仮想化(3):デスクトップ仮想化とアプリケーション仮想化

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デスクトップ仮想化

デスクトップ仮想化とは、サーバー上にクライアントPC(ユーザー個別の「仮想PC」)のデスクトップ環境(PCの画面)を稼働させる仕組みです。「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」と呼ばれることもあります。あるいは「クライアント仮想化」と呼ぶこともあるようです。

サーバ上にデスクトップ環境(OS、アプリケーション、データ)を用意し、パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末を通じてアクセスして使用します。ネットワーク回線さえ使えれば、クライアントPCの環境を別のPCやタブレット端末に映し出せるので、時間や場所を問わずに自分のデスクトップで仕事ができます。

デスクトップ仮想化は1990年代ぐらいからあったようですが、サーバの性能やネットワークの環境等からあまり普及はしていなかったようです。日本でデスクトップ仮想化が注目されるようになったきっかけは東日本大震災とWindows XPのサポート終了です。さらに、スマートフォンやタブレットからデスクトップを閲覧・操作できるという利便性(マルチデバイスに対応)やアプリケーションやデータの一元管理によるセキュリティリスクの軽減(データが端末に残らない)などが重なって普及が進んだようです。

デスクトップ仮想化のメリットとしては、前述のようにセキュリティ対策の強化、管理運営の負担軽減、タブレット端末を用いた業務効率の向上などが挙げられます。つまり、コスト削減と業務の柔軟性という点でメリットが大きいと言えそうです。デスクトップ仮想化の代表的な製品としては、ヴイエムウェアの「VMware Horizon View」、シトリックスシステムズの「Citrix XenDesktop」、マイクロソフトの「Microsoft VDI」などがあります。

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(日立ソリューションズ http://www.hitachi-solutions.co.jp/verde/ より)

アプリケーション仮想化

PCの全ての機能をサーバーで動かすのがデスクトップ仮想化とすれば、特定のアプリケーションだけを動かし、ネットワーク越しに複数のユーザーで供用するのがアプリケーション仮想化です。

単体のアプリケーションごとに仮想化し、OSとアプリケーションのレイヤを切り離します。ユーザーはクライアント端末や仮想デスクトップ環境にアプリケーションをインストールせずにアプリケーションを利用することになります。

アプリケーションの仮想化によって、システム管理の面では、アプリケーションの一元管理やアプリケーションの更新やパッチ配布の削減、ユーザの立場からは、端末機種やOS種別の違いを意識せず利用できるなどのメリットがあります。例えば、すでにサポート修了となったWindows XP専用に開発された他のOSと互換性のないアプリケーション資産を仮想化することで、長期間にわたって利用することが可能になります。また、アプリケーション仮想化には画面転送型とストリーミング型の2種類があります。

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(ITPRO http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100406/346722/ より)

デスクトップ仮想化もアプリケーション仮想化もデータセンタに設置されたサーバーを動かしますので、データは端末に残らず持ち出しもできませんし、バックアップやセキュリティ対策は全てサーバで管理者が行いますので安全性が高いと言えます。また、在宅勤務や出張先でのパソコンや訪問先でのタブレットの使用等においても同じ環境が使えますので仕事を効率よく進めることができます。さらに災害等でPCが破損したり停電で使えなくなったりした場合でも、ネットワークさえ整えられていれば使えますので災害にも強いと言えます。

シンクライアント

デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化の導入すると、作業はサーバ上で行うわけですから手元のPCにはOSもアプリケーションもストレージも必要なくなります。ネットワークに接続でき、画面とキーボードがあって、最低限のメモリーとプロセッサーがあれば十分ということになります。そこで最近注目されているのがシンククライアント(thin client)と呼ばれる機能を最小限に絞ったPCです。とくに表示・通信・入力の機能のみしか持たないようなものを「ゼロクライアント」(zero client)ということもあります。ちなみにシンクライアントのシン(thin)は「薄い・細い」という意味ですので、シンクライアントは、機能を削ぎ落したクライアントという意味になります。これに対して普通のPCはファットクライアント(fat client)と呼ぶこともあります。Fatとは「太った」という意味です。

前述では端末をシンクライアント(狭義)と言いましたが、こうした機能を使った端末を用いたシステムを総称してシンククライアント(広義)と呼ぶこともあります。このシステムとしてのシンクライアントには「ネットワークブート型」と「画面転送型」の2種類があります。画面転送型はその名のとおり基本的に画面情報だけのやり取りで、端末の種類や機種を限定しません。そしてこの画面転送型にはさらに、サーバベース型、ブレードPC型、デスクトップ仮想化(VDI)型の3タイプがあります。つまり、デスクトップ仮想化(VDI)は、シンクライアントの一種というわけです。

サーバベース型は、サーバーにアプリケーションをインストールし、複数のユーザーで共同利用します。CPUやメモリーを共有しているので、他の利用者にも影響を与えてしまうことがあります。ブレードPC型は、それぞれのユーザーに「ブレードPC」と呼ぶ物理PCを割り当てる方式で、他の利用者の影響を受けることはありませんが、サーバーベース型と比較するとコストがかかります。

その点、デスクトップ仮想化(VDI)は、サーバベース型のようにアプリケーションをユーザーが共有することもなく、ブレードPC型ほどハードウェアコストを必要としません。いわばそれぞれのいいとこ取りをした方式と言えます。

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(IT Leaders http://it.impressbm.co.jp/articles/-/10941 より)

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