インターネットの将来

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2016年度のチューリング賞

2017年4月4日に、World Wide Web(WWW)を考案したティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)氏に2016年度のチューリング賞(※1)が贈られることになったとのニュースがありました。国際計算機学会(Association for Computing Machinery、ACM)は、「歴史的に最も影響力のあるコンピューティング革新の1つ」「毎日何十億人もの人がコミュニケーション、情報へのアクセス、商取引に携わり、その他多くの重要な活動を行うために使用される主要なツール」であると、その功績を讃えています。

(※1)コンピュータ界のノーベル賞とも言われる権威のある賞で、計算機科学分野で功績のあった人物にACM(The Association for Computing Machinery)から送られるものです。
チューリング」の名は、コンピュータの数学的モデルを示したアラン・M・チューリング(Alan M. Turing)の名にちなんだものです。

3つの心配

そのティム・バーナーズ・リー(Tim Berners-Lee)が、2017年3月12日のThe Guardian紙において「Tim Berners-Lee: I invented the web. Here are three things we need to change to save it」という見出しで、Webを提案して28年を迎え、誰もがどこにいても情報を共有し、アクセスし、地理的および文化的境界を越えて共同作業を行うことができるオープンプラットフォームとしてウェブを創造してきたが、過去12ヶ月間、3つの新しい傾向について心配しているとして、次のことを挙げ、Webがすべての人類に役立つツールとしての真の可能性を実現するために取り組まなければならないと述べています。

心配する3つのこととは、一つは、自分たちのデータが、自分たちの目に見えないところで保持されているので、データを直接管理し、誰といつ共有するかを選択することで実現できるメリットが失われているとして「個人データが管理しきれていない」ということを挙げています。二つ目は、悪意を持った人が、経済的または政治的利益のために誤った情報(偽ニュース、デマ、偏見)を広めるためにシステムを操作するとして「誤った情報が簡単に広まってしまう」ことを挙げています。三つ目は、有権者を偽のニュースサイトに誘導したり、他の人を世論調査から遠ざけるように指導したり、ターゲティングされた広告では、異なるグループに異なる、場合によっては矛盾する情報を伝えるということができるとして、果たしてこうしたことが民主主義だろうかと疑問を呈し、「政治的利用の難しさ」を挙げています。

(The Guardian「Tim Berners-Lee: I invented the web. Here are three things we need to change to save it 」https://www.theguardian.com/technology/2017/mar/11/tim-berners-lee-web-inventor-save-internet 参照)

悲観的なインターネットの将来

2017年4月4日付け朝日新聞「ネット点描」は、「インターネットの将来 強まる悲観的な見方」という見出しで、アメリカの調査会社Pew Research Centerのレポートやタイム誌の記事などを紹介しながら、インターネットの将来について悲観的な意見が増えているとして、将来私たちはどこに向かうべきかと問題を提起していました。

Pew Research Centerのレポートとは、2017年3月29日「The Future of Free Speech, Trolls, Anonymity and Fake News Online」というおよそ80ページの報告書です。オンラインの社会的相互作用の潜在的影響についての今後10年間を明らかにするため、技術者、研究者、企業経営者、政府リーダーなど1537人の意見を集めた大規模な調査です。回答の42%は今後10年のオンライン社会に大きな変化はないと答えています。そして、39%が「ネガティブな活動によってより先鋭化(more shaped)する」と回答しています。嫌がらせやトローリング(※2)、不信などでインターネットが「形の悪い」ものになると予想している人は19%でした。

報告書は回答者の意見を「匿名の荒らしでオンライン社会がますます悪くなる」「有形無形の経済的、政治的インセンティブが荒らしを促進し、状況は悪くなる」「技術的、人的解決策が生まれ、オンライン社会は今後良いものになる」「ネットでの議論を安定化させる何らかの技術が登場する」などの4つのテーマに分けて詳細に記されています。
しかし、Pew Research Centerの昨年の報告書では、「2025年までにインターネット上で人々がコンテンツを入手したり、共有したりする際、今以上に状況が悪化している可能性はあるか」という質問に、「そんなことはない」という回答が65%と楽観的な数字を示していました。

また、タイム誌の記事というのは2016年8月に「Why we’re losing the internet to the culture of hate(私たちがインターネットを憎悪の文化に明け渡す理由)」というタイトルの特集です。かつては情報の自由な流れについて高尚な理想を持ったインターネットが、今はその性格を変えてしまい、トロールがインターネットを台無しにしているというものです。そして、Pew Research Centerが2年前に発表した調査によると、インターネットを使用している18〜24歳の者の70%が嫌がらせを受けていることを紹介しています。

インターネットの将来が、技術革新によってこうした懸念を解決し、人々の生活を豊かで便利なものへとより発展していくことに期待したいものです。

(※2)troll は、誰かに喧嘩をふっかけたり、気分を害する書き込みをする人で、日本語では「荒らし」などと言われています。

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