完全自動運転の目標前倒し

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完全自動運転の目標

各報道によれば、経済産業省は、先日(9月13日)開かれた産業構造審議会新産業構造部会(9回)において、国内での完全な自動運転車の市場化時期の目標を、当初の努力目標としていた2025年からもっと早い時期に前倒しし、開発や法整備などを加速させることを示したようです。

自動運転については、2016年5月20日に公表された「官民 ITS 構想・ロードマップ 2016 ~2020 年までの高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現に向けて~ 」で、無人自動走行移動サ ービスを、2020 年までに限定地域においてサービス提供を開始し、2025年を目途に完全自動走行システムの市場化を目標としていました。

auto_vehicles_012_r auto_vehicles_010_r(「官民 ITS 構想・ロードマップ 2016 ~2020 年までの高速道路での自動走行及び限定地域での無人自動走行移動サービスの実現に向けて~ 」より)

その後(2016年6月28日)に出された内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システム 研究開発計画」では、自動走行車の開発に関して次のように、2025年を目途に完全自動走行車の市場化を掲げています。

〇 自動走行システムの実現と普及

市場化期待時期として、2017年までに信号情報や渋滞情報等のインフラ情報を活用する準自動走行システム(レベル2)、また、2020年までにレベル3に向けたステップとなるハイエンドな準自動走行システム(レベル2)を実現するため、所要の技術の確立を図る。さらに2020年を目途に準自動走行システム(レベル3)、2025年を目途に完全自動走行システムの市場化がそれぞれ可能となるよう、協調領域に係る研究開発を進める。

わずか2か月余りで、目標を前倒ししなければならないほどに自動走行の技術開発が急速に進んでいるということでもあるでしょうし、のんびりしていては日本は世界の潮流から取り残されてしまうという危機感の表れかもしれません。

会議で出された討議資料「戦略分野の検討 『安全に移動する』」では、「国際動向を踏まえ、現行の目標時期が適切かと」との事業者からの声あったことが記されています。

また、「相対的にリスクの低いバス専用路線等については2020年より前にサービス提供を開始できないか」「自動走行車のグローバル展開を見据えたシステムへ向けたガラパゴス化回避が必要」「隊列走行に必要なインフラ整備」「自動走行の社会実装にあたり、街作りの再設計が必要」などの事業者からの声、「自動走行に係る共通基盤技術の開発(地図管理・更新技 術の開発やセキュリティ対策技術の開発等)」「隊列走行の運行管理システムの確立」「自動走行車とドローンによる配送状況等の管理システムの接続検討」などのニーズも記してあります。(戦略分野の検討 「安全に移動する」 (討議資料)平成28年9月13日 経済産業省 参照)

さらに、産業構造審議会新産業構造部会での「⾃動⾛⾏サービスに関するDeNAの取組」と題するプレゼンテーションの終わりに、政府にお願いしたい規制緩和事項として次のことが記されています。

〇  2020年に限定された地域でもいいので、公道で無⼈運転⾞両が⾃由に⾛れる制度環境
〇 2017年に無⼈運転の公道実証実験ができる制度環境
①  公道において、遠隔装置による監視があれば、⾞内にドライバーがいなくても、ドライバーがいる状態と同じとみなすという制度整備
② 「ハンドルやアクセルのない⾃動運転⾞両」による公道実証実験を実施できるよう制度整備
(資料5 プレゼンテーション(1)「人の移動」(自動走行等)「⾃動⾛⾏サービスに関するDeNAの取組」より)

はやり、自動運転の実用化・市場化を推し進めるための法整備などを含めた早急な環境整備を求めているようです。

完全自動走行システムの市場化の目標の前倒しは、こうした事業者の声も反映するかたちで示されたではとも推測されます。

ところで、下図ロードマップでわかるように、世界の自動運転の開発は、Googleが2020年から「完全自動運転」、ドイツをはじめ欧州及びGMは2020年には「高度な自動化」という目標を掲げています。
そうした中で日本のメーカーからは「条件付き自動化」以降の計画が公開されていないようですし、内閣府のロードマップも見劣りします。
報道では、経済産業では目標を前倒し、具体的な作業を示したようですが、産業構造審議会新産業構造部会の委員から、「グーグルやアップルに比べて、(日本は)すでに周回遅れになっている」と指摘があり、経済産業省の提案のさらなる前倒しを求める意見が相次いだとのことです。(ITmedia ニュースより)このロードマップを見れば委員ならずとも心配になってきます。

世界の自動運転開発ロードマップ

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(EYアドバイザリーhttp://www.eyadvisory.co.jp/library/publication/pdf/pamphlet-02.pdf より)

 

auto_vehicles_013_r(戦略分野の検討 「安全に移動する」 (討議資料)平成28年9月13日 経済産業省 より)

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