デジタルネイティブとパソコン

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デジタルネイティブとパソコン

デジタルネイティブ(digital native)とは、物心ついたときからインターネットやパソコンがあたりまえの環境として存在し、それに慣れ親しんできた世代を言います。それに対して、人生の途中からITに触れた世代をデジタルイミグラント(digital immigrant)と呼びます。イミグラント(immigrant)は「移民」「移住者」という意味です。

一般には、若者は生まれたときからパソコンがあったのですから、高齢者よりも上手にパソコンを操ると思いがちです。確かに、新人がベテラン社員にパソコンの操作を教えるという光景が以前はありました。しかし、どうも最近は様子が違うようです。今は逆にベテラン社員が新人にパソコンを教えるという時代になっているようなのです。ましてやパソコンの持っていない新人も増えているといいます。

会社だけでなく学校でも同じようなことが起きているという話です。とある先生の話ですが、バーコードリーダーで管理する図書管理システムをアクセスで開発し、その先生がいる間は順調に運営されていたのですが、先生が退職したら次の年からは手書きの台帳に逆戻りしたとか、エクセルで電子化された通知表が、様式を変更しようとしたら開発した先生が退職していて、エクセルを操れる先生を探したがいなかったというのです。

若者はパソコンが得意で年配者はパソコンが苦手という認識は改めなければならないようです。こうしたことから、若年の間にパソコン操作の能力による新たな格差、デジタル・デバイドが生じると危機感を示す識者も多いようです。

一方で、こうした若者のパソコン離れについて、それを批判的に論ずるのではなく、新たなワークスタイルの誕生・生産性向上の契機とむしろ肯定的にみる向きもあります。若者がパソコンを使わないのはパソコンを使う必要がないからであり、社会の流れはキーボード不要に向かっているという主張があります。

若者とパソコン

〇 大学生のPCスキルは不足しているのか?

2017年2月にNECが大学生と企業の採用に関わった経験のある社会人を対象に行ったPCに関する意識調査の結果を発表しました。

それによると家族共有のパソコンも含めて95.4%がパソコンを保有し、大学4年生では80.3%が自分専用のパソコンを持っているという結果でした。しかし、パソコンスキル(word、excel、powerpointなどの資料作成スキル)については、自信があると答えた大学生は、就職活動を行っている4年生でさえも29.0%という結果でした。およそ70%の学生は自信がないと答えています。

採用担当にかかわった社会人の57.2%も、大学生のPCスキルの不足感じているという結果でした。

〇 日本の若者のパソコン所有率は低いのか?

内閣府は平成25年11~12月にかけて日本を含む7カ国の13歳から29歳までの若者の意識調査を実施し、それをまとめたものが「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」として平成26年の6月に公表しました。

その中の資料に「デジタル端末(携帯電話・スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、デスクトップパソコン、携帯ゲーム機、据え置き型ゲーム機)」の保有状況に関する資料があります。

資料の中のノートパソコンとデスクトップパソコンの保有率について見ると、下表のように日本の若者はいずれも諸外国よりかなり低いことが分かります。韓国はノートパソコンは少ないのですが、その代わりデスクトップパソコンの保有は諸外国よりもかなり多くなっており、全体とすればパソコンの保有割合は高いと言えそうです。

ちなみにこの調査は各国1000人程度の標本回収で、国によってその回収標本の年代区分の比率が多少違っています。一般には10代前半(調査の区分では13歳~15歳)であればパソコンは他の端末に比べれば高価ですから、所有率は下がると考えられます。イギリスやアメリカの回収標本比率を見ると、回答に占める10代前半の比率が日本より高くなっています。しかし、それでもはるかに日本よりPC所有率が高くなっています。

digital_native_001_R(第4部資料編 http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/thinking/h25/pdf/b4_1.pdf<c/cite> よりキビテク作成)

株式会社インテージが2016年6月に発表した「マルチデバイス利用調査」によると、パソコンの利用率が2013年が全体で76%だったものが2015年には73%と2年間で3%減少しています。年代別では10代が8%、20代が6%と、他の年代よりも減少が大きく、若者のパソコン離れが進んでいる状況が読み取れます。

〇 PISA調査に見る日本のパソコン環境

PISA2015の学習環境の調査結果によると、ST012「How many of these are there at your home?」ST012Q06NA Computers (desktop computer, portable laptop or notebook)という家にパソコンが何台あるかという質問に対して、8.9%が1台もないとい回答で、72の国・地域の23番目に多い割合となっています。

また、IC001「Are any of these devices available for you to use at home?」 IC001Q01TA Desktop computerというデスクトップパソコンが家で使える状態か尋ねた質問に対しては、「はい。使えます」という回答が約36%で、集計47か国のうち46番目となっています。

先進国とは言う割には、家庭におけるパソコン環境は恵まれた状況とはいいがたいようにも感じます。

少々古くなりますが、2009年のPISAの資料にコンピュータ操作に関して生徒に質問した回答をまとめたものがあります。「プレゼンテーション資料を作成できるか」という問いに対して、「自分で上手にできる」という回答が日本は28.9%でした。OECD平均が69%、香港、シンガポール、オーストラリアなどは80%を超えています。また、「表計算ソフトを使ってグラフが作成できるか」という問いに対して、「自分で上手にできる」という回答が日本は28.5%でしたが、OECD平均は50.4%でした。

これは生徒が回答するわけですから、日本のように遠慮深い生徒が多いと単純に比較することは信頼性、客観性に欠ける面もあるかもしれません。そのことを割り引いたとしても、日本の場合、パソコンが得意という生徒は少ないようにも感じ取れます。

digital_native_002_R(国立教育政策研究所OECD生徒の学習到達度調査(PISA)http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/ よりキビテク作成)

 

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