可視光通信

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可視光通信の話題

2015年9月、Walt Disneyの研究機関Disney Researchが、LED電球による無線データ通信を行う可視光通信技術「Visible Light Communication(VLC)」を発表したとのニュースがありました。これは、、インターネット対応玩具や相互通信玩具、ウェアラブルデバイススマート衣服、IoTなどに応用可能で、例えば、

魔法の杖で光るプリンセスのドレス、スマートフォンと通信する玩具、連携して何らかのアクションを起こすミニカーなどが考えられる。

(CNET Japan  http://japan.cnet.com/news/service/35070690/?ref=newspicks より)

とのことです。

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(CNET Japan  http://japan.cnet.com/news/service/35070690/?ref=newspicks より)

2015年8月に、アウトスタンディングテクノロジー社が電波を使わない可視光通信の照明無線LANシステムの販売を開始しました。照明無線LAN親機、及び照明無線LAN子機です。照明装置側は光ファイバーなどと接続することで、5~20Mbpsの速度で通信可能とのことです。当社の考える活用法は、電磁妨害(EMI)による機器の誤動作を引き起こさない特性から発電所や病院での利用、LEDが照らす範囲に通信が限定される特性から商業施設などで商品情報を顧客の端末に送信する活用、さらには水中では届かない電波に代わっての利用など、多岐にわたってその可能性が広がっています。

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(アウトスタンディングテクノロジー社http://www.ot-c.co.jp/_src/sc823/catalog_20150901.pdf より)

可視光通信とは

可視光通信とは、私たちの周りにあるごくありふれた見える光を使って通信を行う通信技術です。通信を遠く離れたものに情報を伝える、あるいは受け取るというふうに広くとらえれば、一方通行ではありますが灯台も光で位置を知らせる可視光通信といえるかもしれません。

ですが今注目されている可視光通信は、人の目に見える光を使った無線通信技術を指します。自宅やオフィスに限らず屋外にある照明、さらには光を放つモノであれば何でも(ディスプレイなど)利用して双方向の無線通信を可能にする技術です。

可視光通信は新しい技術というわけではありません。1880年にグラハム・ベルが光で音や声を伝送する無線電話「フォトフォン」を発明したのがはじまりです。電波よりも早くに可視光通信があったわけです。しかし、電波の方が使いやすかったことから可視光通信は忘れられていったようです。しかし、LED(Light Emitting Diode 発光ダイオード)が登場し、近年はデータ量の急激な増加によって、周波数不足が問題となってきて、再び表舞台に出てきたという感じです。

LEDには「高速で点滅する」特性があり、この特性を利用することで人の目にはわからないほどの超高速でLEDを点滅させてデータ送信することができます。高速の点滅ですから、人には連続して明かりがついているようにしか見えません。普通の照明でありながら無線通信がそこで行われているというわけです。送信器はLEDなどの可視光源と、光源をオン・オフする電源回路とドライバ、信号変調用マイコンなどで構成されています。受信器は光を電気に変換するセンサと、センサの出力信号を増幅するアンプ、信号復調用マイコンなどで構成されており、スマートフォンやタブレット、デジタルカメラ、カメラ機能付きのゲーム機やハンディ機器などを受信機として利用できる技術が開発されています。

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(ルネサス http://japan.renesas.com/edge_ol/features/10/index.jsp より)

可視光通信の特性

可視光を通信に利用することで、無線や赤外線での通信にはない次のようなメリットがあります。

① 可視光域は人間に安全なため、照明に用いている数ワットという高い電力でそのまま送信する事ができる。

② 照明は至る所に設置されているため、照明機器に通信機能を付加するだけでワイヤレス環境が構築できる。

③ 無線通信の「電磁波の人体への影響から送信電力を上げることができない」「電波法による制約から、広帯域な無線周波数を自由に使うことができない」「病院や宇宙船内では精密機器への影響から無線は使用できない」といった問題点が可視光通信では起きない。

(VLCC http://www.vlcc.net/modules/xpage0/ より)

① 既存の照明器具がそのまま「通信インフラ」になる。

② 省エネになる。

③ 安価である。

・美術館の音声受信端末はおよそ1台数千円だそうですが、可視光通信なら1台100円前後も可能とのことです。

④ 高いセキュリティを保持できる。

・「可視光通信」は照明が当たっている場所にのみ通信であり、カーテンなどで遮光すれば外には漏れません。

⑤ 特定の場所に特定の情報を送信できる。

(株式会社中川研究所http://www.naka-lab.jp/vlc/aboutvlc7.html より)

生体への影響がなく、他の電子機器に影響を及ぼすこともない。さらに通信範囲が人にとって直観的に把握でき、鏡で反射させる、カーテンで遮蔽するなど通信に関する知識のない素人でもが通信の範囲を変えることができるといった魅力的な特徴があるますが、太陽光、他の照明などノイズとなるものが多いというメリットもあります。

可視光通信の応用分野

可視光通信に期待される応用分野としては、低速通信では、例えば所在位置の情報を取得して受信端末の地図内に表示したり、小売店でクーポンや特売商品などのデータを受信したりといった用途が考えられています。

高速通信では、周波数不足の切り札として既存の無線通信を可視光通信に置き換えたり、電磁波の雑音が飛び交っているような工場などで電波の代わりとして利用したり、無線が透過しない水中での通信に利用したりすることが考えられています。

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(ルネサス http://japan.renesas.com/edge_ol/features/10/index.jsp より)

標準化

日本の規格はJEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)が定めています。

JEITA CP-1221(2007年3月)

通信機器同士の干渉や既存の赤外線機器等への影響を避けるための最低限の指針の規定です。物理層の中の発光素子・受光素子及びそれらと自由空間とインターフェースを含む部分などです。

JEITA CP-1222(2007年6月)

可視光通信に簡単な情報や固有のIDを乗せて物の識別や位置情報を行う可視光IDシステムの規格化です。

JEITA CP-1223(2013年6月)

IEEE1222(可視光の光源にデジタル化された簡単な情報や固有のIDを乗せて送信させることで物の識別や位置情報などがわかる)を修正した可視光通信でのビーコンシステムの規格化です。JEITA CP-1223は国際標準化をめざしてIEC(国際電気標準会議)に提案されています。

IEEE802.15TG7r-1

IEEEにおいて802.15.7として物理層やメディアアクセス制御層を規定した規格が制定され、現在は可視光通信規格はTG(タスク・グループ)でIEEE802.15TG7r-1として策定作業中です。

その他、放送通信や赤外線通信との関係からARIB(一般社団法人電波産業界)やIrDA(赤外線でのデータ通信を規格化している団体)との連携も図っていくようです。

 

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