負のインパクト、将来の実現の可能性やその意味合いなどの評価がなされます。展望期間は、一般的には今後10~15年が多いようですが、50年先といった展望を行うこともあるようです。

ホライズン・スキャニングを含む予測活動は、各国で行われているようです。科学技術動向(2014年5・6月号)によれば、2004~2008 年の間だけでも予測活動は55か国、2 地域で2000を超える活動があったという欧州委員会研究・イノベーション総局の報告が記されています。

それは、現状を分析し、将来を見通した政策と意思決定は、国の存亡にもつながる重要なことであることですから当然のことかもしれません。特に、近年の科学技術の急激な進展によってその重要さはより増していると言えそうです。

(※1)エマージングイシュ-(emerging issue)は新たな問題というような意味ですが、issueは本質的な論じるべき問題点というような意味合いがあるようです。エビデンス(evidence)は証拠とか科学的根拠といった意味です。

KIDSASHI(きざし)

Knowledge Integration through Detecting Signals by Assessing/Scanning the Horizon for Innovationの頭文字をとったもので、科学技術・学術政策研究所科学技術予測センターにおけるホライズン・スキャニングの取組を紹介するサイトです。2017年3月27日より本公開となっています。

サイトには、定量的アプローチによるクローリング情報と定性的アプローチによるシグナル情報を掲載されています。クローリング情報とは研究機関(⼤学、研究開発法⼈等)のニュース記事を定期的にクローリングして全体傾向を可視化したものです。シグナル情報とは、スタッフの継続的な情報収集や外部専⾨家の知⾒に基づき、注⽬される新しい動きについて概説したものです。

また、TOPICSは、「超スマート社会・サイバー」「少⼦⾼齢化・健康・暮らし」「環境・エネルギー」「ものづくり・地⽅創⽣」「安⼼安全・インフラ」「科学技術イノベーションシステム」「その他」の7つからなっています。「その他」は主にクローリング状況です。こにカテゴリーは、第5期科学技術基本計画などを踏まえて設定されたものです。

ちなみに、平成28年に出された第5期科学技術基本計画には、日本の現状について、ICTの進化等により、社会・経済の構造が日々大きく変化する「大変革時代」が到来しているという認識を示し、先を見通し戦略的に手を打っていく力(先見性と戦略性)と、どのような変化にも的確に対応していく力(多様性と柔軟性)を重視することが示されています。こうしたことがKIDSASHI公開の背景としてあるようにも思います。

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https://stfc.nistep.go.jp/horizon2030/index.php/ja/weekly-weakly-signals/201705_crawl より)

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