ロジスティクス4.0

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ロジスティクス

ロジスティクスは、様々な定義があるようです。JIS(日本工業標準規格)の物流用語の定義によれば、

「物流の諸機能を高度化し、調達、生産、販売、回収などの分野を統合して、需要と供給の適正化をはかるとともに顧客満足を向上させ、あわせて環境保全及び安全対策をはじめ社会的課題への対応をめざす戦略的な経営管理」
(日本ロジスティクスシステム協会http://www.logistics.or.jp/jils_news/2012/11/post-1.html より)

としています。
米国ロジスティクス・マネ ジメント協議会では、

「ロジスティクスとはサプライチェーン管理の一部であり、顧客の要求に適合させるために、商品、サービスとそれに関連する情報の、発生地点から消費地点に至るまでの効率的、効果的なフローと保管を、計画、実施、統制することである。」
(日本ロジファクトリー http://www.nlf.co.jp/yougo/index-logisticsterm.html より)

と定義しているそうです。
日本通運ロジスティクス用語集には、

「ロジスティクス」とはサプライチェーン管理の一部であり、顧客の要求に適合させるために、商品、サービスとそれに関連する情報の、発生地点から最終消費地点に至るまでのフローを効率的、効果的に統制することである。」
(日本通運ロジスティクス用語集http://www.nittsu.co.jp/support/words/ より)

と説明されています。
また、HITACHI物流・搬送システム ロジスティクスシステムの用語集には、

「もともと軍隊で武器、食料などの補給を行う兵站(ヘイタン)の意味であるが、その考えを物的流通に当てはめ、単に物流部門の局部的な効率化を図るのではなく、原材料の調達、生産、販売、情報などの全体的な流れを総合して、総合的なシステムとすることを意味する。ロジスティクスは、消費者の要請を基本として、販売、製造、調達を統合したマーケットインの戦略的な考え方で、プロダクトアウトの考え方による物流とは立脚点を異にする」
(HITACHI物流・搬送システム ロジスティクスシステム http://www.hitachi.co.jp/products/infrastructure/product_site/logistics/glossary/index.html より)

と説明されています。

ロジスティクスとよく似た言葉として「物流」や「SMC」があります。前述のHITACHI物流・搬送システム ロジスティクスシステムの説明にあるように、物流とロジスティクスの違いは、「物流」が、包装、輸送、保管といった諸機能の総合的管理であるのに対し、ロジスティクスは、その「物流」に加え、調達や生産といった分野を管理の対象とする上位の概念と言えます。
「SCM」は、「サプライ・チェーン・マネジメント」の略で、自社内あるいは取引先との間で受発注や在庫、販売、物流などの情報を共有し、原材料や部材、製品の流通の全体最適を図る、つまり、サプライチェーンを効率よく構築・マネジメントする経営手法です。トヨタの「ジャスト・イン・タイム方式」はこの手法に近いものと言われています。

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(株式会社 アットストリームhttp://www.atstream.co.jp/pub/articles/monodukuri/14/index.html より)

 ロジスティクスにおけるイノベーションの変遷

ローランド・ベルガー(※1)では、ロジスティクスは今までに3つの革新的変化を遂げてきたとして、次のように述べています。

第1 の革新は、19世紀後半から20世紀にかけての「輸送の機械化」
・鉄道網の整備、トラック(貨物自動車) の実用化により、陸上での輸送力が格段に強化
・汽船/機船の普及により、運航の安定性が大きく向
第2 の革新は、1960年代からの「荷役の自動化」
・物流機器の実用化により、倉庫内の荷役作業が一部機械化
・コンテナ船の普及による港湾荷役の機械化
第3 の革新は、1980年代からの「物流管理のシステム化」
・WMS (Warehouse Management System) やTMS (Transport Management System) といったITシステムの活用による在庫や配車などの物流管理の自動化・効率化
・NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)を始めとするインフラシステムの整備

(THINK ACT3 №109 視点 「Logistics 4.0 - 物流ビジネスにおける新たなイノベーション」 Roland Berger 要約)

そうしたうえで、現在第4のイノベーションが実現しつつあるとしています。この第4のイノベーションが「Logistics 4.0」と呼ばれるもので、特徴は「IoTの進化による省人化・標準化」です。

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(THINK ACT3 №109 視点 「Logistics 4.0 - 物流ビジネスにおける新たなイノベーション」 Roland Berger より)

(※1)ローランド・ベルガーは1967年創業で、現在2400名のスタッフ、世界36カ国の9の事務所を有するドイツ、ミュンヘンに本社を置くヨーロッパを代表する戦略立案とその実行支援に特化した経営コンサルティング・ファームです。

ロジスティクス4.0がもたらす変革

〇 省人化

ロジスティクス4.0がもたらす変革の1つは、「省人化」です。人による操作や判断を必要とした作業が自動化し、人の介在を必要とするプロセスが大幅に減少するとしています。特に大きな変革がもたらされるのは輸送プロセスです。

国内のトラック運送事業者の運送コストのうち人件費が最も多く、平成25年度で37.2%という数字があります。ですから自動運転が実現すればコストは大幅に削減されるのではと予想されます。

また、Amazonは顧客が注文した商品を30分以内に届けることを目標に、ドローン配送システム“Amazon Prime Air” の実用化に向けたテスト飛行を行っています、同様の実証実験は日本でも行われており、配送へのドローンの活用も進みそうです。陸や空だけでなく海でもRolls-Royceは、ドローン船の開発・実用化に取り組んでおり、輸送プロセスにおける省人化はあらゆる場面で確実に進展しているようです。

もう一つの省人化は荷役作業です。Amazonでは、ピッキングの作業員を1日に20km以上も歩かせるということで問題になった時期がありましたが、倉庫ロボットのKivaを導入することで作業員の歩行が大幅に減少させました。Kivaは品物の棚を、箱詰めを行う人の作業領域まで運搬するロボットです。Amazonは、保管棚から商品を取り出すことのできるピッキングロボットの開発も進めています。

logostics_004_r(THINK ACT3 №109 視点 「Logistics 4.0 - 物流ビジネスにおける新たなイノベーション」 Roland Berger より)

その他、省人化の事例としては、例えばZMPの「CarriRo」は、荷物の運搬に用いる台車にロボット技術を適用、ジョイスティックを操作すると、CarriRoが前後左右に走行し、力を使うことなく荷物を運ぶことができるドライブモード、作業員についてくるかるがもモードを搭載した台車を販売しています。現在は必要な経路を予め教えておくと、教えられた経路を自動で移動し荷物を搬送させることができる自律移動も開発中のようです。

隔年開催で今回が12回目となる「国際物流総合展 2016」が2016年9月13〜16日に開催されましたが、そこでも様々な省人化のテクノロジーが展示されていたようです。SUSとDoogのコラボによる「追従運搬ロボット」は、広視野のレーザーセンサーを搭載して人や台車の後を自動で追従し、障害物を検知すると警告音を出して作業員に知らせるというロボットです。2人分以上の荷物を無人で運搬できるそうです。東芝は画像認識による自動荷降ろしロボッや無人搬送車を展示していました。工場敷地内の監視にドローンを用いる技術をユーピーアールが展示していました。

〇 標準化

ロジスティクス4.0の2つめの変革は「標準化」です。ローランド・ベルガーは、IoTの進化は、物流に関するあらゆる機能・情報を広く繋ぐ効果をもたらすとして、

企業・業界間で物流機能・情報が共用されることで、物流会社や輸送手段/ルートをより柔軟に組み替えられるようになる。“モノ” 以外の情報も繋がることで、最適な物流をより総合的に判断できるようになる。即ち、Logistics 4.0 は物流インフラの標準化による社会全体の革新といえる。

と述べています。そして、青山商事が同社のハンガーにRFIDタグが取り付け、ピッキングから出荷までの一連のプロセスを完全に自動化している事例や、ボッシュがコンテナやパレットにRFIDタグを取り付け、入出荷のデータ管理を自動化するとともに在庫の適正化に活用している事例などを取り上げ、将来的には業界のスタンダードになる可能性があると述べています。

国際物流総合展2016では、サトーがは、商品を運搬するフォークリフトに搭載されたUWBタグと商品情報を紐づけ、倉庫のどの位置に格納したかをデータとして取得することができるとともに、倉庫内にある「人、モノ、設備」の位置情報を3D MAP上に正確に表示することができるというVisual Warehouseを展示していました。
ユーピーアールは、パレットにアクティブタグを搭載し、倉庫内での位置や、エリア内に存在するパレットの把握だけでなく、パレットを棚に格納した際に、どのパレットが棚のどの位置にあるかという位置情報を取得することができる「スマートパレット」を展示していました。この「スマートパレット」は在庫管理はもちろん、パレットに貨物の情報を紐づけることで貨物の位置管理も可能になるというものです。

こうした物流に関するあらゆる機能・情報を広く繋ぐという動きも今回の展示では多く紹介されていたようです。

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(upr http://www.upr-net.co.jp/pallet/smartpallet_index.html より)

 

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