プレシジョン・ファーミングとスマート農業

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プレシジョン・ファーミング

プレシジョンファーミング(Precision Farming)のプレシジョンは精密、ファーミングは農業という意味で、日本語では精密農法や精密農業あるいは精密圃場管理などと言われています。農林水産省の農林水産技術会議のWebでは「精密農業(Precision Farming)」とあります。また、みずほコーポレート銀行産業調査部の資料では「精密管理農業」としています。

その捉え方は国や研究者によって多少違うようです。前述の農林水産技術会議のWebでは、「情報を駆使して作物生産にかかわるデータを取得・解析し、要因間の関係性を科学的に解明しながら意思決定を支援する営農戦略体系である(全米研究協議会)」、「一つの圃場内を異なるレベルで管理する栽培管理手法である(イギリス環境食料省穀物局)」、「複雑で多様なばらつきのある農場に対し、事実を記録し、その記録に基づくきめ細やかなばらつき管理を行い、収量、品質の向上及び環境負荷低減を総合的に達成しようという農場管理手法である(東京農工大学の澁澤教授)」といった考えを紹介しています。

また、みずほコーポレート銀行産業調査部の資料では、「耕作から臭覚までの農作業データを収集し、区画による終了格差を分析のうえ翌季の作付け計画に反映させといった形で徹底的に効率化を図った精密管理農業である」と説明しています。(http://www.affrc.maff.go.jp/docs/report/report24/no24_p3.htm 参照)

農林水産技術会議では、「精密農業とは、農地・農作物の状態を良く観察し、きめ細かく制御し、その結果に基づき次年度の計画を立てる一連の農業管理手法であり、農作物の収量及び品質の向上を目指します。」としています。そして、そのための支援ツールとして、フィールドサーバ、衛星リモートセンシングなどの「観察ツール」、可変作業機などの「制御ツール」、収量や水分などの自動測定ができるコンバインなどの「収穫ツール」、収穫等を視覚化したマップや情報解析などの「解析ツール」を挙げています。

http://www.affrc.maff.go.jp/docs/report/report24/no24_p1.htm 参照)

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プレシジョン・ファーミング(Precision Farming)によく似た言葉に、プレシジョン・アグリカルチャー(precision agriculture)、プレシジョン・コンサベヴェーション(precision agriculture)、プレシジョン・コンストラクション(precision construction)といった言葉があります。プレシジョン・ファーミングが圃場管理を主としているのに対して、プレシジョン・アグリカルチャーは経営管理をも含む概念のようです。また、プレシジョン・コンストラクションは精密保全と訳され、自然環境を含んだ概念です。

もう一つよく似た言葉にスマート農業があります。農林水産省が平成25年に設置した「スマート農業の実現に向けた研究会」では、スマート農業を「ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業」と定義しています。(http://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/g_smart_nougyo/ 参照)

このように見てくると、プレシジョン・ファーミングがデータに基づくきめ細かな農業あるいは農法であるのに対して、スマート農業は最新のテクノロジーを駆使した農業といえるかもしれません。また、クボタのWebでは精密農業は、「ICTやIoTによるデータ活用で作業効率化を目指す農業管理手法」、スマート農業は「データ活用に農機の自動化を組み合わせた営農支援」といったとらえ方をしています。(https://www.kubota.co.jp/globalindex/precision-farming/02.html 参照)

ただ両者は全く別物というよりは、欧米で生まれた「精密農業」が、日本での農業従事者の減少や高齢化、狭い農地という独自性を踏まえて「スマート農業」という言葉で普及していると捉えてもいいのかもしれません。

プレシジョン・ファーミングを支える技術

プレシジョン・ファーミングの中核となる技術は、地理情報システムGIS(Geographic Information System)、衛星情報システムGPS(Global Positioning System)であるとの紹介があります。地球から500~900㎞の軌道にある衛星から、土壌、湿度、温度、大気の状態、植物生体情報などを詳細に把握しようというわけです。オランダでは、2017年からde Nationale Proeftuin Precisielandbouw (ナショナル・テストファーム・プレシジョン・アグリカルチャー:NPPL)プロジェクトを立ち上げ、農家が無料で衛星からのデータを使用できるようにしています。

前述のように、精密農業の支援ツールには、観察、制御、収穫、解析とあり、そのための技術としては上記の他にもセンサーネットワーク、衛星通信システム、ロボット工学、AI、ドローン、UGV(Unmanned Ground Vehicle:無人地上車両)など、さまざまなIT 技術があります。プレシジョン・ファーミングを支える技術として、クラウド・ソフトウェアパラダイム、IoT、モビリティ/モバイルアプリケーション、ビッグデータ分析・機械学習の4つを挙げている記事もあります。

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(CEMA http://cema-agri.org/page/precision-farming-key-technologies-concepts より)

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