モーション顕微鏡

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モーション顕微鏡とは

モーション顕微鏡は、マサチューセッツ工科大のメディアラボの研究者らによって進められた研究によって開発されたものです。顕微鏡と付いていますから、肉眼では見えないものを拡大するには違いありません。では、何を拡大するのかと言えば、モーション(動き)です。つまり、肉眼では静止しているようにしか見えない人や物の動きを拡大するという意味でモーション顕微鏡と言われています。顕微鏡とはいうものの、光学顕微鏡のようなものではなく、ビデオカメラによって撮られた映像の変化を画像処理を使って強調し、人や物の微細な動き、色の変化を可視化(見える化)する顕微鏡です。

初期の研究

2010年ごろ、ビデオカメラで脈拍数を測定する研究が行われていました。それは、心臓の拍動に合わせて血液が流れますが、その流れによって生じる微細な顔色の変化を読み取って脈拍を割り出すというものです。ただ、この時は難しい数学的処理を行っていました。そこで、色の変化を肉眼で確認できるように可視化する方法が模索されたのですが、そこには大きな問題が横たわっていました。それは、血液の流れによって生じる映像の色の変化があまりにも小さいため、ノイズの影響を大きく受けてしまうということです。血液が流れれば顔色は赤みがかりますが、1回の拍動で映像のピクセルの変化はわず0.2%であるため、ノイズによって顔色の変化が消されてしまうのです。しかし、その後の研究によって、このノイズを減らす方法も開発され、脈拍の可視化が実現しました。

ところで、ビデオカメラで脈拍数を測定する技術は、現在スマートフォンのアプリとして活用されています。Cardiioというアプリです。

Cardiio

cardiio_002cardiio_003Cardiioはカメラで撮影した顔の動画を解析することで心拍を計測します。仕組みは、前述で説明したように、血流によって起きる微小な顔色の変化を利用しています。

実際には、血流の増加によって顔から反射する光の減少、つまり、顔の皮膚が光をより吸収することで光の反射率が変化することを利用しています。顔を撮影して、色チャンネルのICA(独立成分分析)によって分離した変動量分を心拍の変化と見なし、この波形から心拍が計測する仕組みとなっています。

モーション顕微鏡の活用

(1)この技術は、もともとは肌に触れることなく赤ちゃんの変化を監視するために作られたものだそうです。普通のベビーモニターでは、眠っている様子は分かってもそれ以上の情報は得られません。モーション顕微鏡で拡大すれば、呼吸していることや脈を打っていることなどが分かります。また、肉眼ではわからない眼球の揺れを強調するというアイディアも示されています。接触しなくても健康状態を見て取れるのですから、ヘルスケアの様々な分野で、その応用が広がっていきそうです。

(2)モーション顕微鏡は現在、色や動きを通常の100倍まで増幅できるそうです。そのため、他人では発見が難しい不具合の発生した機械、崩落寸前の建物などの識別に用いることもできそうです。

(3)さらに「グーグルグラス」と組み合わせることで、相手の顔の変化から気持ちを読み取るといったアイディアもあります。

(4)このモーション顕微鏡では、音も適切な処理によって視覚可できます。そこで、この過程を逆にして可視化された映像から音を復元するというアイディアも出されています。もしこのアイディアが実現されれば、身の回りにある物をマイクに変えることができます。さらには、遠い宇宙の向こうの音を再現するということもできるようになるかもしれません。

 

(執筆中)

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