仮想化(1):仮想化とは

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仮想化

バーチャル(virtual)というと、あたかも本物であるかのように錯覚させてしまう、いわば虚像といったとらえ方をしています。まさに、virtual image(虚像)です。しかし、バーチャルにはそうした虚像や実態の伴わないという意味の他に、「事実上/実際上の」役目や機能を果たしているというような意味もあります。

It was a virtual promise.((約束ではないが)約束も同然だった。)

He was the virtual leader of the movement.(彼はその運動の事実上の指導者だった。)

(Weblio 辞書 http://ejje.weblio.jp/sentence/content/virtual より)

ITで用いられる場合には後者の使い方になり、仮想化(Virtualization)とは、リソース(CPU、メモリ、ディスク)を、物理的な構成にとらわれずに、論理的に分割あるいは結合・多重化する技術の総称をいいます。

例えば1台のサーバーをあたかも複数台のサーバーのように機能させたり、逆に、複数のストレージの未使用領域を統合して、1台のストレージにしたりする技術のことで、ITリソース(IT資産)を効率的に有効利用することで、コスト削減などのメリットがあります。クラウドコンピューティングはこの仮想化技術によって設計され、クラウドと仮想化は切っても切れない関係にあります。

また、仮想化する対象により、サーバ仮想化、ストレージ仮想化、アプリケーション仮想化、ネットワーク仮想化、デスクトップ仮想化などに分類されます。

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(http://www.slideshare.net/after311/it-43800972 より)

仮想化の歴史

「仮想化」の考え方自体は古くからあり、1960~1970年代にすでに使われていました。当時はハードウェアが高価な時代でしたから、限られたリソースをできるだけ有効活用するために、コンピュータが休止状態の時に他のシステムがリソースを利用できるようにしようとしたものでした。

そうした技術の一つに「オーバーレイ」があります。オーバーレイとはプログラムの容量がメインメモリに入りきらないほど大きいとき、これを決められたサイズに分割しておいて、必要に応じて主メモリーにロードして処理を行う機能です。そのほかに「ページング」という技術もありました。これは、メモリ領域をページと呼ばれる一定の大きさの領域に分割し、物理的なアドレスとは別に仮想的なアドレスを割り当てて管理する方式です。さらに、物理的なコンピュータを論理的に複数のシステムに見せる「Logical PARition」や「Processor Resource/System Manager」と呼ばれる技術ものちに出てきました。

このように「仮想化」という概念はコンピューター黎明期から存在しており、ITの歴史は仮想化の歴史とも言えます。

当初は高価だったコンピュータを有効に活用するために考えられた仮想化、つまり1台のコンピュータを複数台のコンピュータに分割するための仮想化でしたが、今は多数のコンピュータの導入によって生じた「機能や役割の重複」「管理対象の増大」「運用の負荷の増大」「コストの増大」といった問題を解決する手段として、複数のコンピュータを集約するための仮想化が注目されています。

仮想化の3つのタイプ

仮想化の種類の分け方にはいろいろ考えがあるようです。ここでは次の3タイプに分けてみました。

パーティショニング(分割)

例えば1台のサーバーを、10台の個別・独立したサーバーが存在しているかのように機能させる場合などです。この方法を使えば、1ユーザーだけでは能力に余裕のある物理サーバー上に、見かけ上複数のサーバーを稼働させ、複数のユーザーが、それぞれを自分専用のサーバーとして扱うことができます。また、システム資源を余らせることなく有効活用することができます。

アグリゲーション(集約)

例えば、複数の異なるストレージを1つの大きなストレージに見せかける場合などです。この機能を使わなければ、ユーザーは、複数の別々のストレージの存在を意識し、煩雑な操作や設定を行わなければなりません。しかし、この機能により、そんなことは気にすることなく、またメーカーや機種を意識することなく、1つのストレージとして扱えますので、使用上の利便性は大いに高まります。

エミュレーション(模倣)

例えば、PC上で、スマートフォンの基本ソフトウェアが稼働し、スマートフォンに模した画面を表示させることができます。スマートフォンにはない、大きな画面とキーボードで同様の操作ができるようになり、アプリケーション開発やテストの利便性を高めることができます。

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(ITmedia http://blogs.itmedia.co.jp/itsolutionjuku/2015/06/post_89.html より)

(最新ITトレンド P131 :技術評論社 より)

仮想化のメリット

仮想化によるメリットには、ランニングコスト、拡張性、セキュリティなどの面で様々なメリットがあるようです。

 (1)サーバーを効率的に使うことにより、サーバーの数を減らすことができます。それによって、設置スペースの削減、消費電力の削減、ハードウェア投資コストの削減を図るだけでなく、サーバーの処理能力を最大限に発揮させることができます。

(2)従来は、システムを拡張する場合、物理サーバの手配やセットアップなど、物理環境の分だけ工数がかかっていましたが、仮想化すると、仮想環境のコピーなどを行うことで簡単にできるようになりシステムを簡単に拡張することができます。

(3)全ての論理コンピューターを1台の物理コンピューターで管理するため、セキュリティ対策を一元化することもできます。

(4)システム開発において、必要な開発プラットフォームを提供することができます。

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(NECネッツエスアイ http://www.nesic.co.jp/solution/ms/virtual.html より)

メリットばかりのような仮想化ですが、仮想化はソフトウエアによってなされますので、サーバーを統一してもサーバーの処理能力とバランスが取れない場合にはむしろコストがかさむことになります。目安として10台以上のサーバーを持つ場合に、仮想化のメリットがあるそうです。

⇒ 仮想化2:サーバ仮想化へ

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