ペガサスプロジェクト
Pegasus Research Projectの「Pegasus」は、「project for the establishment of generally accepted quality criteria, tools and methods as well as scenarios and situations for the release of highly-automated driving functions」の頭文字をとったもので、ドイツ経済エネルギー省(BMWi)が主導し、自動走行システムの期待性能水準と評価基準を明確化するための産官学が共同で実施するプロジェクトです。
Webサイトには、より高度な自動化の確保と承認のために、テストおよび実験の分野における標準化された手順が必要であるとして、自動車企業、サプライヤー、中小企業、研究施設が集結して2019年までに自動運転機能の試験と承認のために標準化された手順を開発するとしています。
このプロジェクトに参加しているのは、BMW社、Daimler社、Volkswagen社、Audi社、Opel Automobile社などの自動車メーカー、Robert Bosch GmbH(ボッシュ)やContinental社などのTier-1サプライヤーと呼ばれる直接メーカーと取引する一次サプライヤー、Forschungsgesellschaft Kraftfahrwesen mbH Aachen (FKA)、German Aerospace Center (DLR:ドイツ航空宇宙センター)、ダルムシュタット工科大学などの大学や研究機関、第三者認証機関のテュフズードなど17団体です。
プロジェクトの目的
団体設立の背景としては、試験方法の標準化によって自動車メーカーは自動運転の開発そのものにリソース集中させるということ、部品などを納めるサプライヤーにとっては、それぞれの自動車メーカーの試験方法にいちいち合わせる必要がなくなるといった考えがあったようです。
プロジェクトには、大きく次の2つの目標が挙げられています。
What level of performance is expected of an automated vehicle?
(自動運転車両にはどの程度の性能が期待されるのか?)
How can we verify that it achieves the desired performance consistently?
(要求される性能が達成していることをどのように確認するのか?)
具体的にはWebサイトに次の4つが挙げられています。
〇 シミュレーション、テストスタンドおよび実環境での自動車両システムのテストおよび実験のための標準化された手順の定義。
〇 自動運転を保護するための、継続的で柔軟なシステムの開発
〇 開発プロセスにおける初期段階でのテスト条件の統一
〇 高度自動運転(HAD)の保護のためのクロスメーカー法の作成
(Research project PEGASUS EFFECTIVELY ENSURING AUTOMATED DRIVING.(http://www.pegasus-projekt.info/files/tmpl/pdf/1st_European_CCAD_Side_Event_Folien.pdf より)
安全性評価フレームワーク
2017年11月に中間報告が出され、自動運転の安全性評価フレームワークとして、従来のV字モデルに代わり、自動走行車の機能の要件定義、走行データプロセッシング、テストシナリオ作成、安全性評価の4項目からなる新しい評価フレームワークが示されました。
〇 Requirements Definition & Convert for Database(自動走行車は何がどの程度できるべきか、その要件定義が行われデータ化)
〇 Data Processing(実際の走行データや事故データをもとに、この世に存在し得る走行環境/走行状況をデータ化)
〇 Scenario Compilation / Database(自動走行車に求められる機能と、実際の走行環境/走行状況をインテグレートし、シナリオを作成)
〇 Assessment of Highly Automated Driving Function(テストシナリオをもとに、シミュレーションや実走行によるテストにて安全性を評価。評価された安全性に係るリスク許容性も検討された上で、最終的に安全であるか否かを判断)
(自動走行ビジネス検討会「自動走行の実現に向けた取組方針」Version2.0平成30年3月30日自動走行ビジネス検討会 http://www.mlit.go.jp/common/001229364.pdf より)
また、評価に必要となる安全性評価用シナリオ(一連の行動や動作の初めから終わりまで)については、Functional Scenario(車両が走行する際の交通環境の構成要素)、Logical Scenario(構成要素のパラメーターの範囲を定義したもの)、Concrete Scenario(構成要素を特定しパラメーターを一つに決めた、いわゆるテストに使用するもの)の3種類を定義しています。
(Automated Driving & Development Processes –A brieflookbeyond(https://www.researchgate.net/profile/Ulrich_Eberle/publication/321036022_PEGASUS_Symposium_2017_Automated_Driving_and_Development_Processes_-_A_Brief_Look_Beyond/links/5a09c62945851545eb594c89/PEGASUS-Symposium-2017-Automated-Driving-and-Development-Processes-A-Brief-Look-Beyond.pdf より)
(参考資料)
・Research project PEGASUS EFFECTIVELY ENSURING AUTOMATED DRIVING.(http://www.pegasus-projekt.info/files/tmpl/pdf/1st_European_CCAD_Side_Event_Folien.pdf)
・Automated Driving & Development Processes –A brieflookbeyond(https://www.researchgate.net/profile/Ulrich_Eberle/publication/321036022_PEGASUS_Symposium_2017_Automated_Driving_and_Development_Processes_-_A_Brief_Look_Beyond/links/5a09c62945851545eb594c89/PEGASUS-Symposium-2017-Automated-Driving-and-Development-Processes-A-Brief-Look-Beyond.pdf )
・自動走行の実現に向けた取組 平成30年1月18日内閣官房IT総合戦略室 内閣官房日本経済再生総合事務局 内閣府 経済産業省(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/revolution/dai2/siryou4.pdf )
・米国Transportation Research Board (TRB)参加速報 2017年1月25日 特定非営利活動法人ITS Japan 自動運転プロジェクト内村孝彦 http://www.sip-adus.jp/wp/wp-content/uploads/TRB96th_summary_report.pdf )
・(自動走行ビジネス検討会「自動走行の実現に向けた取組方針」Version2.0平成30年3月30日自動走行ビジネス検討会 http://www.mlit.go.jp/common/001229364.pdf )