メムコンピュータ

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メムコンピュータとは

現在のコンピュータは演算部分と記憶部分が別々になっています。最先端の並列処理マシンであっても演算はCPU、記憶はメモリーという分業です。こうした現行のコンピュータの制約に縛られず、演算と記憶を同じ素子で実行しようというのがメムコンピュータの考えです。これが実現すれば、現在のコンピュータで何十年もかかる計算を数秒でできるぐらいに演算速度と効率が飛躍的に向上するほか、計算手法そのものが革新する可能性があるそうです。

メムコンピュータが演算と記憶を同じ素子で行うというのは、人間の脳のニューロンが情報の記憶と処理の両方を行っているのと非常に似ています。ちなみに、人間の脳は毎秒1016回の処理ができるそうです。スーパーコンピュータ「京」を使って行った実験では、人間の脳が1秒間に行う活動のわずか1パーセントをシミュレートするのにさえ、40分もかかったそうですから、まだまだコンピュータは人間の足元に及びません。ですから、メムコンピュータが実現されると、人間の脳にかなり近づくことになるのかもしれません。

省エネにも貢献

現在のコンピュータでは、メモリとCPUのデータの出し入れにもある程度の電力を使います。1台のパソコンならそんなにも大きな電力にはならないでしょうが、世界中のパソコンとなるとその電力は無視できないものになります。メムコンピュータでは演算と記憶を同じ素子で行いますから、データの出し入れのための電力が必要ではなくなります。その分省エネになります。

現在、家電に限らずいろいろなものにコンピュータチップが搭載されています。そうしたものも含めて情報通信に使われる電力消費は、総電力の15%にも達しているそうです。今後、さらに増加していくことは間違いありませんから、メムコンピュータによって節約される電力は非常に貴重なものとなりそうです。

メムコンピュータの3つの素子

電子回路は、いろいろな電子デバイスを電気的に接続し組み合わせることで一定のまとまった機能を果たすように構成されていますが、その電子デバイスは、大別して「受動素子」と「能動素子」に分類できます。その違いはエネルギーを発生するかどうかです。

「受動素子」とは、供給された電力を消費・蓄積・放出するといった受け身的な仕事をするもので、エネルギーは発生しません。ですので受動素子と呼ばれています。「能動素子」は電子回路の中で電気信号の増幅や変換などの積極的な役割を果たすもので、エネルギーを発生しますので能動素子と呼んでいます。

受動素子には抵抗器(レジスター)、キャパシタ(コンデンサー)、インダクタ(コイル)があります。現在、それぞれに対応するメモリスタ、メムキャパシタ、メムインダクタと呼ばれるメムコンピュータ用の素子が開発されるつつあります。

(1)メモリスタ

通過した電荷によって抵抗が変化しそれを記憶する受動素子です。記憶素子と抵抗素子の特徴を併せ持つことから、Memory(メモリ) + Resistor(レジスタ) をあわせた造語として Memristor(メモリスタ)と名付けられています。その他の特徴とすれば、記憶容量が大きく、書き込みや読み込みもこれまでよりも高速です。演算処理も可能です。従来の10分の一の電力で済むといいます。

メモリスタは様々な材料から作成することができ、また大きさも数㎚に小型化できること、さらに現在の設備での製造も可能なため、新たな大きな投資を必要としないという利点もあります。

(2)メムキャパシタ

キャパシタは静電容量により電荷(電気エネルギー)を蓄えたり 放出したりする受動素子ですが、メムキャパシタは、それだけでなく、素子そのものの静電容量を印加電圧の履歴に応じて変化させます。やはり記憶機能と処理機能を併せ持つ素子です。メムキャパシタはいくつか市販されているようですが、高価なため、現在シリコン製のメムキャパシタの開発が研究されているそうです。

(3)メムインダクタ

メムキャパシタ同様にエネルギーを蓄え、メモリスタのように電流を流します。はやり、情報の処理と記憶が可能な素子です。メムインダクタは現在でも存在しているのですが、大きな時期コイルを必要とし、実用のコンピュータに使うまでにはなっていません。

〇 メムコンピュータの実用化

メムコンピュータは現在の設備でも製造が可能と言われています。ただ、メムコンピュータ用のソフトウェアの設計が必要です。メムコンピュータに適したOSはまだ開発されていません。

そこで、メムコンピュータ素子を現行のコンピュータに組み込む方法も考えられています。簡単な処理は現校のプロセッサで行い、気候の精密モデルのような複雑な処理をメムコンピュータ素子のやらせるというものです。

いずれにしても、まだ実用化まで時間を要するようです。

(参考:日経サイエンス6月号)

 

(執筆中)

 

 

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