可視化・見える化

visualization_011_R

可視化・見える化

「見える化」とか「可視化」という言葉は、2010年の新語・流行語大賞にノミネートされていた言葉ですので、真新しい言葉ではありませんが、最近またよく耳にするようになってき気がします。

そもそもこの言葉が使われ出したのは、三菱総合研究所の資料によれば「可視化」は1990年代前半、「見える化」は1990年代後半で、頻繁に使われるようになったのは2000年代に入ってからのようです。

visualization_003_R

(三菱総合研究所の研究ノート「見える化」実践のポイントhttp://www.mri.co.jp/NEWS/magazine/journal/47/__icsFiles/afieldfile/2008/10/21/jm06111508.pdf より)

「見える化・可視化」は、一言でいうなら「問題を目に見える状態にする」、もう少し付け加えるなら「一見しただけでは分かりにくい様々な状況を、見せ方を工夫することにより、把握しやすくする行為」と言えます。Wikipediaでは、「人間が直接「見る」ことのできない現象・事象・関係性を「見る」ことのできるもの(画像・グラフ・図・表など)にすること」としています。

可視化の最近のニュース

今月(2015年10月)だけでも、「見える化」「可視化」に関するニュースがいくつもありました。

〇 外部公開サーバへ攻撃をリアルタイムに可視化するWebサービス

同サービス「攻撃見えるくん」をサイバーセキュリティクラウドが11月11日から無料提供します。攻撃の状況をリアルタイムで地図上に視覚的に表し、自動でグラフ化するものです。同時にバージョンアップされる「攻撃遮断くん」は、攻撃の可視化に加え、「過去の攻撃データからの分析」「監視センターとの接続状況確認」に対応します。

visualization_001_R

(株式会社サイバーセキュリティクラウド http://www.cscloud.co.jp/ より)

〇 AMATERAS零(アマテラス・ゼロ)

2015年10月15日にNICTサイバーセキュリティ研究室は、イバー模擬攻防戦CTF(Capture The Flag)をリアルタイムに視覚化する「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT × SECCON CTF for GIRLS」専用可視化エンジンAMATERAS零(アマテラス・ゼロ)を開発しました。NICTはそのねらいを「セキュリティ技術の向上やサイバー攻撃の対処能力の強化を目的としたCTFを、攻殻機動隊という世界的に著名なSF作品をモチーフに視覚化することで、サイバーセキュリティへの関心を一層高め、さらに、セキュリティ人材の発掘・育成に貢献することが期待できる」としています。

visualization_009

(国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) http://www.nict.go.jp/press/2015/10/19-1.html より)

〇 群衆行動解析技術

NECが開発した技術で、駅やショッピングモールなどの公共施設や大型施設などの混在具合を、既存の防犯カメラを用いてリアルタイムに可視化するものです。例えば災害発生時に帰宅困難者の状況をリアルタイムに解析することで行政の対応を支援するといった利用が考えられています。また、混雑具合だけでなく、事件や事故の早期発見にも活用できるとのことです。事件・事故が発生した場合に起きる通常ではない人々の流れや動きを検知することで、混雑環境下でも事故や事件の早期発見ができるそうです。

visualization_008_R

(日経BP社 http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/news/1510/100800797/?ST=safety&rt=nocnt より)

〇 一般相対性理論生誕100年

1915年~16年にかけてアインシュタインの一般相対性理論が発表されて今年は100年になります。そこでSCIENTIFIC AMERICANがデータ可視化企業オフィス・フォー・クリエイティブ・リサーチの協力を得て、相対論関連分野の近年の物理学論文がアインシュタインの相対性理論をどの程度もとにしているかその度合いを可視化しました。アインシュタインの考えが今もなお大きな影響力を示していることが視覚的に捉えることができます。

 visualization_004_R

(http://www.scientificamerican.com/article/relativity-infographic/ より)

〇 Cloud Datalab

Googleが開発者向けに公開したデータ分析や可視化ができるインタラクティブなツールです。Cloud Datalabを使用することで開発者は、Google BigQuery(Google Cloud Platformが提供するビッグデータ解析サービス)のCompute EngineやCloud Storageにあるデータの探索、加工、可視化、処理を行うことができるそうです。

 visualization_005_R

(https://cloud.google.com/datalab/getting-started より)

「見える化」と「可視化」は同義語?

「見える化」と「可視化」は同義語のように扱われることが多いようです。前述では「見える化」「可視化」のことを「問題を目に見える状態にする」と記述しましたが、「可視化は人が情報を見えるようにすることであり、見える化は情報が人を駆動することである」、あるいは「可視化は見えているだけの状態で、見える化は「可視化」に加えてフィードバック・アクションができることが含まれている」と両者を区別する考えがあります。

少々古い資料ですが、三菱総合研究所の研究ノート「見える化」実践のポイントには、「見える化」と呼ぶための必要条件として下記の3点を示しています。

①当該事象を見えるようにするための目的が明確であり、見えた結果が関係者のアクションに結びつくこと

②対象となる事象の様々な事実や異常・問題点および掲げた目標に対するギャップについて、関係者が意識的に「見る(情報を取りに行く)」のではなく、タイムリーに「見える(目に飛び込んでくる)」状態や仕組が構築されていること

③見える化の対象となっている事象や見える化の指標類について、関係者が自律的・継続的に設定・評価(認識し判断する)・改善できる仕組みが構築され、機能していること

(三菱総合研究所の研究ノート「見える化」実践のポイントhttp://www.mri.co.jp/NEWS/magazine/journal/47/__icsFiles/afieldfile/2008/10/21/jm06111508.pdf より)

情報を得ようとする側は、それによって抱えている問題を解決したいわけですから、単に見えれば良いと言うものではありません。判断を助け、問題解決の行動に結び付けられるような情報でなければなりませんし、情報を受ける側の情報を解釈して判断・行動に結びつける能力にあったものでなければなりません。

株式会社 エフ・エム・エスの「Date Side View」に見える化の要件を下図のように分かりやすく示しています。

visualization_002_R

(株式会社 エフ・エム・エス http://www.fms-fms.com/information/col/datacol01.htm より)

〇 データ可視化のプロセス

データセット ⇒ 変数化 ⇒ 代数処理 ⇒ 尺度化処理 ⇒ 統計処理 ⇒ 幾何処理 ⇒ 座標系処理 ⇒ 装飾処理 ⇒ 可視化

 visualization_007_R

(データ可視化勉強会 データ可視化の基礎とD3のデモデータ可視化勉強会 ニフティ株式会社 森藤大地 より)

〇 データ視覚可とデータ可視化

「視覚可」も「可視化」も英語では”visualization”に相当するため、両単語はほぼ同義語であるとする見方が多いようです。

一方SASは、可視化を「見えるようにすること」として、「見て感じ取れるようにすること」視覚可としています。視覚可を可視化の上位と捉えているようです。SASが出しているホワイトペーパーでは、「データ・ビジュアライゼーション」を「データの視覚化」と表現しています。

〇 ビジュアリゼーションとインフォグラフィックス(infographics)

最近、ビジュアリゼーション(視覚可・可視化)によく似た言葉として、インフォグラフィックスという言葉を聞くことが増えてきました。どちらも情報を視覚的にわかりやすく伝えるという点では同じと言えます。そのため同義語として混同していることもあるようです。しかし、両者には明らかな違いがあるようです。

「デザイニング・データビジュアライゼーション」(Noah Iliinsky、Julie Steele著、小沢秀行、株式会社トップスタジオ訳)では次のように違いを示しています。

インフォグラフィック

・手作業で書かれている。

・手元にあるデータに特有である(そのため、別のデータを使用して再作成するのが容易ではない)。

・美的な要素に富む(目を引き興味を維持するために作成される強力なビジュアルコンテンツである)。

・比較的データが貧弱である(情報のひとつひとつをそれぞれ手作業で表現しなければならないため)。

データビジュアライゼーション

・アルゴリズムにより描かれる(カスタムな作風を持つ場合もあるが、大部分はコンピュータ化された方法の力を借りて描かれる)。

・異なるデータを使用して再生成することが容易である(同じ形が、似た次元や特徴を持つ異なるデータセットを表示するために再利用される可能性がある)。

・美的な要素に乏しい(データが飾られていない)。

・比較的データの量が多い(インフォグラフィックと対照的に大量のデータを受け取り使用可能)。

翻訳したものですので、少々分かりにくく感じます。CONTENT MARKETING LABの中で櫻田 潤 氏は、両者の違いを次のように端的に説明しています。

 

データビジュアライゼーションとは、生のデータ素材をもとにビジュアル化することを指す。それに対してインフォグラフィックスは、データとデータが結びつくことで情報となり、情報によってデータにおける関係性を導き出し、情報を通じて伝えたい要素を伝えやすくする。データそのものなのか、とデータを組み合わせた情報

(CONTENT MARKETING LAB http://contentmarketinglab.jp/trend-in-japan/infographics-1.html 櫻田潤氏より)

〇 D3.js

最近Webにはグラフィカルで見栄えのよいグラフやインタラクティブでリアルタイムの情報のグラフなどが増えてきました。そうしたことを可能にしているのがD3.jsです。 D3.js(Data Driven Document)は、データに基づいてドキュメントを操作するための JavaScript ライブラリです。同サイトには、「D3 はHTML や SVG、 CSSを使ってデータに命を吹き込みます。D3は WEB 標準に重点を置いており、強力な視覚化コンポーネントとデータドリブン (データ駆動型)DOM 操作手法の組み合わせにより、特定のフレームワークに縛られることなく、モダンブラウザの性能をフルに 引き出すことができます。」と記されています。D3.js を使いこなすには、HTML、CSS、JavaScript、SVG などの基本知識が必要とされます。

 visualization_010_R

(http://ja.d3js.node.ws/ より)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です