自動運転技術区分の見直し

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自動運転技術区分の見直し

自動運転の技術区分は現在レベル1~4の4段階になっていますが、この自動運転レベルの定義を見直し、5区分にするための検討をはじめるとのニュースがありました。

官民ITS構想・ロードマップ2016において自動運転は、情報提供型を含めて下図のように分類されています。ただし、正確には「自動運転」という用語は使われておらず、「安全運転支援システム、自動走行システム」としています。

新しい定義においてはSAEJ3016(2016)を全面的に採用するとしています。これまで定義のレベル4が概ねSAE(Society of Automotive Engineers)レベルの4・5に分けられるようです。また、これまでの「自動走行」という用語が「自動運転」にかわるようです。

従来の定義

its2016_001_r(官民 ITS 構想・ロードマップ 2016 ~2020 年までの高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現に向けて~平成 28 年 5 月 20 日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20160520/2016_roadmap.pdf より)

上記の区分けは、米国運輸省NHTSAの定義を踏まえて作成されたものですが、後述のように作成したときから区分けの変更を比較的柔軟にとらえていたようです。官民ITS 構想・ロードマップ2016の中では、

「本定義は、必ずしも絶対的なものではなく、今後とも、自動走行システム等の定義を巡る国際的動向に積極的に参加しつつ、国際的整合性の観点や、技術や利用形態を巡る動向を踏まえ、必要に応じ見直すものとする」

(官民 ITS 構想・ロードマップ 2016 ~2020 年までの高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現に向けて~平成 28 年 5 月 20 日 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20160520/2016_roadmap.pdf より)

とされています。

今回の見直しについては、2016年9月にNHTSAが、従来の定義ではなく、SAE(Society of Automotive Engineers)の6段階(L5まで)の定義を採用することを発表したことを受けたもののようです。

SAEJ3016(2016)と新たな自動運転レベル案

SAEとは、正式には Society of Automotive Engineers, Inc.という団体で、「アメリカ自動車技術会」と日本語では訳されることが多いようです。1905年に設立された学術団体で、Webサイトの紹介では、「航空機、自動車、商用車業界の関連技術の技術者および専門家が128,000人以上参加している世界規模の団体」とのことです。
そのSAEでは、2014年1月に自動運転に関するレベル0~レベル5までの6段階の定義(J3016)を発表していましたが、2016年9月に技術的な内容を改定し、新たなJ3016(改定)を発表しています。2016年12月7日に開催された「第1回道路交通ワーキングチーム・第26回SIP自動走行システム推進委員会合同会議」の資料には、改定されたSAEJ3016の日本語版(仮訳)が載っています。(下表)

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(自動運転レベルの定義を巡る動きと今後の対応(案)平成28年12月7日内閣官房IT総合戦略室http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/detakatsuyokiban/dorokotsu_dai1/siryou3.pdf 日本語訳参照 )

改定版の特徴は、レベル分けにおいてDDT(Dynamic Driving Task動的な運転タスク)、OEDR(Object and Event Detection and Response対象物・事象検知・反応)、ODD(Operational Design Domain運行設計領域)といった概念が用いられたことです。とくにODDは新しい概念のようです。

第1回道路交通ワーキングチームで示された新たな自動運転レベルの定義では、上記の区分を踏襲し、レベル0(運転自動化なし)~レベル5(完全運転自動化)の6段階になっています。それに伴って、官民 ITS 構想・ロードマップ 2016で示されていた「自動走行システムの市場化・サービス実現時期」も変更され、下図の案が提示されています。これまでの表記が新しい区分に合わせて記述しなおしされていますが、レベル2に「無人自動運転移動サービス(遠隔型・限定地域)」が新たに加わっています。期待時期については変更がないようです。

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(自動運転レベルの定義を巡る動きと今後の対応(案)平成28年12月7日内閣官房IT総合戦略室http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/detakatsuyokiban/dorokotsu_dai1/siryou3.pdf より )

現在、市販されている車ではベンツEクラス、日産セレナ、テスラモデルSなどが自動運転のレベル2に当たるようですが、2017年にはアウディがレベル3のシステムを搭載した車を発売するとの話もあります。フォード・モーターは2025年までに完全自動運転車を販売すると発表しています。GMは、、Lyftと協力し、自動運転車による配車サービスの公道実証実験を1年以内に開始すると2016年5月に発表しています。BMWは完全自動運転に向けてIntelやイスラエルのMobileyeとの提携を、フィアット・クライスラーはグーグルとの連携を、ボルボはUberとの連携をそれぞれ表明しています。

また、2016年11月に米国ミシガン州で無人自動運転車、トラックの隊列走行の公道実走行に関する法案が成立しています。さらに、日本、アメリカ、欧州では大規模公道実証実験が計画されています。

レベル4と5の間には技術的に大きな壁があるとも言われていますが、今後自動運転の技術がどのように進化していくのか注目されます。

 

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