Cargo Sous Terrain

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Cargo Sous Terrain

アマゾンのプライム・エア(Prime Air)サービスなどのドローンによる荷物の配送やダイムラーの自動運転大型トレーラー「Freightliner Inspiration」などの自動運転による運送など、近い将来、物流シーンを大きく変えるかもしれない技術開発が進展しているようです。また、アマゾンFLEXのような一般人を配送に使う方法なども考案されています。

そんな中、「CST(Cargo Sous Terrain)」なる構想が報道されていました。スイスが発表した大規模な地下物流網構築計画です。

この計画、地下50mに直径6mのトンネルを掘り、3レーンの小型の無人貨物車を走らせるというものです。発表では、2030年までにベルン・ゾロトゥルンから、チューリヒまでを結ぶ67kmの物流網を完成させ、途中にはいくつかのハブを設けて、その間を地下でつないで荷物を運びます。地下のレーンでは電磁誘導によって自律的に稼働する無人貨物車が荷物を運びます。発表では時速30kmで運行するようです。上部と下部は懸垂式モノレールで荷物を運びます。総工事費は35億フラン、日本円で約4000億円と試算しており、様々な投資家から資金を募っているようです。この地下物流網は、将来的にはスイス国中に張り巡らし、大規模な物流ネットワークを構築することを構想しています。

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(http://www.cargosousterrain.ch/de/ より)

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(http://loglay.com/portfolio/cargo-sous-terrain/ より)

地下を利用した物流という考え方自体は目新しいものではなく、また、過去には実際にそうしたものが稼働していたこともあります。

東京駅開業の翌年の大正4年5月(1915年)に、前年につくられた地下通路が東京中央郵便局まで延伸され、さらに地下通路と駅ホームを結ぶエレベーターも完成したことから、約200mの間を郵便貨物専用として電気機関車が台車を引いて荷物の運搬を始めたそうです。100年も前のことであり、規模ではCSTの足元に及びませんが、地下通路を使って物資を運ぶという発想はほとんど同じといえます。

ロンドンでも、10数年前まで地下通路を物資の輸送に使うということが行われていました。1927年~2003年まで、ロンドンの地下を「Mail Rail」という無人車両が郵便を運んでいました。運用開始当時は、世界で唯一の自動運転電車でした。郵便事業の最盛期には、約400万通を超える郵便物を運んでいたそうですが、E メールの普及などに伴ってその役目を2003年に終え、今は一部を観光電車として一般に開放しているようです。

ところで、1年前になりますがNHKの「クローズアップ現代」で「モノが運べない!?“物流危機”」とのタイトルで、物流業界の厳しい状況を放送していました。トラックのドライバーが不足しているため、輸送が遅れたり、場合によっては運べない事態が起きているというのです。

要因としては、宅配等による物量の増加に加え、顧客の要望が多様化していること、さらにコンビニなどで店の余分な在庫を減らすため、必要なときに必要なだけ配送するといったシステムなども要因として挙げられていました。また、ほかの産業に比べ労働時間が長く、所得も低い水準にあることからドライバーが定着しにくいことも物流危機に拍車をかけているようです。

こうした中で、鉄道が輸送手段として見直されているそうです。鉄道だと、運転士1人で大型トラックおよそ65台分の輸送が可能です。トラックは最寄りの貨物ターミナルまで荷物を運び、そのあとは鉄道を利用するわけです。とりわけ長距離輸送力を安定化させたい企業では、こうしたいわゆる「モーダルシフト(※1)」を進めるところが増えつつあるようです。

Cargo Sous Terrainは、物流の効率化の他に、交通渋滞の緩和や環境負荷の軽減(二酸化炭素の削減)などのメリット挙げられていますが、もし日本でこうした構想が導入されれば、高齢化社会の人手不足にも効果があるかもしれません。

(※1)貨物輸送をトラックから鉄道または海運に転換することで、二酸化炭素排出量抑制、エネルギー消費効率の向上、道路混雑問題の解消と交通事故の防止効果につなげようという取り組みです。

 

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