E-waste

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都市鉱山でメダル

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの入賞メダルを、携帯電話やゲーム機などの使用済みの電子機器・小型家電から抽出されるリサイクル金属を活用してつくるとのことです。2017年4月からはそのための国民参画型のプロジェクト「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」が始まります。環境省ではすでにそのPRイベントを始めています。

電子ゴミ

ところで、使用済み電子機器は、リサイクルすれば「都市鉱山」として貴重な資源になりますが、不法に処理されると有害物を発生するなどして、環境汚染の一因となってしまいます。特に発展途上国では、先進国から持ち込まれた使用済み電子機器による環境破壊が、E-waste(イーウェイスト)問題と呼ばれる深刻な問題となっているようです。E-waste(イーウェイスト)のEはElectronicsの略で、Electronics Waste、つまり電気電子機器の廃棄物、簡単に言えば電子ごみです。

この電子ごみの多くは、金・銀などの貴金属やレアメタルを含んでいますが、同時に鉛や水銀、カドニウム、ベリリウムといった有害物質も含でおり、投棄や不適切な処理によってそれらによる環境汚染や健康被害が進んでいるということが問題となっています。

増えるE-waste

では、E-wasteは世界にどれくらいあるのでしょうか?米国の市場調査会社、Allied Market Research社が2015年1月に発行した報告書(E-Waste Management Market by Types (Trashed and Recycled) and Sources (Household Appliances, IT and Telecommunications and Consumer Electronics and Others) – Global Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2013 – 2020)によれば、 2013年時点の世界におけるE-wasteの総量は5億7700万トンとしています。

そして、2010 年に国連環境計画(UNEP)が出しE-wasteに関する調査報告書「RECYCLING FROM E-WASTE TO RESOURCES」では、世界で年間約4,000万トンずつ増加しているとしています。

2015年4月に国連大学が発表した「THE GLOBAL E-WASTE MONITOR 2014」においても、2014年に世界で発生したE-wasteは、推計約4,180万トンとなっています。この報告書では、最も多いのがアメリカで707万トン、次が中国が603万トン、日本は3番目に多く220万トンとなっています。

国連大学が2017年1月に発表したアジアの12か国を対象に調査した報告書「Regional E-waste Monitor: East and Southeast Asia」では、日本は223万トンと3万トンの増加にとどまっていますが、中国は668万トンと65万トンも増加しています。中国での増加が著しく、2010年から15年に発生量が倍増しているとのことです。ちなみにアジアでは3番目に多いのが韓国で83万トンとなっています。

waste_002_R(United Nations University :Regional E-waste Monitor: East and Southeast Asiaより)

2015年の報告書では、今後もE-wasteは年4~5%で増え続け、2018年には4980万トンに達すると予測しています。

waste_003(THE GLOBAL E-WASTE MONITOR 2014: https://i.unu.edu/media/unu.edu/news/52624/UNU-1stGlobal-E-Waste-Monitor-2014-small.pdf よりキビテク作成)

2015年の報告書には、調査した国々のデータが資料として掲載されています。それを見ると、各地区の一人当たりのE-wasteの量の多いのは、北米では、アメリカ22.1kg、カナダ20.4㎏、アジアでは香港21.5㎏、シンガポール19.6㎏、台湾18.6㎏、ヨーロッパでは、ノルウェー28.3㎏、スイス26.3㎏、アイスランド26.0㎏、デンマーク24.0㎏、オセアニアではオーストラリア20.0㎏、ニュージランド19.0㎏などとなっています。ちなみに日本は17.3キロです。世界で2番目に多い中国は一人当たりでは4.4㎏となっています。インドは1.3㎏です。

waste_004_R(THE GLOBAL E-WASTE MONITOR 2014: https://i.unu.edu/media/unu.edu/news/52624/UNU-1stGlobal-E-Waste-Monitor-2014-small.pdf より)

E-wasteの課題

こうしたE-wasteのうち、リサイクルとして回収されているものはわずか約16%(650万トン)で、日本においては2013年の時点で約56万トンとなっています。そうして、回収されないE-wasteの中の多くがアフリカなどの発展途上国に輸出され、不適切な方法で処理され、環境や人々の健康に負荷をあたえているというわけです。

以前、テレビでガーナのアグボグブロシーの実態を取り上げていました。かつては美しい湿地帯であった場所が世界最大の電子ゴミの廃棄場所になり、少年たちが、金属を取り出しお金に換えるために電子ゴミを燃やしているというものです。

「有害廃棄物の越境移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」という国際条約もあるのですが、電子ゴミをごみではなく「中古品」と偽って輸出するという抜け道も横行しているようです。また、中国はこの条約を批准していないそうです。
スマホなどのハイテク製品で人々の暮らしが便利になる一方で、こうした深刻な問題が起きており、今後さらに回収の効率を上げるネットワークの構築や製品の設計が求められてくるように感じます。

 

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