小型ロケット開発

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「SS-520」5号機

先日(2018年2月3日)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発した世界最小クラスのミニロケットが、超小型衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げに成功したというニュースが話題になっていました。3段式の「SS-520」5号機というロケットで、直径は520ミリであることから名づけられた名前とのことです。

全長9.54m、重量は2.6トン、固体燃料の3段式で、低軌道に4㎏の衛星を打ち上げる能力があるようです。報道などでは、電信柱のような大きさと例えられていますが、ちなみに電信柱にはいろいろな大きさがあり、一般的なものは長さが12メートルで、その6分の1が埋められていますから地上に出ているのは10m程度になります。従って、ほぼロケットと同じ長さです。直径は根元で約30cmだそうですので、電柱の方がロケットよりやや細いようです。

打ち上げにかかる費用は、機体の製造と打ち上げ費用を合わせて5億円程度とのことです。なお、今回打ち上げられた衛星はTRICOM-1R(トリコム‐ワン‐アール)という約3kgの小型衛星です。

今回の「SS-520」の2週間ほど前に打ち上げられた同じく固体燃料の「イプシロン」も小型ロケットと言われていますが、全長約26m、直径約2.6m、重量が約96トンあり、「SS-520」がいかに小型であるかということが伺えます。打ち上げ費用も「イプシロン」は将来的には30億円にするという話ですが、今回は45億円かかっており、「SS-520」は9分の1の費用で打ち上げられるということになります。

小型ロケット開発

小型ロケットの開発を行っている企業としては、アメリカのRocket Lab、Virgin Orbit、Vector Spaceや、日本の新世代小型ロケット開発企画株式会社(キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行によるジョイントベンチャー)、堀江貴文氏が創業したインターステラテクノロジズなどがあります。

ここでは、小型ロケット開発企業を取り上げてみます。

〇 Rocket Lab

Rocket Lab(ロケット・ラボ)が開発しているのは「エレクトロン」という液体燃料ロケットです。本体に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用し、エンジン製造には3Dプリンターを活用しています。全長17m、直径1.2mで最大積載量は225kg、高度500kmに最大150kgの打ち上げ能力を有しています。打ち上げ費用は500万ドル(約5億5千万円)と発表しています。将来的には年間50回の打ち上げを実現するということです。

「エレクトロン」は、「SS-520」5号機の少し前の2018年1月21日に同社として2回目のテスト打ち上げを行い、プラネット社の地球観測小型衛星「Dove」を軌道へと投入しています。

〇 Vector Space Systems

Vector Space Systems は創業が2016年と新しい会社で、元SpaceX副社長のジム・カントレル(Jim Cantrell)氏がCEOを務めています。同社が開発しているのは、「ベクターR(全長13m、直径1.2m)」と「ベクターH(全長18.3m、直径1.2m)」と呼ばれる2種類のロケットです。「ベクターR」は高度250kmに約60kg、「ベクターH」は125kg程度の打ち上げ能力をもつとのことです。打ち上げ費用は「ベクターR」が150万ドル(約1億1千5百万円)、「ベクターH」が300万ドル(約3億3千万円)で、同社では18年または19年の実用化を目指しているとのことです。

Vector Space Systemsのロケットの特徴は、燃料にプロピレン(Propylene)を使用していること、エンジンの製造に3Dプリンタを利用していること、タンクをカーボン製にしていること、そして1段目をパラシュートで回収し再利用することなどがあります。

〇 Virgin Orbit

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は英ヴァージン・グループの傘下企業で、「LauncherOne」というロケットを開発しています。直径1.8mで2段式固体ロケットです。低軌道では500kg、高度500kmでは300kgの衛星の投入が可能とのことです。これは、ボーイング747を改造してロケットを吊り下げ、高度約1万1000mで切り離して発射するという方式をとっています。地上から発射するロケットに比べ費用を10分の1程度に抑えられるとのことですが、ネット上の情報では1000万ドルとなっています。ロケット・ラボやベクター・スペースはそれぞれ500万ドルや300万ドルとなっています。

ヴァージングループは、航空、鉄道、金融、携帯電話、旅行、飲料、通信、出版など幅広い事業を手がけるイギリスの多国籍企業です。ヴァージングループの宇宙部門は、宇宙観光事業が「Virgin Galactic」、商業衛星打ち上げ事業が「Virgin Orbit」、宇宙船製造会社が「The Spaceship Company:TSC」となっています。

衛星コンステレーション

こうした小型ロケットの開発ビジネスが注目されるようになってきた背景の一つに、2015年頃から活発になってきた「衛星コンステレーション」を巡る動きがあるようです。

コンステレーション(constellation)は星座という意味ですが、星座の星々のようにいくつもの小型衛星を打ち上げて連携させ、地球全体をカバーした地球規模の衛星システムを構築しようというものです。

有名なものでは、OneWeb社の18軌道にそれぞれ36衛星で構成される低軌道衛星コンステ レーション計画や、オランダのO3bは、赤道上の周回軌道を利用した中軌道衛星コンステレーションに24衛星、他2つの軌道に各 8衛星ずつの16衛星を配置する計画などがあります。

他にも、SpaceX社は、4425衛星以上の小型衛星による低軌道衛星コンステレーション計画を発表し2025年の完成を目指していますし、LeoSat社は主に石油・天然ガス産業、海運企業、金融企業、映像配信、バックホール通信などのサービスを想定した低軌道コンステレーションを計画しています。

 

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